0001砂漠のマスカレード ★2019/08/26(月) 00:52:07.53ID:lf8Cs8Ai9
さて、世の中は夏休みまっただなかである。お盆も目前、そろそろ各テレビ局が遠慮がちに心霊特番を放映する時期でもあるので、この『昭和子どもオカルト回顧録』もいつもと趣向を変えて、
今回と次回は「夏休み特別納涼企画!あなたの知らない世界〜箱根・仙石原の怪!」みたいな感じで、僕が小学生時代に体験した極めて地味な実話怪談をお送りしたい。
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/a/9/a9188_1587_f01a923854d2be460900db33f9087dbb.jpg
箱根・仙石原。広大なススキの野原や湿原が有名な箱根の名所。
現在は美術館なども多い高原のリゾート地になっているが、当時は宿泊施設なども比較的少なく、ものさみしい光景が広がるエリアだった。
最初に言っておくが、僕はまったく霊感体質ではないので、幽霊と確信できるものを目にしたことなど生まれてこの方一度もなく、この話のなかでも僕が直接心霊現象的なものを体験しているわけではない。
そもそも、これが怪談と呼べるのかどうかもわからないし、なんの資料性もない曖昧なお話なので、「肩すかし」は覚悟しておいていただきたい
読むだけ時間のムダかも知れないが、寝苦しい熱帯夜に蚊取り線香などを炊きつつ、古き良き「日本の夏、心霊の夏」を堪能するタシにでもしていただければと思う。
僕は一度だけ「霊媒師」を生業にしている人から「お祓い」なるものを受けたことがある。
両親に強制されて「霊媒師」宅の大きな一軒家に連れていかれ、そこのだだっ広い畳敷きの部屋の巨大な神棚(?)の前で、白と金色のド派手な着物を着た大勢のおばさんに取り巻かれながら、
家族ともども延々と続く「お祓い」の儀式を受けたのだ。記憶はあやふやで、すでに夢の光景のようにボンヤリしているが、長時間の正座で足がしびれたことと、
おばさんたちが声を合わせて唱えるお経というのか念仏というのか、奇妙な歌のようなものがひどく恐かったことだけは覚えている。おそらく小学校の2年生のころ、9歳の年の夏の終わりごろのことだったと思う。
40年前の夏休みの家族旅行で……
その年の夏休み、家族旅行で箱根に行った。箱根には毎年のように行っていたが、なぜかその年は親が奮発して、いつもの旅館ではなく、仙石原にある老舗の旅館に泊まることになった。
母親が言うには、夏の旅行シーズンにはめったに空室が出ない有名な旅館だが、今年は運良く予約がとれた、とのことだ。この旅館は40年後の現在も営業しており、あのころよりもさらに老舗としての格を上げているらしい。
ここでは名前は伏せるが、仮に「仙石原旅館」としておく。
旅行当日は父が運転する自家用車で出かけた。ところが仙石原に入ってから、ひたすら道に迷ってしまった。
目的の旅館はすぐ近くにある。有名旅館なので、そこら中に看板が出ている。
「仙石原旅館 1km直進」とか「仙石原旅館 この先300m左折」みたいな道順を示す看板がしつこいほどに出ているのに、なぜか途中でルートがわからなくなって通りすぎてしまう。
Uターンして再び看板に従って走ると、やはり道を見失って通り過ぎる。こんなことを1時間ほども繰り返してしまった。
あきれた母親が「なにやってるのよ? こんなに案内の看板が出てるのにどうして迷うの?」とイライラしだして、父も「しょうがないだろ! 看板がおかしいんだよ!」と応戦する。
車内がどんどん険悪になっていくので、僕は肩をすくめてヒヤヒヤしていた。
後日、ある「識者」から聞いた話では、もうこの時点で「ダメ」だったらしい。迷うはずのない道でやたらと迷う。
また、目的地に近づくに従って同行者の間でいさかいが生じるときは、すでに目的地そのものが「ダメ」なのだそうだ。
ただ、僕の父はもともと方向音痴で、運転中によく道に迷う。「ダメ」なのは目的地ではなくて、方向音痴の父だったんじゃないのかなぁ……とも思うが、
とはいえ、逐一道順を示す看板が立ち並ぶなかでのあの迷い方は、やっぱりちょっとどうかしていたのかも知れない……という気もする。
https://news.livedoor.com/article/detail/16942071/
2019年8月17日 20時15分 GetNavi web
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/c/7/c7b15_1587_587d8a24ea47163115d04228bce13112.jpg
ホテルや旅館などが建ち並ぶ現在の仙石原。この話に登場する旅館はススキ野原から山道に入った高台に位置していた。現在も営業中である。
今回と次回は「夏休み特別納涼企画!あなたの知らない世界〜箱根・仙石原の怪!」みたいな感じで、僕が小学生時代に体験した極めて地味な実話怪談をお送りしたい。
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/a/9/a9188_1587_f01a923854d2be460900db33f9087dbb.jpg
箱根・仙石原。広大なススキの野原や湿原が有名な箱根の名所。
現在は美術館なども多い高原のリゾート地になっているが、当時は宿泊施設なども比較的少なく、ものさみしい光景が広がるエリアだった。
最初に言っておくが、僕はまったく霊感体質ではないので、幽霊と確信できるものを目にしたことなど生まれてこの方一度もなく、この話のなかでも僕が直接心霊現象的なものを体験しているわけではない。
そもそも、これが怪談と呼べるのかどうかもわからないし、なんの資料性もない曖昧なお話なので、「肩すかし」は覚悟しておいていただきたい
読むだけ時間のムダかも知れないが、寝苦しい熱帯夜に蚊取り線香などを炊きつつ、古き良き「日本の夏、心霊の夏」を堪能するタシにでもしていただければと思う。
僕は一度だけ「霊媒師」を生業にしている人から「お祓い」なるものを受けたことがある。
両親に強制されて「霊媒師」宅の大きな一軒家に連れていかれ、そこのだだっ広い畳敷きの部屋の巨大な神棚(?)の前で、白と金色のド派手な着物を着た大勢のおばさんに取り巻かれながら、
家族ともども延々と続く「お祓い」の儀式を受けたのだ。記憶はあやふやで、すでに夢の光景のようにボンヤリしているが、長時間の正座で足がしびれたことと、
おばさんたちが声を合わせて唱えるお経というのか念仏というのか、奇妙な歌のようなものがひどく恐かったことだけは覚えている。おそらく小学校の2年生のころ、9歳の年の夏の終わりごろのことだったと思う。
40年前の夏休みの家族旅行で……
その年の夏休み、家族旅行で箱根に行った。箱根には毎年のように行っていたが、なぜかその年は親が奮発して、いつもの旅館ではなく、仙石原にある老舗の旅館に泊まることになった。
母親が言うには、夏の旅行シーズンにはめったに空室が出ない有名な旅館だが、今年は運良く予約がとれた、とのことだ。この旅館は40年後の現在も営業しており、あのころよりもさらに老舗としての格を上げているらしい。
ここでは名前は伏せるが、仮に「仙石原旅館」としておく。
旅行当日は父が運転する自家用車で出かけた。ところが仙石原に入ってから、ひたすら道に迷ってしまった。
目的の旅館はすぐ近くにある。有名旅館なので、そこら中に看板が出ている。
「仙石原旅館 1km直進」とか「仙石原旅館 この先300m左折」みたいな道順を示す看板がしつこいほどに出ているのに、なぜか途中でルートがわからなくなって通りすぎてしまう。
Uターンして再び看板に従って走ると、やはり道を見失って通り過ぎる。こんなことを1時間ほども繰り返してしまった。
あきれた母親が「なにやってるのよ? こんなに案内の看板が出てるのにどうして迷うの?」とイライラしだして、父も「しょうがないだろ! 看板がおかしいんだよ!」と応戦する。
車内がどんどん険悪になっていくので、僕は肩をすくめてヒヤヒヤしていた。
後日、ある「識者」から聞いた話では、もうこの時点で「ダメ」だったらしい。迷うはずのない道でやたらと迷う。
また、目的地に近づくに従って同行者の間でいさかいが生じるときは、すでに目的地そのものが「ダメ」なのだそうだ。
ただ、僕の父はもともと方向音痴で、運転中によく道に迷う。「ダメ」なのは目的地ではなくて、方向音痴の父だったんじゃないのかなぁ……とも思うが、
とはいえ、逐一道順を示す看板が立ち並ぶなかでのあの迷い方は、やっぱりちょっとどうかしていたのかも知れない……という気もする。
https://news.livedoor.com/article/detail/16942071/
2019年8月17日 20時15分 GetNavi web
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/c/7/c7b15_1587_587d8a24ea47163115d04228bce13112.jpg
ホテルや旅館などが建ち並ぶ現在の仙石原。この話に登場する旅館はススキ野原から山道に入った高台に位置していた。現在も営業中である。