<今市女児殺害>「遺体に元県警幹部DNA」新証拠ずさん
2/3(土) 15:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180203-00000052-mai-soci
2005年に栃木県日光市(旧今市市)で発生した女児殺害事件の被告の弁護団が、東京高裁に「女児の遺体から元県警刑事部長らのものとみられるDNA型が検出された」との趣旨の意見書を出したことが関係者への取材で明らかになった。事件では捜査段階の09年、遺体発見現場から検出された「有力なDNA型」が別の捜査幹部のものと判明した経緯がある。被告の無罪を訴える弁護側は今回の「検出」を「捜査のずさんさを示す更なる証拠だ」と主張する考えだ。【平塚雄太、田中龍士、神保圭作】
◇弁護側が意見書、検察反論
一方、検察側も意見書への反論書を高裁に提出。「検出されたDNA型は元刑事部長のものとは到底断定できない。そもそも、捜査段階の自白などで有罪とした1審の判断は揺らがない」と主張する。意見書と反論書は6日の証人尋問で明らかにされる予定だ。
殺人罪などに問われているのは勝又拓哉被告(35)。14年6月に殺人容疑で逮捕され、1審・宇都宮地裁の裁判員裁判は16年4月、無期懲役を言い渡した。勝又被告は17年10月に始まった控訴審でも無罪を主張している。
被告側、検察双方への取材によると、県警は14年4〜5月、神奈川歯科大の教授に女児の遺体に付着したDNA型の鑑定を依頼。この教授は「ミトコンドリアDNA型鑑定」と呼ばれる手法を用い、同9月に結果を出した。勝又被告のDNA型は検出されず、鑑定結果が1審で取り上げられることはなかった。
弁護団は控訴審で押田茂実・日本大名誉教授に鑑定結果の検証を依頼。女児の額などから元刑事部長と別の捜査員計2人のものとみられるDNA型が検出されていたとしている。意見書をまとめた押田教授は6日の証人尋問に出廷する。
押田教授は意見書で「(神奈川歯科大教授の鑑定について)1審で一切検討されていないのは驚がくした。再検討の必要がある」などと指摘している。弁護団は、元刑事部長らが捜査段階で遺体に触れて皮膚片が付いたり、唾液が飛んで残ったりした可能性があるとみている。意見書では「(混入したとみられたDNA型が警察関係者のものでないなら)犯人の確率が高まる」としている。
一方、ある検察幹部は「神奈川歯科大教授が行ったミトコンドリアDNA型鑑定は、個人の特定までは難しい手法。検出された型も不完全で、元刑事部長らのDNA型と断定することはできない」と反論している。
元刑事部長は毎日新聞の取材に対し、自身のものとみられるDNA型が検出されたとする弁護団の主張について「全く知らない。初耳だ」と話し、女児の遺体に触れた可能性についても「(記憶が)ない」としている。
【ことば】ミトコンドリアDNA型鑑定
DNAには、細胞の中に一つある「核DNA」と、数百から千数百個ある「ミトコンドリアDNA」があり、後者を検出する方法。通常は前者を検出する方法が使われるが、保存状態のいい相当量の試料が必要となる。ミトコンドリアDNAは古くて微量の試料からでも検出できる利点があるが、他の型が混入しやすい欠点がある。また、核DNAより情報量が少ないため、一般に鑑定の精度は低くなる。
2/3(土) 15:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180203-00000052-mai-soci
2005年に栃木県日光市(旧今市市)で発生した女児殺害事件の被告の弁護団が、東京高裁に「女児の遺体から元県警刑事部長らのものとみられるDNA型が検出された」との趣旨の意見書を出したことが関係者への取材で明らかになった。事件では捜査段階の09年、遺体発見現場から検出された「有力なDNA型」が別の捜査幹部のものと判明した経緯がある。被告の無罪を訴える弁護側は今回の「検出」を「捜査のずさんさを示す更なる証拠だ」と主張する考えだ。【平塚雄太、田中龍士、神保圭作】
◇弁護側が意見書、検察反論
一方、検察側も意見書への反論書を高裁に提出。「検出されたDNA型は元刑事部長のものとは到底断定できない。そもそも、捜査段階の自白などで有罪とした1審の判断は揺らがない」と主張する。意見書と反論書は6日の証人尋問で明らかにされる予定だ。
殺人罪などに問われているのは勝又拓哉被告(35)。14年6月に殺人容疑で逮捕され、1審・宇都宮地裁の裁判員裁判は16年4月、無期懲役を言い渡した。勝又被告は17年10月に始まった控訴審でも無罪を主張している。
被告側、検察双方への取材によると、県警は14年4〜5月、神奈川歯科大の教授に女児の遺体に付着したDNA型の鑑定を依頼。この教授は「ミトコンドリアDNA型鑑定」と呼ばれる手法を用い、同9月に結果を出した。勝又被告のDNA型は検出されず、鑑定結果が1審で取り上げられることはなかった。
弁護団は控訴審で押田茂実・日本大名誉教授に鑑定結果の検証を依頼。女児の額などから元刑事部長と別の捜査員計2人のものとみられるDNA型が検出されていたとしている。意見書をまとめた押田教授は6日の証人尋問に出廷する。
押田教授は意見書で「(神奈川歯科大教授の鑑定について)1審で一切検討されていないのは驚がくした。再検討の必要がある」などと指摘している。弁護団は、元刑事部長らが捜査段階で遺体に触れて皮膚片が付いたり、唾液が飛んで残ったりした可能性があるとみている。意見書では「(混入したとみられたDNA型が警察関係者のものでないなら)犯人の確率が高まる」としている。
一方、ある検察幹部は「神奈川歯科大教授が行ったミトコンドリアDNA型鑑定は、個人の特定までは難しい手法。検出された型も不完全で、元刑事部長らのDNA型と断定することはできない」と反論している。
元刑事部長は毎日新聞の取材に対し、自身のものとみられるDNA型が検出されたとする弁護団の主張について「全く知らない。初耳だ」と話し、女児の遺体に触れた可能性についても「(記憶が)ない」としている。
【ことば】ミトコンドリアDNA型鑑定
DNAには、細胞の中に一つある「核DNA」と、数百から千数百個ある「ミトコンドリアDNA」があり、後者を検出する方法。通常は前者を検出する方法が使われるが、保存状態のいい相当量の試料が必要となる。ミトコンドリアDNAは古くて微量の試料からでも検出できる利点があるが、他の型が混入しやすい欠点がある。また、核DNAより情報量が少ないため、一般に鑑定の精度は低くなる。