https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190622-00000004-courrier-n_ame
■寿司、ラーメンの次は焼き鳥か
日本の定番料理のひとつと言えば、串刺の鶏肉、焼き鳥だ。
一見シンプル、塩かタレかで味つけされたこの一口大の串料理には、ほぼ万人受けする魅力がある。
だが、焼き鳥(「yaki」は直火で炙られたという意味で、「tori」は日本語でチキンを指す)はアメリカでこれまで全然、寿司やラーメンほど受けてこなかった。
それが変わろうとしているのだ。
日本の焼き鳥レストランやチェーン数社は2019年こそ、アメリカの土壌に串を突き立てるにぴったりのタイミングと確信したようだ。
日本国内で50店舗近く展開する東京拠点のチェーン「とり鉄」は、シカゴ郊外のアーリントンハイツにある日本食料雑貨店「ミツワ」に
北米初の支店を開いたばかりだ。
日本、香港、イタリア、フィリピンで60店以上を展開する「鶏ジロー」は、ボストンで再開発中の「アーセナル・ヤーズ」への出店計画を発表した。
東京の有名な焼き鳥屋「鳥しき」はこの9月、ニューヨークのロウアーイーストサイドに「おまかせ」のみ、26席の支店「鳥えん」をデビューさせる。
ディナーは1人150ドル(約1万6000円)の価格帯になるだろう。
世界的に受けている日本発の寿司やラーメン同様、焼き鳥も食事客と料理人の双方に熱狂を呼び起こすかもしれないのだ。
■アメリカ人が語る焼き鳥の魅力
鶏は1羽丸ごとを余すところなくさばく。それは寿司職人が魚を扱うのと同じくらい複雑なものだ。
たとえば、鶏手羽肉だけでも何本も串が作れる。手羽元から肩肉、手羽先から皮といった具合だ。
備長炭のうえでそれぞれ独自の焼き方があり、それぞれ異なる味、歯ごたえ、またしばしば味付けがある。
バーナード・ラドファーはロサンゼルスの「ヤキトリヤ」に入れ込むあまり、そのレストランの徒歩圏内に引っ越してしまった。
彼はその雰囲気をコメディドラマの「チアーズ」になぞらえる。
「夕方6時半に入って、朝の3時まで帰らないこともあります。飲んで、しゃべって、ちびちびつまんでるところに、友達が来て、一緒に夕飯を食べたりして」
そこで17晩連続で食べたこともあるラドファーは、料理人のサカマキトシが作った焼き鳥についての本を書いた。
タイトルは『Chicken Genius』で、7月に「レア・バード・ブックス」から出版予定だ。
焼き鳥のなにがそれほどの情熱を呼び起こすのか。
「焼き鳥は鶏肉のことだけではない。寿司がただの生魚以上のものであるように」
──ヤキトリヤに入れ込む料理人で料理店主のマツヒサノブは、『Chicken Genius』のまえがきで書いている。
料理人サカマキは「ある素材を最も純粋な形でどう扱えるかというわれわれの発想を拡げる人だ」ともマツヒサは書いている。
■焼き鳥×フレンチ
4月、ニューヨークのブルックリンにオープンした「メゾン・ヤキ」は「焼き鳥教」をさらに拡大解釈している。
シェフのグレッグ・バクストロムは、鶏肉だけでなく、ステーキ、シーフード、カモ、野菜の串も焼く。
彼はそれらを炙ったあと、フランス料理で使うソースやスパイスで仕上げる。
たとえば、リブ・アイにボルドレーズ、鶏胸肉にソース・アルマンドという具合だ。
つくねは居酒屋の焼き鳥料理定番メニューの鶏肉団子だが、このレストランのつくねはカモ肉を使っている。
この料理には通常、こくを加える生の卵黄とタレが付いてくる。
バクストロムは、この黄身の代わりにオレンジを使い、ダック・ア・ロランジュを美味く再現した。
雰囲気はカジュアルだ。カクテルも串焼きもみなそれぞれ10ドル(約1000円)以下だし、裏庭にはペタンクコートがあり、デビッド・ボウイがかかっている。
だが、バクストロムの焼き鳥愛は実直に育まれたものだ。彼は一時期、ニューヨークの由緒ある焼き鳥スポット「鳥心」の隣に住んでおり、
そこがスモーキーなたまり場になっていることを知っていた。
そこでは、料理人たちが静かに座り、「膝軟骨」、ぼんじり、そり、そして首、腹、手羽の皮といった、それぞれ味わいのある深遠な部位の串焼きを
モグモグと食べるのだ。
※続きはソースで
■寿司、ラーメンの次は焼き鳥か
日本の定番料理のひとつと言えば、串刺の鶏肉、焼き鳥だ。
一見シンプル、塩かタレかで味つけされたこの一口大の串料理には、ほぼ万人受けする魅力がある。
だが、焼き鳥(「yaki」は直火で炙られたという意味で、「tori」は日本語でチキンを指す)はアメリカでこれまで全然、寿司やラーメンほど受けてこなかった。
それが変わろうとしているのだ。
日本の焼き鳥レストランやチェーン数社は2019年こそ、アメリカの土壌に串を突き立てるにぴったりのタイミングと確信したようだ。
日本国内で50店舗近く展開する東京拠点のチェーン「とり鉄」は、シカゴ郊外のアーリントンハイツにある日本食料雑貨店「ミツワ」に
北米初の支店を開いたばかりだ。
日本、香港、イタリア、フィリピンで60店以上を展開する「鶏ジロー」は、ボストンで再開発中の「アーセナル・ヤーズ」への出店計画を発表した。
東京の有名な焼き鳥屋「鳥しき」はこの9月、ニューヨークのロウアーイーストサイドに「おまかせ」のみ、26席の支店「鳥えん」をデビューさせる。
ディナーは1人150ドル(約1万6000円)の価格帯になるだろう。
世界的に受けている日本発の寿司やラーメン同様、焼き鳥も食事客と料理人の双方に熱狂を呼び起こすかもしれないのだ。
■アメリカ人が語る焼き鳥の魅力
鶏は1羽丸ごとを余すところなくさばく。それは寿司職人が魚を扱うのと同じくらい複雑なものだ。
たとえば、鶏手羽肉だけでも何本も串が作れる。手羽元から肩肉、手羽先から皮といった具合だ。
備長炭のうえでそれぞれ独自の焼き方があり、それぞれ異なる味、歯ごたえ、またしばしば味付けがある。
バーナード・ラドファーはロサンゼルスの「ヤキトリヤ」に入れ込むあまり、そのレストランの徒歩圏内に引っ越してしまった。
彼はその雰囲気をコメディドラマの「チアーズ」になぞらえる。
「夕方6時半に入って、朝の3時まで帰らないこともあります。飲んで、しゃべって、ちびちびつまんでるところに、友達が来て、一緒に夕飯を食べたりして」
そこで17晩連続で食べたこともあるラドファーは、料理人のサカマキトシが作った焼き鳥についての本を書いた。
タイトルは『Chicken Genius』で、7月に「レア・バード・ブックス」から出版予定だ。
焼き鳥のなにがそれほどの情熱を呼び起こすのか。
「焼き鳥は鶏肉のことだけではない。寿司がただの生魚以上のものであるように」
──ヤキトリヤに入れ込む料理人で料理店主のマツヒサノブは、『Chicken Genius』のまえがきで書いている。
料理人サカマキは「ある素材を最も純粋な形でどう扱えるかというわれわれの発想を拡げる人だ」ともマツヒサは書いている。
■焼き鳥×フレンチ
4月、ニューヨークのブルックリンにオープンした「メゾン・ヤキ」は「焼き鳥教」をさらに拡大解釈している。
シェフのグレッグ・バクストロムは、鶏肉だけでなく、ステーキ、シーフード、カモ、野菜の串も焼く。
彼はそれらを炙ったあと、フランス料理で使うソースやスパイスで仕上げる。
たとえば、リブ・アイにボルドレーズ、鶏胸肉にソース・アルマンドという具合だ。
つくねは居酒屋の焼き鳥料理定番メニューの鶏肉団子だが、このレストランのつくねはカモ肉を使っている。
この料理には通常、こくを加える生の卵黄とタレが付いてくる。
バクストロムは、この黄身の代わりにオレンジを使い、ダック・ア・ロランジュを美味く再現した。
雰囲気はカジュアルだ。カクテルも串焼きもみなそれぞれ10ドル(約1000円)以下だし、裏庭にはペタンクコートがあり、デビッド・ボウイがかかっている。
だが、バクストロムの焼き鳥愛は実直に育まれたものだ。彼は一時期、ニューヨークの由緒ある焼き鳥スポット「鳥心」の隣に住んでおり、
そこがスモーキーなたまり場になっていることを知っていた。
そこでは、料理人たちが静かに座り、「膝軟骨」、ぼんじり、そり、そして首、腹、手羽の皮といった、それぞれ味わいのある深遠な部位の串焼きを
モグモグと食べるのだ。
※続きはソースで