0001靄々 ★2019/05/25(土) 03:02:21.71ID:OG5tQ6eH9
無燃料ロケット、電磁波で飛ばす 東大グループ考案
地上から照射、物資輸送向け
米国の宇宙船アポロ11号の月面着陸から今年で半世紀。今や国内外の企業が商業用ロケットのコスト削減を競う。東京大学などのグループは物資を宇宙に大量輸送する未来を見据え、従来のロケットとは全く異なる打ち上げ方式を考案した。燃料を積まずに、地上から電磁波のビームをロケットに向けて照射し、そのエネルギーで推進する。実証試験に取り組みながら、2030年代の基地建設や試験機の打ち上げを目指している。
ロケットは通常、液体や固体の燃料を積んでいる。燃料の化学反応で発生するガスを噴射し、その反動で推力を得ている。東大の小紫公也教授は「アポロ11号を打ち上げたサターンVも現在のロケットも打ち上げの原理はほぼ変わっていない」と指摘する。
小紫教授らは燃料を積まずに電磁波のエネルギーで打ち上げる「マイクロ波ロケット」を考案。03年に小型のロケット模型で実験し、原理の実証に成功した。
打ち上げではロケットに向け、地上のアンテナから電磁波のビームを照射する。ビームはロケット底部にあるリフレクターと呼ぶ鏡に反射し、焦点付近にエネルギーが集まる。強いエネルギーによって焦点付近の空気が電離してプラズマが発生し、爆発を引き起こす。この衝撃波をリフレクターが受け止め、ロケットの推進力になる。
燃料を積まないため、タンクやエンジンは不要だ。より多くの物資を運べ、簡素な構造で製造コストも下がる。その代わり、ビームを送る基地が必要になる。初期投資として基地を建設し、再使用型ロケットなら打ち上げコストは電気代などに限られる。宇宙に物資を大量輸送する手段になると期待される。
実験では量子科学技術研究開発機構が核融合炉研究に使う「ジャイロトロン」という装置でビームを発生させた。マイクロ波ロケットと呼ぶが、実はビームには、マイクロ波より波長が短い電磁波のミリ波を使う。
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXMZO4517615023052019X90001-2.jpg?w=900&h=441&auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&q=45&fit=crop&crop=faces%2Cedges&ixlib=js-1.2.0&s=899f30950434551cabe5f16452bb9739
03年に打ち上げたのは約10グラムの小型模型で、2メートル飛ばして原理の実証に成功した。09年には120グラム程度の模型を1.2メートル打ち上げた。ビームをパルス状にして照射すると持続的に爆発が起き、推力を高められることも分かった。 ビームでプラズマが生じる過程や爆発による空気の流れなど、マイクロ波ロケットの詳しい原理は未解明な部分が多い。小紫教授らは福井大学や筑波大学などと協力して、東大にもジャイロトロンを設置、実験データを積み上げる方針だ。
ジャイロトロンは核融合炉とともに技術開発が進む。実用レベルのロケット打ち上げには100メガ(メガは100万)ワット〜100ギガ(ギガは10億)ワットの出力が必要とされ、非常に規模が大きい。多数のジャイロトロンを制御し、強力なビームを作る技術も必要だ。
コンピューター上の打ち上げシミュレーション(模擬実験)を実現し、20年代に実用レベルのロケットや打ち上げ基地の設計を目指す。道のりはまだ長いが、小紫教授は「開発不可能な問題が出てくるとは思わない」と話す。
マイクロ波ロケットのイメージ(左)と、ビームを照射して小型のロケット模型を打ち上げる実験の様子
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXMZO4517614023052019X90001-3.jpg?w=900&h=441&auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&q=45&fit=crop&crop=faces%2Cedges&ixlib=js-1.2.0&s=c2217e08236f3eff018fde0b4f95d2e3
※全文は記事からご覧ください
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO45176130T20C19A5X90000?s=0
2019年5月24日 10:44 日経産業新聞
地上から照射、物資輸送向け
米国の宇宙船アポロ11号の月面着陸から今年で半世紀。今や国内外の企業が商業用ロケットのコスト削減を競う。東京大学などのグループは物資を宇宙に大量輸送する未来を見据え、従来のロケットとは全く異なる打ち上げ方式を考案した。燃料を積まずに、地上から電磁波のビームをロケットに向けて照射し、そのエネルギーで推進する。実証試験に取り組みながら、2030年代の基地建設や試験機の打ち上げを目指している。
ロケットは通常、液体や固体の燃料を積んでいる。燃料の化学反応で発生するガスを噴射し、その反動で推力を得ている。東大の小紫公也教授は「アポロ11号を打ち上げたサターンVも現在のロケットも打ち上げの原理はほぼ変わっていない」と指摘する。
小紫教授らは燃料を積まずに電磁波のエネルギーで打ち上げる「マイクロ波ロケット」を考案。03年に小型のロケット模型で実験し、原理の実証に成功した。
打ち上げではロケットに向け、地上のアンテナから電磁波のビームを照射する。ビームはロケット底部にあるリフレクターと呼ぶ鏡に反射し、焦点付近にエネルギーが集まる。強いエネルギーによって焦点付近の空気が電離してプラズマが発生し、爆発を引き起こす。この衝撃波をリフレクターが受け止め、ロケットの推進力になる。
燃料を積まないため、タンクやエンジンは不要だ。より多くの物資を運べ、簡素な構造で製造コストも下がる。その代わり、ビームを送る基地が必要になる。初期投資として基地を建設し、再使用型ロケットなら打ち上げコストは電気代などに限られる。宇宙に物資を大量輸送する手段になると期待される。
実験では量子科学技術研究開発機構が核融合炉研究に使う「ジャイロトロン」という装置でビームを発生させた。マイクロ波ロケットと呼ぶが、実はビームには、マイクロ波より波長が短い電磁波のミリ波を使う。
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXMZO4517615023052019X90001-2.jpg?w=900&h=441&auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&q=45&fit=crop&crop=faces%2Cedges&ixlib=js-1.2.0&s=899f30950434551cabe5f16452bb9739
03年に打ち上げたのは約10グラムの小型模型で、2メートル飛ばして原理の実証に成功した。09年には120グラム程度の模型を1.2メートル打ち上げた。ビームをパルス状にして照射すると持続的に爆発が起き、推力を高められることも分かった。 ビームでプラズマが生じる過程や爆発による空気の流れなど、マイクロ波ロケットの詳しい原理は未解明な部分が多い。小紫教授らは福井大学や筑波大学などと協力して、東大にもジャイロトロンを設置、実験データを積み上げる方針だ。
ジャイロトロンは核融合炉とともに技術開発が進む。実用レベルのロケット打ち上げには100メガ(メガは100万)ワット〜100ギガ(ギガは10億)ワットの出力が必要とされ、非常に規模が大きい。多数のジャイロトロンを制御し、強力なビームを作る技術も必要だ。
コンピューター上の打ち上げシミュレーション(模擬実験)を実現し、20年代に実用レベルのロケットや打ち上げ基地の設計を目指す。道のりはまだ長いが、小紫教授は「開発不可能な問題が出てくるとは思わない」と話す。
マイクロ波ロケットのイメージ(左)と、ビームを照射して小型のロケット模型を打ち上げる実験の様子
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXMZO4517614023052019X90001-3.jpg?w=900&h=441&auto=format%2Ccompress&ch=Width%2CDPR&q=45&fit=crop&crop=faces%2Cedges&ixlib=js-1.2.0&s=c2217e08236f3eff018fde0b4f95d2e3
※全文は記事からご覧ください
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO45176130T20C19A5X90000?s=0
2019年5月24日 10:44 日経産業新聞