夜の政治
※自民党大会での安倍首相と谷垣氏
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平成時代の最後となる自民党定期党大会での谷垣禎一前幹事長の演説が満場の拍手を浴びたことが、永田町での話題となっている。
不慮の事故で障害を負った谷垣氏が、来夏の東京パラリンピックへの期待などを切々と訴えたためだが、その後の安倍晋三首相の民主党政権に対する「悪夢」発言との対比もあって、党派を超えての谷垣氏政界復帰待望論も広がっている。
3連休真ん中の2月10日、自民党が都内のホテルで開催した党大会は、「亥(い)年選挙」への総決起集会となった。
党総裁の安倍晋三首相は、選挙勝利に向け「あの悪夢の民主党政権に戻してはいけない」などとお得意の“安倍語”で拳を振り上げ、出席議員や党員らの拍手と歓声を浴びた。ただ、会場が一番沸いたのは首相ではなく、前総裁でもある谷垣氏の車椅子での演説だった。
毎回、歌やプロモーションビデオで盛り上がる大会で、党事務局が「目玉企画」と位置付けたのが、谷垣氏の「スペシャルスピーチ」。
2016年夏、皇居周辺のサイクリング中に転倒、頸髄(けいずい)損傷という重傷を負って半身不随となり、政界引退を余儀なくされたのが谷垣氏。事故以来初の「晴れ舞台」とあって、車椅子で登壇すると、会場には割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「私の不注意からの大けがで、大変ご迷惑をお掛けしました」と切り出した谷垣氏は、「私が今楽しみにしているのは、来年の東京パラリンピック。自分が障害を負って分かったのは、障害というものは一人ひとりで抱えている課題が全部違うということ」と指摘した。
その上で「パラアスリートの方々が、それぞれの課題をどう乗り越えて大会に挑戦されるのか、ぜひ拝見したい。それが私にも勇気を与えてくれる」と、会場を見回しながら切々と語り掛けた。
■保守化自民の“毒消し役”に
「自民リベラル勢力の代表」と呼ばれた谷垣氏を、14年9月の党・内閣人事で党幹事長に起用した際、首相は周辺に「ゴルフのティーショットに例えると、私は右、谷垣さんは左に行きがちなので、2人合わせればフェアウェイど真ん中」と語ったとされる。
確かに「保守色が際立つ安倍政権にとって、谷垣氏は貴重な“毒消し役”」(自民長老)でもあった。党大会での「タカ派丸出しの首相演説と、弱者への優しさがあふれる谷垣スピーチの対照」(首相経験者)も、結果的に「自民党の懐の深さのアピール」(同)につながったのは否定できない。
旧民主党系議員らを激高させた首相の「悪夢」発言には、石破茂元幹事長がすぐさま「過去の政権を引き合いに自分たちが正しいと主張するやり方は危ない」と批判するなど、自民党内の反応も複雑だ。
その一方で谷垣氏の演説については、二階俊博幹事長が「素晴らしかった。谷垣さんの復活、復帰を期待している」と目を潤ませて語るなど、党内外に政界復帰待望論が広がった。
首相や二階氏が視野に入れるのは、谷垣氏の夏の参院選比例代表での出馬とされる。「安倍政治に批判的なリベラル層からも、数十万単位で票を取り込める」(選挙アナリスト)との思惑からだ。
谷垣氏は「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」と苦笑交じりに政界復帰を否定するが、党大会での谷垣氏への大喝采は、「自民保守化への党内の不安や懸念の表れ」(自民幹部)との見方が少なくない。
メモなしでよどみなく、声量も豊かな約5分間のスピーチには、会場の歓声だけでなく、インターネットでの中継動画でも「ガッキーいいぞ!」「車椅子の総理を目指せ!」などの書き込みがあふれ、谷垣人気の根強さを際立たせた。
3/3(日) 19:26
時事通信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190303-00010002-jij-pol&p=1
※自民党大会での安倍首相と谷垣氏
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平成時代の最後となる自民党定期党大会での谷垣禎一前幹事長の演説が満場の拍手を浴びたことが、永田町での話題となっている。
不慮の事故で障害を負った谷垣氏が、来夏の東京パラリンピックへの期待などを切々と訴えたためだが、その後の安倍晋三首相の民主党政権に対する「悪夢」発言との対比もあって、党派を超えての谷垣氏政界復帰待望論も広がっている。
3連休真ん中の2月10日、自民党が都内のホテルで開催した党大会は、「亥(い)年選挙」への総決起集会となった。
党総裁の安倍晋三首相は、選挙勝利に向け「あの悪夢の民主党政権に戻してはいけない」などとお得意の“安倍語”で拳を振り上げ、出席議員や党員らの拍手と歓声を浴びた。ただ、会場が一番沸いたのは首相ではなく、前総裁でもある谷垣氏の車椅子での演説だった。
毎回、歌やプロモーションビデオで盛り上がる大会で、党事務局が「目玉企画」と位置付けたのが、谷垣氏の「スペシャルスピーチ」。
2016年夏、皇居周辺のサイクリング中に転倒、頸髄(けいずい)損傷という重傷を負って半身不随となり、政界引退を余儀なくされたのが谷垣氏。事故以来初の「晴れ舞台」とあって、車椅子で登壇すると、会場には割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。
「私の不注意からの大けがで、大変ご迷惑をお掛けしました」と切り出した谷垣氏は、「私が今楽しみにしているのは、来年の東京パラリンピック。自分が障害を負って分かったのは、障害というものは一人ひとりで抱えている課題が全部違うということ」と指摘した。
その上で「パラアスリートの方々が、それぞれの課題をどう乗り越えて大会に挑戦されるのか、ぜひ拝見したい。それが私にも勇気を与えてくれる」と、会場を見回しながら切々と語り掛けた。
■保守化自民の“毒消し役”に
「自民リベラル勢力の代表」と呼ばれた谷垣氏を、14年9月の党・内閣人事で党幹事長に起用した際、首相は周辺に「ゴルフのティーショットに例えると、私は右、谷垣さんは左に行きがちなので、2人合わせればフェアウェイど真ん中」と語ったとされる。
確かに「保守色が際立つ安倍政権にとって、谷垣氏は貴重な“毒消し役”」(自民長老)でもあった。党大会での「タカ派丸出しの首相演説と、弱者への優しさがあふれる谷垣スピーチの対照」(首相経験者)も、結果的に「自民党の懐の深さのアピール」(同)につながったのは否定できない。
旧民主党系議員らを激高させた首相の「悪夢」発言には、石破茂元幹事長がすぐさま「過去の政権を引き合いに自分たちが正しいと主張するやり方は危ない」と批判するなど、自民党内の反応も複雑だ。
その一方で谷垣氏の演説については、二階俊博幹事長が「素晴らしかった。谷垣さんの復活、復帰を期待している」と目を潤ませて語るなど、党内外に政界復帰待望論が広がった。
首相や二階氏が視野に入れるのは、谷垣氏の夏の参院選比例代表での出馬とされる。「安倍政治に批判的なリベラル層からも、数十万単位で票を取り込める」(選挙アナリスト)との思惑からだ。
谷垣氏は「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」と苦笑交じりに政界復帰を否定するが、党大会での谷垣氏への大喝采は、「自民保守化への党内の不安や懸念の表れ」(自民幹部)との見方が少なくない。
メモなしでよどみなく、声量も豊かな約5分間のスピーチには、会場の歓声だけでなく、インターネットでの中継動画でも「ガッキーいいぞ!」「車椅子の総理を目指せ!」などの書き込みがあふれ、谷垣人気の根強さを際立たせた。
3/3(日) 19:26
時事通信
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