http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42815205
(リンク先に動画ニュースあり)
米体操五輪チームの元医師ラリー・ナッサー被告(54)は、治療するはずの女性スポーツ選手に対して加害行動を取った罪で、禁錮40年から175年の実刑判決をミシガン州の法廷で言い渡された。
自分たちの被害について156人の女性が法廷で次々と証言した。BBCのラジニ・バイディヤナザン記者とロナルド・ヒューズ記者が、性暴力を受けながら生き延びたサバイバーたちの非凡な証言を紹介する。
(この記事は具体的な性的内容を含みます)
156人の若い女性、母親、姉妹、娘、オリンピック選手。
全員が1人の男、米国の女子体操五輪チームの元医師ラリー・ナッサー被告から、性的暴力を受けたと証言した。
7日間にわたり、1人1人が証言台に立ち、性的暴力の被害者としては異例の行動をとった。加害者と直接向き合ったのだ。
ナッサー被告はすでに、治療に見せかけた加害行動10件について有罪を認めていた。
告訴していた女性たちは、ミシガン州ランシングで行われた量刑言い渡しの審理で証言台に立った。さらに、そのほか150人近い女性が同じように証言した。匿名が権利として認められていても、多くの女性があえて顔を出し、実名を名乗り、被害を語った。
最初に証言したのは、カイル・スティーブンス氏だった。
スティーブンス氏は長年、「被害者ZA」と呼ばれ続けたが、23日午前にはローズマリー・アクイリナ裁判長の前に立ち、落ち着いた様子で名前を名乗った。
名乗ることでスティーブンス氏は公共の場で匿名でいる権利を放棄し、続いて被告がどういった危害を加えたかについて証言を始めた。
「話す準備はできていました」。証言後のスティーブンス氏は、BBCにこう話した。
「あそこに立って、自分の経験したことを一部始終話すことで、自分が強くなったと思う」
数十年にわたりナッサー被告は若い女性に加害行動を重ねていた。ついに逮捕されることになったのは、スティーブンス氏の通報がきっかけだった。
この事件で証言した他の多くの女性とは異なり、スティーブンス氏は体操選手でもナッサー被告の患者でもなかった。スティーブンス氏の両親が、被告の家族と親しかったのだ。
狭い法廷の証言台に立つと、にっこり笑う幼いスティーブンス氏の写真がスクリーンに映し出された。被告による加害行動の被害を最初に受けたのは、6歳の時。「まだ乳歯がぜんぶ抜けていなかった」。
被告はまず最初に、スティーブンス氏の前で性器を露出した。やがて、彼女の前で自慰するようになった。そして次に、実際に彼女の体に触れ、加害行動に及んだ。全ては両家の家族が、同じ家の中にいる時のことだった。
12歳になったスティーブンス氏は両親に、被告が勃起したペニスを自分の素足にこすりつけてくると訴えた。しかし被告は否定し、少女の両親は娘を信用せず、被告に謝るよう促した。
「彼のせいで、急いで大人になるしかなかった」。スティーブンス氏は審理後、BBCにこう話した。「たいしたことじゃないと思っていたことが、大人になって成長してはじめて、いかに卑劣な行為だったか気づいた」。
(リンク先に続きあり)
証人カイル・スティーブンス氏の子供の頃の写真が法廷のスクリーンに映し出された
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/14302/production/_99709628_stephens.png
(リンク先に動画ニュースあり)
米体操五輪チームの元医師ラリー・ナッサー被告(54)は、治療するはずの女性スポーツ選手に対して加害行動を取った罪で、禁錮40年から175年の実刑判決をミシガン州の法廷で言い渡された。
自分たちの被害について156人の女性が法廷で次々と証言した。BBCのラジニ・バイディヤナザン記者とロナルド・ヒューズ記者が、性暴力を受けながら生き延びたサバイバーたちの非凡な証言を紹介する。
(この記事は具体的な性的内容を含みます)
156人の若い女性、母親、姉妹、娘、オリンピック選手。
全員が1人の男、米国の女子体操五輪チームの元医師ラリー・ナッサー被告から、性的暴力を受けたと証言した。
7日間にわたり、1人1人が証言台に立ち、性的暴力の被害者としては異例の行動をとった。加害者と直接向き合ったのだ。
ナッサー被告はすでに、治療に見せかけた加害行動10件について有罪を認めていた。
告訴していた女性たちは、ミシガン州ランシングで行われた量刑言い渡しの審理で証言台に立った。さらに、そのほか150人近い女性が同じように証言した。匿名が権利として認められていても、多くの女性があえて顔を出し、実名を名乗り、被害を語った。
最初に証言したのは、カイル・スティーブンス氏だった。
スティーブンス氏は長年、「被害者ZA」と呼ばれ続けたが、23日午前にはローズマリー・アクイリナ裁判長の前に立ち、落ち着いた様子で名前を名乗った。
名乗ることでスティーブンス氏は公共の場で匿名でいる権利を放棄し、続いて被告がどういった危害を加えたかについて証言を始めた。
「話す準備はできていました」。証言後のスティーブンス氏は、BBCにこう話した。
「あそこに立って、自分の経験したことを一部始終話すことで、自分が強くなったと思う」
数十年にわたりナッサー被告は若い女性に加害行動を重ねていた。ついに逮捕されることになったのは、スティーブンス氏の通報がきっかけだった。
この事件で証言した他の多くの女性とは異なり、スティーブンス氏は体操選手でもナッサー被告の患者でもなかった。スティーブンス氏の両親が、被告の家族と親しかったのだ。
狭い法廷の証言台に立つと、にっこり笑う幼いスティーブンス氏の写真がスクリーンに映し出された。被告による加害行動の被害を最初に受けたのは、6歳の時。「まだ乳歯がぜんぶ抜けていなかった」。
被告はまず最初に、スティーブンス氏の前で性器を露出した。やがて、彼女の前で自慰するようになった。そして次に、実際に彼女の体に触れ、加害行動に及んだ。全ては両家の家族が、同じ家の中にいる時のことだった。
12歳になったスティーブンス氏は両親に、被告が勃起したペニスを自分の素足にこすりつけてくると訴えた。しかし被告は否定し、少女の両親は娘を信用せず、被告に謝るよう促した。
「彼のせいで、急いで大人になるしかなかった」。スティーブンス氏は審理後、BBCにこう話した。「たいしたことじゃないと思っていたことが、大人になって成長してはじめて、いかに卑劣な行為だったか気づいた」。
(リンク先に続きあり)
証人カイル・スティーブンス氏の子供の頃の写真が法廷のスクリーンに映し出された
https://ichef-1.bbci.co.uk/news/410/cpsprodpb/14302/production/_99709628_stephens.png