前半記事『なぜニュースウォッチ9は「ワクチン死」に触れなかったのか――
前編
https://gendai.media/articles/-/110832
後編
https://gendai.media/articles/-/110834
遺族の決死の告白を踏みにじった「NHKの粗暴」【NHKワクチン被害者遺族放送問題#1】』から続けて紹介する。

事の発端は、コロナワクチン被害者遺族会「つなぐ会」のホームページの問い合わせフォームを通して
NHKのX氏から取材の依頼が来たことだった。NHKサイドに佐藤さんら放送に登場した3人の遺族を紹介した
同会代表の鵜川和久氏に話を聞いた。 送られたメールには次のように書かれていた。

 『先般から各社報道していますように、(新型コロナが※編集部注)5類移行となり
社会には明るい兆しが見えているようにも受け止められていますが
その実、非常に強い危機感を個人的に覚えずにいられません。

あった事をなかったようにされ忘れられていくのではないか
数えきれない嘆きの声が埋もれているのではないか。
そして我々の報道の姿勢としてもこのままで良いのか。

 歴史的にも非常に重要な意味を帯びるタイミングが現在であるとすら考えるのですが
自分ではなかなか答えに辿りつけず、それでも番組でもどうにか取り上げて提起したい狙いから
厚労省や自治体にも取材をすすめていたところ、鵜川さまの活動に辿り着くことができました。

長年活動されてきた鵜川さまのご意見をぜひ賜われないか、そしてご遺族の声を後年に残すことができないか、取材のご相談であります』

 丁寧で熱い志を秘めた文面に好感を持った鵜川氏は、以後、X氏と複数回やり取りを重ねた。

NHK側は、最初から私たちがワクチン接種後に副反応との因果関係が疑われる症状で肉親を亡くした
遺族たちの会であること、活動内容を理解したうえで連絡をしてきているということです。
『ワクチン遺族の会だということは知りませんでした』では通用しません」(鵜川氏)

「X氏は取材時、『(ワクチン関連死)遺族のことは伝えなければならない』と涙を流しながら
遺族の声に耳を傾けてくれました。それなのにあの放送では、コロナ感染によって亡くなったようにしか見えない内容でした。
肉親が『ワクチン接種後に亡くなった』という根幹部分が切り取られていたのです。彼のあの涙はいったい何だったのでしょうか」(前同)

放送終了、「なんだこの放送は……」と呆然としている鵜川氏の元に、X氏から番組の感想を求める
電話がかかってきたという。鵜川氏は当然、抗議する。

 「これワクチン遺族ではなく、コロナ感染死の遺族、ということになっていませんか?」

 そう伝えるとX氏の声色が変わった。

 「『あ、やべっ』と、言う感じでしたね。そこで事態の大きさに気が付いた様子でした」

続きは週刊現代 2023.05.26
https://gendai.media/articles/-/110833