https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-14/PGM1GV6JTSE801?srnd=cojp-v2
日本株は反落へ、米国とサウジ対立で原油高を懸念
河元伸吾
2018年10月15日 8:06 JST
更新日時 2018年10月15日 15:42 JST
→米財務長官が対日通商協定で為替条項示唆、為替1ドル=111円台に
→情報・通信や自動車、銀行など時価総額上位業種中心売られる
15日の東京株式相場は反落し、TOPIXは約7カ月ぶりの安値を付けた。米国の財務長官が日本との通商協議で為替条項を求める意向を示し、貿易摩擦問題の根深さが嫌気され、サウジアラビア情勢も警戒された。情報・通信や自動車、銀行など時価総額上位業種を中心に幅広く安い。
TOPIXの終値は前週末比27.01ポイント(1.6%)安の1675.44、日経平均株価は423円36銭(1.9%)安の2万2271円30銭。TOPIXは3月26日以来の安値を付け、日経平均も8月21日以来、およそ2カ月ぶりの安値に沈んだ。
大和住銀投信投資顧問の門司総一郎シニア・エコノミストは、「リスクパリティなどによる売りが売りを呼び、日本株の下げが加速している可能性がある」と指摘。きっかけは米財務長官による為替条項要求発言で、「為替が円高に振れたことがクローズアップされた」と言う。ただし、為替条項は自国通貨安誘導と判断するオプションを米国に与えるため、「片務的で現実的ではない。米国の中間選挙に向けたポーズで、いずれはトーンダウンする」との見方も示した。
ムニューシン米財務長官は日本との物品貿易協定(TAG)交渉で、通貨安誘導を防ぐ為替条項を同協定に盛り込むことを目指していると主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれたインドネシアのバリ島で記者団に述べた。また、G20で議長国を務めたアルゼンチンのドゥホブネ財務相は、通商問題は当事国間で解決する必要があると説明した。
日米など貿易摩擦問題の根深さに対する懸念から、きょうのドル・円は一時1ドル=111円90銭台と前週末の日本株終値時点112円40銭からドル安・円高が進行。このほかサウジアラビアは14日、反体制派ジャーナリストの失踪について懲罰的措置を受けた場合、世界経済に対する自国の影響力を行使し、報復する可能性を示唆した。トランプ米大統領はこの問題にサウジ当局が関係している場合、厳罰を辞さないと表明している。ニューヨーク原油先物はアジア時間15日の時間外取引で一時1バレル=72ドル台後半と、前週末終値71.34ドルから1ドル以上上げた。
週明けの日本株は朝方から売りが優勢、前引けにかけやや下げ渋る動きも見せたが、午後に再度売り直され、TOPIX、日経平均ともこの日の安値圏で終えた。野村証券投資情報部の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「G20で米中など通商問題に対する国際間の協調が欠落しており、マーケットは失望した」と指摘。米財務長官発言も、「円安に向かわないようになるとのセンチメントが働いてしまい、ボラティリティーが高まりやすい環境を嫌気した」と言う。東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米国とサウジアラビアの動向にはまだ分からない部分が多いとしながらも、「原油高を受け米国でインフレ期待が高まり、再び長期金利が上昇する可能性があり、株安が連想される」とみていた。
東証1部33業種は情報・通信、ガラス・土石製品、輸送用機器、食料品、銀行、精密機器、その他製品、化学、繊維など31業種が下落、上昇は鉱業と空運の2業種
売買代金上位では、ソフトバンクグループとファーストリテイリングの2銘柄で170円以上下げ、ソフバンクはサウジとの関係が深いビジョン・ファンドの行方を懸念する声もあった、トヨタ自動車や東海カーボン、資生堂、ダイキン工業も安い
半面、原油高を受け国際石油開発帝石が上げ、日本航空やソースネクストが堅調
東証1部の売買高は14億17万株、売買代金は2兆5945億円、値上がり銘柄数は223、値下がり1852
日本株は反落へ、米国とサウジ対立で原油高を懸念
河元伸吾
2018年10月15日 8:06 JST
更新日時 2018年10月15日 15:42 JST
→米財務長官が対日通商協定で為替条項示唆、為替1ドル=111円台に
→情報・通信や自動車、銀行など時価総額上位業種中心売られる
15日の東京株式相場は反落し、TOPIXは約7カ月ぶりの安値を付けた。米国の財務長官が日本との通商協議で為替条項を求める意向を示し、貿易摩擦問題の根深さが嫌気され、サウジアラビア情勢も警戒された。情報・通信や自動車、銀行など時価総額上位業種を中心に幅広く安い。
TOPIXの終値は前週末比27.01ポイント(1.6%)安の1675.44、日経平均株価は423円36銭(1.9%)安の2万2271円30銭。TOPIXは3月26日以来の安値を付け、日経平均も8月21日以来、およそ2カ月ぶりの安値に沈んだ。
大和住銀投信投資顧問の門司総一郎シニア・エコノミストは、「リスクパリティなどによる売りが売りを呼び、日本株の下げが加速している可能性がある」と指摘。きっかけは米財務長官による為替条項要求発言で、「為替が円高に振れたことがクローズアップされた」と言う。ただし、為替条項は自国通貨安誘導と判断するオプションを米国に与えるため、「片務的で現実的ではない。米国の中間選挙に向けたポーズで、いずれはトーンダウンする」との見方も示した。
ムニューシン米財務長官は日本との物品貿易協定(TAG)交渉で、通貨安誘導を防ぐ為替条項を同協定に盛り込むことを目指していると主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれたインドネシアのバリ島で記者団に述べた。また、G20で議長国を務めたアルゼンチンのドゥホブネ財務相は、通商問題は当事国間で解決する必要があると説明した。
日米など貿易摩擦問題の根深さに対する懸念から、きょうのドル・円は一時1ドル=111円90銭台と前週末の日本株終値時点112円40銭からドル安・円高が進行。このほかサウジアラビアは14日、反体制派ジャーナリストの失踪について懲罰的措置を受けた場合、世界経済に対する自国の影響力を行使し、報復する可能性を示唆した。トランプ米大統領はこの問題にサウジ当局が関係している場合、厳罰を辞さないと表明している。ニューヨーク原油先物はアジア時間15日の時間外取引で一時1バレル=72ドル台後半と、前週末終値71.34ドルから1ドル以上上げた。
週明けの日本株は朝方から売りが優勢、前引けにかけやや下げ渋る動きも見せたが、午後に再度売り直され、TOPIX、日経平均ともこの日の安値圏で終えた。野村証券投資情報部の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「G20で米中など通商問題に対する国際間の協調が欠落しており、マーケットは失望した」と指摘。米財務長官発言も、「円安に向かわないようになるとのセンチメントが働いてしまい、ボラティリティーが高まりやすい環境を嫌気した」と言う。東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米国とサウジアラビアの動向にはまだ分からない部分が多いとしながらも、「原油高を受け米国でインフレ期待が高まり、再び長期金利が上昇する可能性があり、株安が連想される」とみていた。
東証1部33業種は情報・通信、ガラス・土石製品、輸送用機器、食料品、銀行、精密機器、その他製品、化学、繊維など31業種が下落、上昇は鉱業と空運の2業種
売買代金上位では、ソフトバンクグループとファーストリテイリングの2銘柄で170円以上下げ、ソフバンクはサウジとの関係が深いビジョン・ファンドの行方を懸念する声もあった、トヨタ自動車や東海カーボン、資生堂、ダイキン工業も安い
半面、原油高を受け国際石油開発帝石が上げ、日本航空やソースネクストが堅調
東証1部の売買高は14億17万株、売買代金は2兆5945億円、値上がり銘柄数は223、値下がり1852