3/23(木) 17:46配信
ニューズウィーク日本版
<スマホ、暴飲暴食、たばこ、コーヒー...科学的アプローチで悪い習慣は変えられる>

悪癖の原因は「意志の弱さ」ではない──脳の仕組みを知って悪習慣ループを脱出せよ

暴飲暴食を断つ。スマホ時間を減らす。ちゃんと毎日ジムに通う。年の初めに、そんな誓いを(どうせ守れないと知りつつも)立てた人は多いはず。悪いと分かっていても、身に付いた悪しき習慣を変え、あるいは断つのは難しい。

いや、あなたの意志が弱いからではない。習慣の形成には脳神経の働きが深く関わっている。運転中のスマホ操作や同僚のゴシップ探し、ごみのポイ捨てから、人種差別などの卑劣な言動やSNSを通じた偽情報の拡散(放置すれば民主主義の根幹が揺らぐと警鐘を鳴らす専門家もいる)まで、今の世の中で最悪な集合的習慣の多くは、あなた自身の意志の力よりも、脳神経の自然な働きに支配されている。

MRI(磁気共鳴映像法)などの画像診断技術の進展により、今では脳内で「習慣が形成される過程」を手に取るように見ることができ、脳のどこで習慣形成が行われるかも分かってきた。それはどこか? われら人類の進化の最初期にできた場所、ネズミやイルカも含むほとんどの哺乳類の脳にも同じように存在する場所だ。

そもそも習慣とは、それと意識しないでやってしまう行為のこと。だから意識のレベルで改めようと誓っても、簡単にはやめられない。ついポテトチップスの袋に手を出して、食べ始めたら止まらない。気が付けば鼻をほじっていて、SNSで誰かの悪口を書き込んでいる。スマホに夢中で対向車線にはみ出してしまい、気が付いたときはもう手遅れ。それが習慣の恐ろしさだ。

だから習慣を改めるには、その仕組みを理解し、そういう行為が始まるキュー(きっかけ)を見つけ、悪循環が始まる前に、それを断ち切ることが必要だ。

そうは言っても、簡単には断てない。習慣は自然の定め。人は生きるために習慣を身に付けてきた。日々の暮らしに欠かせない単純な作業の数々を軽々とこなしていけるのは、それが習慣化していればこそだ。

南カリフォルニア大学のウェンディ・ウッド教授(心理学)によると、アメリカ人は1日の平均43%をほぼ無意識の作業に費やしている。無意識だから、同時並行で別なことを考えたり、話したりもできる。

「習慣というのは独特な学習システムで、無意識のレベルにある。だから自分でどうにかできるものではない」とウッドは言う。「この点がよく理解されていないので、人は往々にして自分を責めてしまう」

だから私たちは、守れもしない「新年の誓い」を毎年のように繰り返す。ペンシルベニア大学経営大学院のケイティ・ミルクマン教授によると、昨年の元日にもアメリカ人の約4割が悪癖を改める誓いを立てたと推測される。だが3人に1人は1月末までに挫折し、年末までには5人に4人が失敗していたという。

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