【NQNニューヨーク=稲場三奈】9月30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比17ドル15セント(0.04%)高の4万2330ドル15セントで終え、連日で最高値を更新した。同日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受け、追加の大幅利下げ観測がやや後退した。一方で、経済を支える姿勢は鮮明にしており、先行きへの楽観的な見方が投資家心理の支えとなった。

30日午後にパウエルFRB議長が講演し、今後の利下げについて言及しつつ、「あらかじめ決まった道筋をたどっているわけではない」と語った。質疑応答では「利下げを急ぐような状態ではない」とも述べた。

市場では「11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げをするとの見方が強まり、株売りにつながった」(インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トーレス氏)との見方があった。米債券市場では長期金利が上昇し、3.80%台を付ける場面があった。ダウ平均の下げ幅は一時380ドル超となった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、自動車の欧州ステランティスが急落し、12.5%安で終えた。朝方、2024年12月期通期の収益見通しを下方修正したと発表。米国での販売不振や世界的な自動車業界の落ち込み、中国市場での競争激化を背景とし、他の自動車・同部品関連株や車載半導体株にも売りが波及した。

半面、FRBはすでに利下げに転じており、景気を支える姿勢を打ち出している。米景気の大幅な悪化を回避できそうだとの見方は投資家心理の支えとなっている。下値では買いも入り、大引けにかけてダウ平均は上昇に転じた。市場では「四半期末を前に、(機関投資家が運用成績をよく見せるための)お化粧買いが入った」(ケース・キャピタル・アドバイザーズのケニー・ポルカリ氏)との見方があった。

ダウ平均の個別銘柄ではアップルが2.3%、ホーム・デポが1.4%上昇した。一方、ボーイングが2.7%安で終えた。ストライキに入った労働組合と新しい労働協約を巡る交渉が暗礁に乗り上げたと伝わり、株価の重荷となった。インテルやナイキ、セールスフォースも安かった。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前週末比69.580ポイント(0.38%)高の1万8189.170で終えた。アルファベットやテスラが上げた。

多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も反発した。前週末比24.31ポイント(0.42%)高の5762.48で終え、最高値を更新した。

日本経済新聞 2024年10月1日 5:48 (2024年10月1日 6:20更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL30D7U0Q4A930C2000000/