コレクションに囲まれ、「こけしは僕の恋人」と話す池沼さん(静岡県浜松市浜北区で)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20171030/20171030-OYT1I50005-L.jpg
93歳にして、こけしのコレクションを初めて本格的に公開している収集家が静岡県浜松市浜北区にいる。
約30年間にわたって東北地方に足を運び、職人を訪ねて1800点ほどを集めた池沼悠夫はるおさんだ。同市博物館(浜松市中区蜆塚)で約500点を展示しており、来館を呼びかけている。11月5日まで。
池沼さんとこけしとの出合いは1955年(昭和30年)。参加した句会で地元の医師に見せてもらい、「色気がある。人間かと思った」と表情にほれ込んだ。最初は解説書の著者に手紙を出して、職人を紹介してもらい、その後も会社勤めをしながら、盆と正月は欠かさず宮城や山形、秋田などの産地を巡った。
こけしは一つ一つが丹精込めた手作りの品。それだけに、浜松から特急列車を乗り継ぎ10時間以上かけてやって来た池沼さんでも、すぐに売ってもらえるとは限らなかった。しょっぱい漬物をかじり、職人と世間話をして打ち解け、ようやく購入できたこともある。収入のうち生活費以外はすべてこけし収集につぎ込んだという。「だって、こけしは僕の恋人だから」
職人1人につき1点ずつ集めたこけしは、清楚せいそでかわいらしいものもあれば、どこか間の抜けたような顔つきのものも。紫外線に当たると色落ちしてしまうため、薄暗い自宅倉庫で大切に保管し、たまに近くの銀行支店で数点を展示する程度だった。
今回、市博物館で開いている市民コレクター展「わたしのこけし」は、池沼さんと付き合いのある学芸員、佐野聖子さんが長年、熱心に働きかけてきたことで実現した。制作の年代順や産地ごとに並べて特色を説明し、池沼さんがなぜこけしにひかれたかのストーリーも紹介している。
池沼さんは「一つとて同じ表情のこけしはない。表情の違いを楽しんでほしい」と話している。
◇
市博物館は月曜休館。開館時間は午前9時〜午後5時。入館料は一般300円、高校生150円、中学生以下と70歳以上は無料。
問い合わせは、市博物館(電話番号はソース先確認)へ。
2017年10月30日 12時00分
YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171030-OYT1T50012.html
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93歳にして、こけしのコレクションを初めて本格的に公開している収集家が静岡県浜松市浜北区にいる。
約30年間にわたって東北地方に足を運び、職人を訪ねて1800点ほどを集めた池沼悠夫はるおさんだ。同市博物館(浜松市中区蜆塚)で約500点を展示しており、来館を呼びかけている。11月5日まで。
池沼さんとこけしとの出合いは1955年(昭和30年)。参加した句会で地元の医師に見せてもらい、「色気がある。人間かと思った」と表情にほれ込んだ。最初は解説書の著者に手紙を出して、職人を紹介してもらい、その後も会社勤めをしながら、盆と正月は欠かさず宮城や山形、秋田などの産地を巡った。
こけしは一つ一つが丹精込めた手作りの品。それだけに、浜松から特急列車を乗り継ぎ10時間以上かけてやって来た池沼さんでも、すぐに売ってもらえるとは限らなかった。しょっぱい漬物をかじり、職人と世間話をして打ち解け、ようやく購入できたこともある。収入のうち生活費以外はすべてこけし収集につぎ込んだという。「だって、こけしは僕の恋人だから」
職人1人につき1点ずつ集めたこけしは、清楚せいそでかわいらしいものもあれば、どこか間の抜けたような顔つきのものも。紫外線に当たると色落ちしてしまうため、薄暗い自宅倉庫で大切に保管し、たまに近くの銀行支店で数点を展示する程度だった。
今回、市博物館で開いている市民コレクター展「わたしのこけし」は、池沼さんと付き合いのある学芸員、佐野聖子さんが長年、熱心に働きかけてきたことで実現した。制作の年代順や産地ごとに並べて特色を説明し、池沼さんがなぜこけしにひかれたかのストーリーも紹介している。
池沼さんは「一つとて同じ表情のこけしはない。表情の違いを楽しんでほしい」と話している。
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市博物館は月曜休館。開館時間は午前9時〜午後5時。入館料は一般300円、高校生150円、中学生以下と70歳以上は無料。
問い合わせは、市博物館(電話番号はソース先確認)へ。
2017年10月30日 12時00分
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