https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181211-00000056-sasahi-soci
「入社してから初めて、お酒なしの忘年会をやる羽目になりました……」
こうぼやくのは、副操縦士の“酩酊事件”で揺れる日本航空(JAL)の本社社員だ。
会社から社員に「年内は禁酒」の通達メールが届いたという。くしくも本格的な
忘年会シーズンを迎えたタイミングでの禁酒令発動。社員の間には、戸惑いが広がっている。
酩酊事件は、まず10月28日、ロンドン・ヒースロー空港で発生した。ロンドン−羽田便に
乗務予定だった副操縦士から現地基準の約10倍のアルコールが検出。副操縦士は英国警察に逮捕された。
11月29日、英アイズルワース刑事法院は、副操縦士に禁錮10カ月の実刑判決を言い渡した。
これを受けてJALは30日、同副操縦士の懲戒解雇を発表。代表取締役社長は月額報酬20%減(3カ月)、
取締役専務執行役員運航本部長も同10%を減額(同)とした。
さらに、11月28日、国内でJALグループの日本エアコミューターでもアルコール問題が発生。
鹿児島−屋久島便に乗務予定だった機長から、基準値を超えるアルコールが検出され、便の遅延が発生した。
「ロンドンの事案の後にも全社員に注意喚起のメールが出されたのですが、鹿児島の事案を受け、
対応強化として禁酒の通達メールが出されたんです」(前出のJAL社員)
JALグループの連結従業員数は約3万3千人(3月時点)。メールは「年内は、社内組織単位の飲酒を伴う
懇親会・忘年会を自粛すること」「公の場でのJALグループ関連の会話自粛」「JALグループが分かる
社章等の取り外し」を徹底するように、といった趣旨の内容だったという。
前出のJAL社員は飲み放題付きプランで都内の店を前々から予約していたが、急きょ飲み放題をキャンセルする羽目に。
「忘年会は例年、若手が盛り上げ役として余興をするのですが、今年はアルコールなしで会場はどこか白けたムード。
見てるほうもやるほうも地獄でした。一生懸命練習をしてきた若手がかわいそう……」(同)
JAL広報に禁酒通達の真偽を確認した。
「社長から全グループ社員に対する事例周知と注意喚起をし、社員一人一人の意識改革を徹底する方針で動いていますが、
その詳細については公開しておりません」(JAL広報部)
危機管理に詳しく、国内外で2千件を超えるリスクマネジメントを担当してきた白井邦芳さん(ACEコンサルティング)は、
今回の禁酒通達について指摘する。
「緊急措置なのでしょうが、会社側に“ダメと言ったところで、またやるだろう”という考えがある。
不祥事を防ぐために何かを全面禁止にすれば、結局は“隠れてやればいい”となります。コンプライアンスは、
なぜそれがダメなのかを具体的に説明し理解させることが大事なのです。それを飛び越えた過剰なルール設定は、本末転倒です」
形式主義に陥らず、信頼の翼を取り戻してほしい。
「入社してから初めて、お酒なしの忘年会をやる羽目になりました……」
こうぼやくのは、副操縦士の“酩酊事件”で揺れる日本航空(JAL)の本社社員だ。
会社から社員に「年内は禁酒」の通達メールが届いたという。くしくも本格的な
忘年会シーズンを迎えたタイミングでの禁酒令発動。社員の間には、戸惑いが広がっている。
酩酊事件は、まず10月28日、ロンドン・ヒースロー空港で発生した。ロンドン−羽田便に
乗務予定だった副操縦士から現地基準の約10倍のアルコールが検出。副操縦士は英国警察に逮捕された。
11月29日、英アイズルワース刑事法院は、副操縦士に禁錮10カ月の実刑判決を言い渡した。
これを受けてJALは30日、同副操縦士の懲戒解雇を発表。代表取締役社長は月額報酬20%減(3カ月)、
取締役専務執行役員運航本部長も同10%を減額(同)とした。
さらに、11月28日、国内でJALグループの日本エアコミューターでもアルコール問題が発生。
鹿児島−屋久島便に乗務予定だった機長から、基準値を超えるアルコールが検出され、便の遅延が発生した。
「ロンドンの事案の後にも全社員に注意喚起のメールが出されたのですが、鹿児島の事案を受け、
対応強化として禁酒の通達メールが出されたんです」(前出のJAL社員)
JALグループの連結従業員数は約3万3千人(3月時点)。メールは「年内は、社内組織単位の飲酒を伴う
懇親会・忘年会を自粛すること」「公の場でのJALグループ関連の会話自粛」「JALグループが分かる
社章等の取り外し」を徹底するように、といった趣旨の内容だったという。
前出のJAL社員は飲み放題付きプランで都内の店を前々から予約していたが、急きょ飲み放題をキャンセルする羽目に。
「忘年会は例年、若手が盛り上げ役として余興をするのですが、今年はアルコールなしで会場はどこか白けたムード。
見てるほうもやるほうも地獄でした。一生懸命練習をしてきた若手がかわいそう……」(同)
JAL広報に禁酒通達の真偽を確認した。
「社長から全グループ社員に対する事例周知と注意喚起をし、社員一人一人の意識改革を徹底する方針で動いていますが、
その詳細については公開しておりません」(JAL広報部)
危機管理に詳しく、国内外で2千件を超えるリスクマネジメントを担当してきた白井邦芳さん(ACEコンサルティング)は、
今回の禁酒通達について指摘する。
「緊急措置なのでしょうが、会社側に“ダメと言ったところで、またやるだろう”という考えがある。
不祥事を防ぐために何かを全面禁止にすれば、結局は“隠れてやればいい”となります。コンプライアンスは、
なぜそれがダメなのかを具体的に説明し理解させることが大事なのです。それを飛び越えた過剰なルール設定は、本末転倒です」
形式主義に陥らず、信頼の翼を取り戻してほしい。