http://www.bbc.com/japanese/41881881
BBCパノラマ 「パラダイス文書」取材班
タックスヘイブン(租税回避地)に関する資料が新たに大量に流出し、世界の権力者や大富豪たちが人目に触れずに多額の資産をタックスヘイブンに置いている実態が明らかになった。
「パラダイス文書」と名付けられた資料には英エリザベス女王の個人資産のうち1000万ポンド(約15億円)がオフショア投資に向けられていることなどが含まれる。
5日に公表された資料では、ウィルバー・ロス米商務長官と関係の深い海運会社がロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近や親族が実質オーナーの石油会社と取引していることが明らかになった。
1340万件に上る今回の資料は主に、オフショア投資関連サービスで知られる1社から流出した。昨年の「パナマ文書」同様、南ドイツ新聞が入手し、BBCや英紙ガーディアンを含む世界67カ国の約100報道機関が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に協力を求めていた。BBCパノラマの取材班が資料の調査に当たった。
5日公表分は、資料に含まれる何百人もの人々や会社の税や資産運用に関する情報のうち公にされる部分のごく一部に過ぎない。それには英国と関わりの深い人物も含まれている。
資料に含まれる取引の大部分に関しては違法行為は認められていない。
このほか5日に明らかになった内容は以下の通り。
カナダのジャスティン・トルドー首相に近く、与党自由党の資金集めを担当するスティーブン・ブロンフマン氏が関係するオフショア投資によって、カナダが何百万ドルに上る税収を失っていた可能性がある。トルドー首相はタックスヘイブンをなくすと、選挙活動で訴えていた。
英保守党の元副党首で主要献金者のアッシュクロフト卿が自らのオフショア投資の管理で、規定に従っていなかった可能性がある。さらに他の資料からは、アッシュクロフト卿が貴族院議員だった時期にも、節税目的で住所をタックスヘイブンのベリーズに登録したままだったと示されている。当時、同氏は外国居住の状態を解消したと考えられていた。
実業家ファルハド・モシリ氏が英サッカークラブチームのエバートンFCの所有権5割近くを取得した際に原資としたアーセナルFC株式は、同チームの30.4%を所有する実業家アリシェル・ウスマノフ氏の「贈り物」という形の資金提供で取得された可能性がある。このため、エバートンFC株式を所有しているのはウスマノフ氏なのではないかと、疑惑が生じている。モシリ氏は資金は贈与されたものではないと疑惑を強く否定している。
エリザベス女王の資金運用
「パラダイス文書」では、エリザベス女王の個人資産のうち約1000万ポンドがオフショア投資に向けられていることが示されている。
資金は、エリザベス女王の個人資産5億ポンドの投資を管理するランカスター公領によって、ケイマン諸島とバミューダ諸島のファンドに投資されている。
これは法律に反しておらず、脱税行為を示唆するものでもないが、国王がオフショア投資を行うべきなのか議論を呼ぶ可能性もある。
ファンドには、貧困層を搾取していると批判された分割払いの小売業「ブライトハウス」や、酒類販売のチェーン「スレッシャーズ」への少額投資が含まれていた。スレッシャーズはその後、経営が破綻。未納付の税金は1750万ポンドに上り、6000人近くが職を失った。
ランカスター公領は、ファンドの投資方針には関わっておらず、女王も個別の投資について把握していたとはみられないと説明した。
ランカスター公領は過去に、女王は自分の資産について「強い関心」があり、その女王の「評判に悪影響を及ぼす可能性がある行為や省略について常に配慮している」と説明していた。
(リンク先に続きあり)
(英語記事 Paradise Papers: Tax haven secrets of ultra-rich exposed)
2017/11/06
漏洩された資料からは女王の個人資産から約1000万ポンドがオフショア投資に向けられていることが明らかになった
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/6FE2/production/_98624682_cea336ba-fed6-4ba4-9ace-ed6b9ecb2220.jpg
今回明らかになった資料は、ロス長官の投資(緑の部分)と制裁対象となっているロシア政府関係者(赤の部分)とのつながりを示している
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/AED0/production/_98625744_wilbur_ross_640-nc.png
BBCパノラマ 「パラダイス文書」取材班
タックスヘイブン(租税回避地)に関する資料が新たに大量に流出し、世界の権力者や大富豪たちが人目に触れずに多額の資産をタックスヘイブンに置いている実態が明らかになった。
「パラダイス文書」と名付けられた資料には英エリザベス女王の個人資産のうち1000万ポンド(約15億円)がオフショア投資に向けられていることなどが含まれる。
5日に公表された資料では、ウィルバー・ロス米商務長官と関係の深い海運会社がロシアのウラジーミル・プーチン大統領の側近や親族が実質オーナーの石油会社と取引していることが明らかになった。
1340万件に上る今回の資料は主に、オフショア投資関連サービスで知られる1社から流出した。昨年の「パナマ文書」同様、南ドイツ新聞が入手し、BBCや英紙ガーディアンを含む世界67カ国の約100報道機関が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に協力を求めていた。BBCパノラマの取材班が資料の調査に当たった。
5日公表分は、資料に含まれる何百人もの人々や会社の税や資産運用に関する情報のうち公にされる部分のごく一部に過ぎない。それには英国と関わりの深い人物も含まれている。
資料に含まれる取引の大部分に関しては違法行為は認められていない。
このほか5日に明らかになった内容は以下の通り。
カナダのジャスティン・トルドー首相に近く、与党自由党の資金集めを担当するスティーブン・ブロンフマン氏が関係するオフショア投資によって、カナダが何百万ドルに上る税収を失っていた可能性がある。トルドー首相はタックスヘイブンをなくすと、選挙活動で訴えていた。
英保守党の元副党首で主要献金者のアッシュクロフト卿が自らのオフショア投資の管理で、規定に従っていなかった可能性がある。さらに他の資料からは、アッシュクロフト卿が貴族院議員だった時期にも、節税目的で住所をタックスヘイブンのベリーズに登録したままだったと示されている。当時、同氏は外国居住の状態を解消したと考えられていた。
実業家ファルハド・モシリ氏が英サッカークラブチームのエバートンFCの所有権5割近くを取得した際に原資としたアーセナルFC株式は、同チームの30.4%を所有する実業家アリシェル・ウスマノフ氏の「贈り物」という形の資金提供で取得された可能性がある。このため、エバートンFC株式を所有しているのはウスマノフ氏なのではないかと、疑惑が生じている。モシリ氏は資金は贈与されたものではないと疑惑を強く否定している。
エリザベス女王の資金運用
「パラダイス文書」では、エリザベス女王の個人資産のうち約1000万ポンドがオフショア投資に向けられていることが示されている。
資金は、エリザベス女王の個人資産5億ポンドの投資を管理するランカスター公領によって、ケイマン諸島とバミューダ諸島のファンドに投資されている。
これは法律に反しておらず、脱税行為を示唆するものでもないが、国王がオフショア投資を行うべきなのか議論を呼ぶ可能性もある。
ファンドには、貧困層を搾取していると批判された分割払いの小売業「ブライトハウス」や、酒類販売のチェーン「スレッシャーズ」への少額投資が含まれていた。スレッシャーズはその後、経営が破綻。未納付の税金は1750万ポンドに上り、6000人近くが職を失った。
ランカスター公領は、ファンドの投資方針には関わっておらず、女王も個別の投資について把握していたとはみられないと説明した。
ランカスター公領は過去に、女王は自分の資産について「強い関心」があり、その女王の「評判に悪影響を及ぼす可能性がある行為や省略について常に配慮している」と説明していた。
(リンク先に続きあり)
(英語記事 Paradise Papers: Tax haven secrets of ultra-rich exposed)
2017/11/06
漏洩された資料からは女王の個人資産から約1000万ポンドがオフショア投資に向けられていることが明らかになった
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/6FE2/production/_98624682_cea336ba-fed6-4ba4-9ace-ed6b9ecb2220.jpg
今回明らかになった資料は、ロス長官の投資(緑の部分)と制裁対象となっているロシア政府関係者(赤の部分)とのつながりを示している
https://ichef.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/AED0/production/_98625744_wilbur_ross_640-nc.png