指定暴力団神戸山口組に“反旗”を翻した勢力による「任侠(にんきょう)山口組」の電撃結成から4月30日で丸1年が過ぎた。山口組を名乗る3組織の中で組織が最も小さく、「長くはもたない」というのが関係者の大方の見方だったが、その予想を裏切る形で存在感を増し、警察当局は今年3月、独立した指定暴力団と認めた。潤沢な資金力を武器に、「国内最強」とうたわれた山口組で起こるドミノ式の組織分裂。最初の騒動から2年半以上が過ぎた今も組織間のトラブルは絶えず、対立の溝が狭まる気配はない。そんな中、ある人物の出所が分裂騒動の行方のカギを握るとの見方も出ている。
3組織並存の異常事態
3月26日午前、任侠山口組の本拠と認定されている傘下組織「真鍋組」事務所(兵庫県尼崎市)に、福岡県警の捜査員ら数十人が家宅捜索に入った。ヘルメットを着用し盾を持った完全防備の機動隊も事務所前に整列。捜索は約45分後にトラブルもなく終了したが、報道機関の記者も集結し現場は一時ものものしい雰囲気に包まれた。
4日前の22日には兵庫県公安委員会が、六代目山口組、神戸山口組に続き山口組を名乗る組織としては3番目の指定暴力団に指定したばかり。捜索理由は組幹部が起こした恐喝事件の解明のためだった。
かつて一枚岩を誇った山口組に亀裂が入ったのは約2年半前の平成27年8月だった。六代目山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(76)の出身母体である「弘道会」(名古屋市中村区)主導の組織運営や高額な上納金(会費)に反発した幹部らが神戸山口組を結成。さらに昨年4月30日には、神戸山口組の井上邦雄組長(69)に反発した組内部の勢力が「任侠団体山口組」(昨年8月に任侠山口組と改称)を組織し、山口組を名乗る指定暴力団が3組織並存するという異常事態に発展した。
“脱暴力団”路線の放棄
任侠山口組トップの代表には、神戸山口組の金禎紀(通称・織田絆誠(よしのり))若頭代行(51)が就任。組の中核組織「山健組」(神戸市中央区)傘下の組長のうち約3分の1が追随し、神戸山口組の直系組織からも「古川組」の一部幹部や「真鍋組」組長が加わった。
任侠山口組は当初、従来の暴力団組織と一線を画することを標榜(ひょうぼう)した。新組織結成や組の代替わりの際の重要儀式とされる「盃事(さかずきごと)」を行わず、組員同士が疑似的な血縁関係を結んで親子や兄弟となることを避けた。組側は「上意下達ではなく、皆が平等で支え合う組織となる」とも公言。組内部からは「“脱暴力団”を目指す」との考えも飛び出したが、ある兵庫県警の捜査幹部はこうした組側の主張を「詭弁(きべん)」と切り捨てる。
「任侠山口組は数カ月で消滅するとの見方もあったが、織田(代表)のカリスマ性が浸透し勢力を拡大したのは事実だ。だが、組織の実態は従来の暴力団と同じ。何を言おうと任侠山口組は暴力団だ」
組側は今年3月、代表に次ぐナンバー2のポストとして、他の暴力団組織と同様に「若頭」を設置し傘下の真鍋組の池田幸治組長(51)が就任。暴力団関係者によると、組結成1年となった同4月以降は、組幹部が集まる定例会を毎月開催から隔月開催とし、直系組長の毎月の会費額を10万円から5万円に半減するなど傘下組織の負担軽減を図ったが、定例会や会費など他団体も導入する暴力団独自の組織運営ルールそのものは存続させている。
全文はこちら
https://www.sankei.com/smp/west/news/180511/wst1805110005-s1.html
http://www.sankei.com/images/news/180511/wst1805110005-p1.jpg
3組織並存の異常事態
3月26日午前、任侠山口組の本拠と認定されている傘下組織「真鍋組」事務所(兵庫県尼崎市)に、福岡県警の捜査員ら数十人が家宅捜索に入った。ヘルメットを着用し盾を持った完全防備の機動隊も事務所前に整列。捜索は約45分後にトラブルもなく終了したが、報道機関の記者も集結し現場は一時ものものしい雰囲気に包まれた。
4日前の22日には兵庫県公安委員会が、六代目山口組、神戸山口組に続き山口組を名乗る組織としては3番目の指定暴力団に指定したばかり。捜索理由は組幹部が起こした恐喝事件の解明のためだった。
かつて一枚岩を誇った山口組に亀裂が入ったのは約2年半前の平成27年8月だった。六代目山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(76)の出身母体である「弘道会」(名古屋市中村区)主導の組織運営や高額な上納金(会費)に反発した幹部らが神戸山口組を結成。さらに昨年4月30日には、神戸山口組の井上邦雄組長(69)に反発した組内部の勢力が「任侠団体山口組」(昨年8月に任侠山口組と改称)を組織し、山口組を名乗る指定暴力団が3組織並存するという異常事態に発展した。
“脱暴力団”路線の放棄
任侠山口組トップの代表には、神戸山口組の金禎紀(通称・織田絆誠(よしのり))若頭代行(51)が就任。組の中核組織「山健組」(神戸市中央区)傘下の組長のうち約3分の1が追随し、神戸山口組の直系組織からも「古川組」の一部幹部や「真鍋組」組長が加わった。
任侠山口組は当初、従来の暴力団組織と一線を画することを標榜(ひょうぼう)した。新組織結成や組の代替わりの際の重要儀式とされる「盃事(さかずきごと)」を行わず、組員同士が疑似的な血縁関係を結んで親子や兄弟となることを避けた。組側は「上意下達ではなく、皆が平等で支え合う組織となる」とも公言。組内部からは「“脱暴力団”を目指す」との考えも飛び出したが、ある兵庫県警の捜査幹部はこうした組側の主張を「詭弁(きべん)」と切り捨てる。
「任侠山口組は数カ月で消滅するとの見方もあったが、織田(代表)のカリスマ性が浸透し勢力を拡大したのは事実だ。だが、組織の実態は従来の暴力団と同じ。何を言おうと任侠山口組は暴力団だ」
組側は今年3月、代表に次ぐナンバー2のポストとして、他の暴力団組織と同様に「若頭」を設置し傘下の真鍋組の池田幸治組長(51)が就任。暴力団関係者によると、組結成1年となった同4月以降は、組幹部が集まる定例会を毎月開催から隔月開催とし、直系組長の毎月の会費額を10万円から5万円に半減するなど傘下組織の負担軽減を図ったが、定例会や会費など他団体も導入する暴力団独自の組織運営ルールそのものは存続させている。
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