新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京都内の生活困窮者を支援する団体などが3日、都に対し、路上生活者やネットカフェで暮らす人たちに安全な居場所を確保するよう求める要望書を提出した。生活保護を受給する際に一時的に入居する施設が相部屋となっているケースが多いため、感染リスクの不安から受給を断る路上生活者が出ているという。支援者は「集団感染が起こる可能性がある」として早急な対策を求めた。【塩田彩/統合デジタル取材センター】
要望書を提出したのは、東京都内で生活困窮者支援に携わる「一般社団法人つくろい東京ファンド」や路上生活者らが販売する雑誌「ビッグイシュー」の日本版の発行元など計6団体。
要望書では、今後、感染拡大によってネットカフェなどの商業施設が閉鎖された場合、行き場を失って路上生活となる人が増える可能性を指摘。また、ホームレス状態の人などが生活保護を受給する際、一時的に入所する施設が相部屋となっているケースが常態化しているとして、感染のリスクを問題視している。具体的には@巡回相談を強化し、路上生活を始めて間もない人らへの相談支援や情報提供を行うAホテルの空き室や公共施設を利用した一時的な居場所の確保B支援ニーズを把握し、生活保護などの支援制度に積極的につなげること−−などを求めた。
要望書提出を呼びかけたまちづくりコンサルタントの北畠拓也さんは、「路上ホームレスは健康状況が元々良くないし、生活保護を受けるとなれば一時的であっても多くが相部屋での集団生活を余儀なくされ、さらに感染リスクが高まる。これでは感染リスクを下げながら安定的な住居につなげることは難しい」と指摘。さらに「集団感染を防ぐためにも、できる限り個室を確保してほしい」と訴えた。
また要望書によると、英国・ロンドンや米国・カリフォルニア州では、ホームレス状態の人のために行政がホテルを借り上げ、一時的な避難場所としているという。東京都豊島区周辺で路上生活者らへの炊き出しや夜回りを続けているNPO法人「TENOHASI」の清野賢司さんは、2008年9月のリーマン・ショックを引き合いに出し「当時も発生から2〜3カ月後に、炊き出しを求める人たちが一気に増えた。今回もこれから影響が現れてくる」と指摘。また、「路上生活者一人一人が安全な居場所を確保していなければ、そこから感染が広がる。常に弱いところにしわ寄せがいくことを行政は認識し、早急に対応してほしい」と訴えた。
毎日新聞2020年4月3日 22時09分(最終更新 4月3日 22時09分)
https://mainichi.jp/articles/20200403/k00/00m/040/280000c
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要望書を提出したのは、東京都内で生活困窮者支援に携わる「一般社団法人つくろい東京ファンド」や路上生活者らが販売する雑誌「ビッグイシュー」の日本版の発行元など計6団体。
要望書では、今後、感染拡大によってネットカフェなどの商業施設が閉鎖された場合、行き場を失って路上生活となる人が増える可能性を指摘。また、ホームレス状態の人などが生活保護を受給する際、一時的に入所する施設が相部屋となっているケースが常態化しているとして、感染のリスクを問題視している。具体的には@巡回相談を強化し、路上生活を始めて間もない人らへの相談支援や情報提供を行うAホテルの空き室や公共施設を利用した一時的な居場所の確保B支援ニーズを把握し、生活保護などの支援制度に積極的につなげること−−などを求めた。
要望書提出を呼びかけたまちづくりコンサルタントの北畠拓也さんは、「路上ホームレスは健康状況が元々良くないし、生活保護を受けるとなれば一時的であっても多くが相部屋での集団生活を余儀なくされ、さらに感染リスクが高まる。これでは感染リスクを下げながら安定的な住居につなげることは難しい」と指摘。さらに「集団感染を防ぐためにも、できる限り個室を確保してほしい」と訴えた。
また要望書によると、英国・ロンドンや米国・カリフォルニア州では、ホームレス状態の人のために行政がホテルを借り上げ、一時的な避難場所としているという。東京都豊島区周辺で路上生活者らへの炊き出しや夜回りを続けているNPO法人「TENOHASI」の清野賢司さんは、2008年9月のリーマン・ショックを引き合いに出し「当時も発生から2〜3カ月後に、炊き出しを求める人たちが一気に増えた。今回もこれから影響が現れてくる」と指摘。また、「路上生活者一人一人が安全な居場所を確保していなければ、そこから感染が広がる。常に弱いところにしわ寄せがいくことを行政は認識し、早急に対応してほしい」と訴えた。
毎日新聞2020年4月3日 22時09分(最終更新 4月3日 22時09分)
https://mainichi.jp/articles/20200403/k00/00m/040/280000c
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