https://mainichi.jp/articles/20181028/orc/00m/200/005000c
今年で40周年を迎えた、児童文学シリーズ『ズッコケ三人組』。1978年に第1巻が発表されて以来、
“中年篇”と合わせて、現在までに実に61冊を刊行。老いも若きも、学校の教室や図書館で本シリーズを
目にした人は多いのではないだろうか。“お金儲け”など、児童文学としては異例の題材を取り上げ、
「それを読んでベンチャー企業を立ち上げた読者もいた」という巻もある本作。著者の那須正幹氏に、
本作が与えてきた影響、そして現在の子どもたちに思うことを聞いた。
■ライバルは江戸川乱歩? 「最長不倒を目指したい」
2018年、区切りの誕生40周年を迎えた大ベストセラー『ズッコケ三人組』シリーズ。
ほぼ年2冊という刊行スケジュール、さらに他の作品も抱えた執筆活動は多忙を極めていたと思われるが、
作者の那須正幹氏は「スランプに陥ったことは一度もなかった」と平然と語る。
1978年に刊行された『それいけズッコケ三人組』から40年。『ズッコケ三人組』シリーズは50巻、
三人が40代になった姿を描いた『ズッコケ中年三人組』は10巻、さらに50歳になる最終巻『ズッコケ熟年三人組』を合わせると、
実に61巻という壮大なシリーズだ。
「足掛け37年『ズッコケ三人組』を書いていますが、僕にとって三人(ハチベエ、ハカセ、モーちゃん)は
実在の人物と同じぐらい心の中に生きている。ある意味で人生の半分以上、三人と付き合ってきているわけで、
本当に長い関係性になりました」。
多くの子どもたちに愛された作品だが、スタート当初はここまで長く続くとは思っていなかったという。
「当時、日本の児童文学の中で、同一キャラクターのシリーズものはなかった。だから『ズッコケ三人組』はシリーズにしたいという
希望はありました。ただ、良くても10巻ぐらいだろうという思いはあったんです。でも続けていくうちに、江戸川乱歩さんの
『少年探偵団シリーズ』を抜かしたいと思うようになってきて、30巻ぐらいから、最長不倒を目指したいなと意気込みました(笑)。
いずれにしても、読んでくれる読者がいたから、ここまで続けてこられたんですけれどね」。
『ズッコケ三人組』シリーズは、ほぼ年2冊というペースを守り、50巻まで刊行された。しかも那須氏は、
本シリーズ以外にも数多くの作品を執筆しており、多い年には1年で17冊も作品を刊行したという。
「確かに分量的に大変でしたが、不思議とスランプに陥ったことはなかった。自分でも天才じゃないかと思いました(笑)。
というのも、『ズッコケ』に関しては、5巻目ぐらいから三人のキャラクターが定着していたので、彼らを追いかけていけば
ストーリーは出来上がる。苦しむことはなかったですね。それと、編集者のアイディアだったのですが、あとがきに次の作品の
タイトル予告を入れていたんです。次に書くものを強制的に決めてしまうわけですが、これはある意味でやりやすかったですね」。
■常識覆す題材、「ベンチャー企業を立ち上げた読者もいた」
また、『ズッコケ三人組』シリーズが、他の児童文学と一線を画していたのは、題材として取り上げるテーマだ。
40周年を記念して発表された人気投票『ズッコケ50巻総選挙』で1位になった『うわさのズッコケ株式会社』(1986年)は、
三人がお弁当会社を設立してお金儲けをする話だ。
「子どもがお金儲けする話なんて、児童文学では絶対描かないですよね。普通は“そんなことを考えてはいけません”じゃないですか。
そういう意味で『ズッコケ』は、当時の常識をひっくり返すことばかりやっていました。危ない遊びもいっぱいしました。
殺人事件に遭遇し解決する話もあったけれど、普通の児童文学なら、せいぜい泥棒を捕まえるぐらいですよね。
とは言っても、“常識を覆してやろう”みたいな気概があったわけでもない。ただ面白そうだなと思ったことを書いていただけなんです。
でも、『株式会社』を読んでベンチャー企業を立ち上げた読者もいたから、少しは役に立っていたのかもしません(笑)」。
今年で40周年を迎えた、児童文学シリーズ『ズッコケ三人組』。1978年に第1巻が発表されて以来、
“中年篇”と合わせて、現在までに実に61冊を刊行。老いも若きも、学校の教室や図書館で本シリーズを
目にした人は多いのではないだろうか。“お金儲け”など、児童文学としては異例の題材を取り上げ、
「それを読んでベンチャー企業を立ち上げた読者もいた」という巻もある本作。著者の那須正幹氏に、
本作が与えてきた影響、そして現在の子どもたちに思うことを聞いた。
■ライバルは江戸川乱歩? 「最長不倒を目指したい」
2018年、区切りの誕生40周年を迎えた大ベストセラー『ズッコケ三人組』シリーズ。
ほぼ年2冊という刊行スケジュール、さらに他の作品も抱えた執筆活動は多忙を極めていたと思われるが、
作者の那須正幹氏は「スランプに陥ったことは一度もなかった」と平然と語る。
1978年に刊行された『それいけズッコケ三人組』から40年。『ズッコケ三人組』シリーズは50巻、
三人が40代になった姿を描いた『ズッコケ中年三人組』は10巻、さらに50歳になる最終巻『ズッコケ熟年三人組』を合わせると、
実に61巻という壮大なシリーズだ。
「足掛け37年『ズッコケ三人組』を書いていますが、僕にとって三人(ハチベエ、ハカセ、モーちゃん)は
実在の人物と同じぐらい心の中に生きている。ある意味で人生の半分以上、三人と付き合ってきているわけで、
本当に長い関係性になりました」。
多くの子どもたちに愛された作品だが、スタート当初はここまで長く続くとは思っていなかったという。
「当時、日本の児童文学の中で、同一キャラクターのシリーズものはなかった。だから『ズッコケ三人組』はシリーズにしたいという
希望はありました。ただ、良くても10巻ぐらいだろうという思いはあったんです。でも続けていくうちに、江戸川乱歩さんの
『少年探偵団シリーズ』を抜かしたいと思うようになってきて、30巻ぐらいから、最長不倒を目指したいなと意気込みました(笑)。
いずれにしても、読んでくれる読者がいたから、ここまで続けてこられたんですけれどね」。
『ズッコケ三人組』シリーズは、ほぼ年2冊というペースを守り、50巻まで刊行された。しかも那須氏は、
本シリーズ以外にも数多くの作品を執筆しており、多い年には1年で17冊も作品を刊行したという。
「確かに分量的に大変でしたが、不思議とスランプに陥ったことはなかった。自分でも天才じゃないかと思いました(笑)。
というのも、『ズッコケ』に関しては、5巻目ぐらいから三人のキャラクターが定着していたので、彼らを追いかけていけば
ストーリーは出来上がる。苦しむことはなかったですね。それと、編集者のアイディアだったのですが、あとがきに次の作品の
タイトル予告を入れていたんです。次に書くものを強制的に決めてしまうわけですが、これはある意味でやりやすかったですね」。
■常識覆す題材、「ベンチャー企業を立ち上げた読者もいた」
また、『ズッコケ三人組』シリーズが、他の児童文学と一線を画していたのは、題材として取り上げるテーマだ。
40周年を記念して発表された人気投票『ズッコケ50巻総選挙』で1位になった『うわさのズッコケ株式会社』(1986年)は、
三人がお弁当会社を設立してお金儲けをする話だ。
「子どもがお金儲けする話なんて、児童文学では絶対描かないですよね。普通は“そんなことを考えてはいけません”じゃないですか。
そういう意味で『ズッコケ』は、当時の常識をひっくり返すことばかりやっていました。危ない遊びもいっぱいしました。
殺人事件に遭遇し解決する話もあったけれど、普通の児童文学なら、せいぜい泥棒を捕まえるぐらいですよね。
とは言っても、“常識を覆してやろう”みたいな気概があったわけでもない。ただ面白そうだなと思ったことを書いていただけなんです。
でも、『株式会社』を読んでベンチャー企業を立ち上げた読者もいたから、少しは役に立っていたのかもしません(笑)」。