「投票所入場整理券」のサンプル。福岡市ではこの葉書を持参しなくても投票できる=18日午後、同市選挙管理委員会事務局
https://www.nishinippon.co.jp/import/national/20171019/201710190004_000.jpg?1508380802
選挙で投票所に行く際に持参する「投票所入場整理券」。選挙名や指定の投票所、氏名などを印字しており、受付で係員が選挙人名簿と照合し、投票用紙と引き換えてくれる大切な券だ。いつもは選挙の公示・告示後、自宅に郵送されてくる。今回も衆院選の投票日(22日)が近づき、そろそろ届くはずだが…。自宅の郵便受けを連日チェックしても、一向に届かない。券を持たない私は、ちゃんと投票できるのだろうか−。
衆院選の公示(10日)から8日間が過ぎた18日。福岡市中央区の自宅の郵便受けには、公共料金の請求書やチラシばかりで、肝心の整理券はまだ入らない。中央区役所に確認すると、担当者が「整理券なしでも投票できます」と教えてくれた。
福岡市の場合、券を持たずに投票所に行っても、氏名、住所、生年月日を「宣誓書」に記せば投票用紙を渡される。身分証明書を提示する必要はなく、記載内容に誤りがなければ問題ないという。総務省によると、券が届いていない場合の本人確認のやり方は自治体の判断。北九州市と久留米市は原則、身分証明書の提示を求めているという。
福岡市選挙管理委員会によると、券は公示・告示日から発送し始め、2、3日で配布。ただ、書留などで届いたか確認していないため、選挙のたびに「券が届かない」との問い合わせがあるという。
こうした事態に備え、福岡市は、2015年4月の市議選や16年7月の参院選では、券がなくても投票できることを、市政だよりで周知。今回は突然の解散総選挙で、それができなかったという。市選挙課の永井信課長は「券のない人には対応を問い合わせてもらうしかない」と話す。
とりあえずひと安心だが、疑問も残る。もし私の名前や住所、生年月日を知っている誰かが宣誓書に記載し、投票した場合はどうなるのか。郵便受けから券を抜き取り、私になりすまして事前投票することもあり得る。「そうやってなりすまして投票されれば、見抜くことは相当難しいですね」と永井課長は漏らす。
投票されれば“二重投票”となり、公職選挙法が規定する「潜在無効投票」。だが、投票箱内では特定できずに「有効とせざるを得ない」(市選管)事態となるという。ならば、本人確認を厳格にすればいいのでは−。そう問うと、永井課長は首を横に振った。「なりすましの排除のため、全員を厳しくチェックするか。それとも気持ちよく投票してもらうか。バランスを考え、今の手続きが適切と判断しています」
もちろん各投票所では、投票者の見た目が名簿の年齢と相違ないか目視でのチェックは実施している。何より、なりすまし投票は、公選法違反罪に問われる犯罪だ。投票者の利便性を考慮したシステムの悪用は許されない。
配信 2017/10/19
西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/366922/
https://www.nishinippon.co.jp/import/national/20171019/201710190004_000.jpg?1508380802
選挙で投票所に行く際に持参する「投票所入場整理券」。選挙名や指定の投票所、氏名などを印字しており、受付で係員が選挙人名簿と照合し、投票用紙と引き換えてくれる大切な券だ。いつもは選挙の公示・告示後、自宅に郵送されてくる。今回も衆院選の投票日(22日)が近づき、そろそろ届くはずだが…。自宅の郵便受けを連日チェックしても、一向に届かない。券を持たない私は、ちゃんと投票できるのだろうか−。
衆院選の公示(10日)から8日間が過ぎた18日。福岡市中央区の自宅の郵便受けには、公共料金の請求書やチラシばかりで、肝心の整理券はまだ入らない。中央区役所に確認すると、担当者が「整理券なしでも投票できます」と教えてくれた。
福岡市の場合、券を持たずに投票所に行っても、氏名、住所、生年月日を「宣誓書」に記せば投票用紙を渡される。身分証明書を提示する必要はなく、記載内容に誤りがなければ問題ないという。総務省によると、券が届いていない場合の本人確認のやり方は自治体の判断。北九州市と久留米市は原則、身分証明書の提示を求めているという。
福岡市選挙管理委員会によると、券は公示・告示日から発送し始め、2、3日で配布。ただ、書留などで届いたか確認していないため、選挙のたびに「券が届かない」との問い合わせがあるという。
こうした事態に備え、福岡市は、2015年4月の市議選や16年7月の参院選では、券がなくても投票できることを、市政だよりで周知。今回は突然の解散総選挙で、それができなかったという。市選挙課の永井信課長は「券のない人には対応を問い合わせてもらうしかない」と話す。
とりあえずひと安心だが、疑問も残る。もし私の名前や住所、生年月日を知っている誰かが宣誓書に記載し、投票した場合はどうなるのか。郵便受けから券を抜き取り、私になりすまして事前投票することもあり得る。「そうやってなりすまして投票されれば、見抜くことは相当難しいですね」と永井課長は漏らす。
投票されれば“二重投票”となり、公職選挙法が規定する「潜在無効投票」。だが、投票箱内では特定できずに「有効とせざるを得ない」(市選管)事態となるという。ならば、本人確認を厳格にすればいいのでは−。そう問うと、永井課長は首を横に振った。「なりすましの排除のため、全員を厳しくチェックするか。それとも気持ちよく投票してもらうか。バランスを考え、今の手続きが適切と判断しています」
もちろん各投票所では、投票者の見た目が名簿の年齢と相違ないか目視でのチェックは実施している。何より、なりすまし投票は、公選法違反罪に問われる犯罪だ。投票者の利便性を考慮したシステムの悪用は許されない。
配信 2017/10/19
西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/366922/