https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/050900264/
■絶滅寸前のシャンハイハナスッポン、最後の望みをかけた捜索が始まっている
中国の蘇州動物園で4月、知られている限り最後のメスだったシャンハイハナスッポンが死亡した。
残されているのは飼育下の1匹と野生の数匹のみで、種の絶滅に限りなく近づいている。
それでも、保護活動に従事する人々はあきらめていない。
野生生物保護学会(WCS)中国支部のディレクターを務めるアイミン・ワン氏は「私たちはまだ希望を捨てていません。別のメスを探しています」と語る。
ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるワン氏は、淡水に暮らすカメとしては世界最大で体重100キロにもなるシャンハイハナスッポンを、
雲南省の川で探し続けている。水質汚染や生息地の消失、違法取引が原因で、シャンハイハナスッポンの個体数は急激に減少した。
新たな個体はまだ見つかっていないが、手がかりとなる情報もいくつか寄せられている。
ワン氏によれば、紅河を泳ぐ巨大なカメが地元の漁師たちに目撃されているという。
ただし、報告があったのは数年前のことだ。ベトナムの湖でも2匹の目撃情報があるが、性別ははっきりしていない。
「オスとメスの両方が確認されれば、2匹を引き合わせ、繁殖させられるかもしれません」
■成功の一歩手前で起きた悲劇
今回のメスの死で何より残念だったのは、飼育下繁殖の失敗が何年も続いた後、ようやく成功が見えてきた矢先に起きたということだ。
米国サウスカロライナ州に拠点を置く「タートル・サバイバル・アライアンス」の会長リック・ハドソン氏によれば、このメスは100歳以上と推測されていたが、
シャンハイハナスッポンは寿命が長いため、まだ繁殖可能な年齢だったという。
蘇州動物園がこのメスを引き取った際、タートル・サバイバル・アライアンスが手助けを行った。
飼育下のオスとの繁殖の試みは、なかなかうまくいかなかった。このオスも100歳以上と推測され、調べてみたところ、古傷があることが判明した。
「ペニスがボロボロでした」とハドソン氏は説明する。「75%が失われているような状態でした」
それでも、ハドソン氏らはあきらめず、最終的に、誰も試みたことのない人工授精の方法を考え出した。
だが4〜5回に及ぶ挑戦のかいもなく、受精卵を得ることはできなかった。
「しかし、今年は違いました」とハドソン氏は話す。「これまでで最も良い精液を得ることができ、正常な卵管に注入しました。すべてがとても順調でした」
「ただ彼女は麻酔から目覚めることができませんでした」
■残された時間はあとわずか
ハドソン氏もワン氏と同様、シャンハイハナスッポンの新たな個体が見つかり、再び繁殖できる可能性はあると考えている。
2012年、ベトナムのスアンカン湖で、水に潜む巨大なカメと思われる不鮮明な写真が撮影された。2017年にも、よく似た写真が撮影されている。
そこで、科学者たちはスアンカン湖の水を採取し、DNAの痕跡を探し始めた。そして、少なくとも1匹のシャンハイハナスッポンが生きていると証明された。
夏になったらこの個体(あるいは複数のシャンハイハナスッポン)の捜索を開始し、見つかった場合、無線発信器を装着すると、ハドソン氏は話している。
さらに、血液を採取し、性別の判定も行う予定だ。
もし成功すれば、同じくベトナムのドンモー湖でも捜索を始めることにしている。ドンモー湖では、少なくとも1匹が確認されており、もう1匹いるといううわさもある。
「問題は、どちらの湖も漁業が盛んなことです。漁網にかかったり、食用として命を奪われる可能性は十分にあります」
数年前、ハドソン氏らはまさにそのような経験をしている。中国でシャンハイハナスッポンを捜索していたとき、すでに捕まり、食べられたと判明したのだ。
種を救いたければ、のんびりしている暇はない。シャンハイハナスッポンが自らそれを証明している。
ハドソン氏は話す。「二度とあのような経験はしたくありません。追い詰められるのは良い気分ではありませんから」
■絶滅寸前のシャンハイハナスッポン、最後の望みをかけた捜索が始まっている
中国の蘇州動物園で4月、知られている限り最後のメスだったシャンハイハナスッポンが死亡した。
残されているのは飼育下の1匹と野生の数匹のみで、種の絶滅に限りなく近づいている。
それでも、保護活動に従事する人々はあきらめていない。
野生生物保護学会(WCS)中国支部のディレクターを務めるアイミン・ワン氏は「私たちはまだ希望を捨てていません。別のメスを探しています」と語る。
ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもあるワン氏は、淡水に暮らすカメとしては世界最大で体重100キロにもなるシャンハイハナスッポンを、
雲南省の川で探し続けている。水質汚染や生息地の消失、違法取引が原因で、シャンハイハナスッポンの個体数は急激に減少した。
新たな個体はまだ見つかっていないが、手がかりとなる情報もいくつか寄せられている。
ワン氏によれば、紅河を泳ぐ巨大なカメが地元の漁師たちに目撃されているという。
ただし、報告があったのは数年前のことだ。ベトナムの湖でも2匹の目撃情報があるが、性別ははっきりしていない。
「オスとメスの両方が確認されれば、2匹を引き合わせ、繁殖させられるかもしれません」
■成功の一歩手前で起きた悲劇
今回のメスの死で何より残念だったのは、飼育下繁殖の失敗が何年も続いた後、ようやく成功が見えてきた矢先に起きたということだ。
米国サウスカロライナ州に拠点を置く「タートル・サバイバル・アライアンス」の会長リック・ハドソン氏によれば、このメスは100歳以上と推測されていたが、
シャンハイハナスッポンは寿命が長いため、まだ繁殖可能な年齢だったという。
蘇州動物園がこのメスを引き取った際、タートル・サバイバル・アライアンスが手助けを行った。
飼育下のオスとの繁殖の試みは、なかなかうまくいかなかった。このオスも100歳以上と推測され、調べてみたところ、古傷があることが判明した。
「ペニスがボロボロでした」とハドソン氏は説明する。「75%が失われているような状態でした」
それでも、ハドソン氏らはあきらめず、最終的に、誰も試みたことのない人工授精の方法を考え出した。
だが4〜5回に及ぶ挑戦のかいもなく、受精卵を得ることはできなかった。
「しかし、今年は違いました」とハドソン氏は話す。「これまでで最も良い精液を得ることができ、正常な卵管に注入しました。すべてがとても順調でした」
「ただ彼女は麻酔から目覚めることができませんでした」
■残された時間はあとわずか
ハドソン氏もワン氏と同様、シャンハイハナスッポンの新たな個体が見つかり、再び繁殖できる可能性はあると考えている。
2012年、ベトナムのスアンカン湖で、水に潜む巨大なカメと思われる不鮮明な写真が撮影された。2017年にも、よく似た写真が撮影されている。
そこで、科学者たちはスアンカン湖の水を採取し、DNAの痕跡を探し始めた。そして、少なくとも1匹のシャンハイハナスッポンが生きていると証明された。
夏になったらこの個体(あるいは複数のシャンハイハナスッポン)の捜索を開始し、見つかった場合、無線発信器を装着すると、ハドソン氏は話している。
さらに、血液を採取し、性別の判定も行う予定だ。
もし成功すれば、同じくベトナムのドンモー湖でも捜索を始めることにしている。ドンモー湖では、少なくとも1匹が確認されており、もう1匹いるといううわさもある。
「問題は、どちらの湖も漁業が盛んなことです。漁網にかかったり、食用として命を奪われる可能性は十分にあります」
数年前、ハドソン氏らはまさにそのような経験をしている。中国でシャンハイハナスッポンを捜索していたとき、すでに捕まり、食べられたと判明したのだ。
種を救いたければ、のんびりしている暇はない。シャンハイハナスッポンが自らそれを証明している。
ハドソン氏は話す。「二度とあのような経験はしたくありません。追い詰められるのは良い気分ではありませんから」