【9月25日 AFP】クラゲが大量発生し行楽客を怖がらせているが、クラゲの増殖は人間による海洋破壊の結果だ。
クラゲは人類のはるか以前、約6億年前から地球上に生息していると考えられているが、魚の乱獲やプラスチックごみ、気候変動など人間の活動が、クラゲにとって以前よりも暮らしやすい環境をつくり出してきた。
25日に発表の国連(UN)報告書の草案によると、クラゲの増殖は大規模な変化に直面している海洋の「ジェリフィケーション(クラゲ化)」につながる可能性があるという。
プランクトンとクラゲの生態を専門とする仏ソルボンヌ大学(Sorbonne University)のフランス人海洋生物学者ファビアン・ロンバール(Fabien Lombard)氏は、そこまでは言っていない。
ロンバール氏はAFPの取材に、黒海(Black Sea)、ナミビア沿岸沖、日本海(Sea of Japan)など「世界の特定の海域では、他より多くのクラゲが存在する」と語った。クラゲの追跡調査のための世界規模のデータベースが2014年に立ち上げられたものの、実際に個体数を計測するのは困難で、これ以外の海域でクラゲの生息数が増加しているかどうかは不明だ。
仏パリ水族館(Paris Aquarium)の生物学者アナイス・クルーテ(Anais Courtet)氏によると、クラゲの大量発生は従来、周期的に起きていた。例えば地中海では、12年おきに発生していたが、今では毎年、大量発生が確認されている。
フランス開発研究所(IRD)の海洋生態系専門家フィリップ・キュリー(Philippe Cury)氏は、この原因が魚の乱獲や深海底引き網漁、海水温の上昇など人的要因にあるとしている。「この三つの要因が、クラゲの大発生を引き起こす」とキュリー氏は説明する。「大発生は常に起きている」「だが、頻度がはるかに高くなっており、信じられないほど大量に確認されることもある」
■原子力施設への影響も
魚の乱獲によって、マグロやウミガメなどのクラゲの天敵や、プランクトンを常食とする魚が偶然網に掛かることもある。捕食動物の個体数が減少すると、クラゲが餌とするプランクトンが増え、繁栄に歯止めが利かなくなる。
さらにクラゲは、ブイや石油掘削装置など人工物を生息環境の一部としている。ソルボンヌ大のロンバール氏は「クラゲはプラスチックが大好きだ」と話す。わずか数センチのプラスチックごみでも、クラゲの繁殖コロニーとしての機能を果たすことができる。
地球温暖化と海洋酸性化は一部の生物種に打撃を与えてきた可能性がある一方、クラゲには全く害を及ぼしていないと、パリ水族館のクルーテ氏は指摘する。
クラゲの大量発生は、今でさえ人間の活動の妨げになっている。これは不用心な行楽客を刺すどころの話ではない。漁業や養殖業、淡水化施設にとって問題となっている他、原子力施設の冷却装置を詰まらせる可能性さえある。
日本では、クラゲの重みで網が切れたり、転覆したりする恐れがあることから、クラゲが大量発生している場合には漁が中止されることもある。
食用にするにしても単に駆除するだけにしても、クラゲを捕獲するという考えは実用的ではないと、IRDのキュリー氏は指摘する。「クラゲは急速に繁殖する」からだと言う。 (c)AFP
https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/6/9/-/img_6929d5620671f1087ccdb845c580f209240079.jpg
https://www.afpbb.com/articles/-/3246127
クラゲは人類のはるか以前、約6億年前から地球上に生息していると考えられているが、魚の乱獲やプラスチックごみ、気候変動など人間の活動が、クラゲにとって以前よりも暮らしやすい環境をつくり出してきた。
25日に発表の国連(UN)報告書の草案によると、クラゲの増殖は大規模な変化に直面している海洋の「ジェリフィケーション(クラゲ化)」につながる可能性があるという。
プランクトンとクラゲの生態を専門とする仏ソルボンヌ大学(Sorbonne University)のフランス人海洋生物学者ファビアン・ロンバール(Fabien Lombard)氏は、そこまでは言っていない。
ロンバール氏はAFPの取材に、黒海(Black Sea)、ナミビア沿岸沖、日本海(Sea of Japan)など「世界の特定の海域では、他より多くのクラゲが存在する」と語った。クラゲの追跡調査のための世界規模のデータベースが2014年に立ち上げられたものの、実際に個体数を計測するのは困難で、これ以外の海域でクラゲの生息数が増加しているかどうかは不明だ。
仏パリ水族館(Paris Aquarium)の生物学者アナイス・クルーテ(Anais Courtet)氏によると、クラゲの大量発生は従来、周期的に起きていた。例えば地中海では、12年おきに発生していたが、今では毎年、大量発生が確認されている。
フランス開発研究所(IRD)の海洋生態系専門家フィリップ・キュリー(Philippe Cury)氏は、この原因が魚の乱獲や深海底引き網漁、海水温の上昇など人的要因にあるとしている。「この三つの要因が、クラゲの大発生を引き起こす」とキュリー氏は説明する。「大発生は常に起きている」「だが、頻度がはるかに高くなっており、信じられないほど大量に確認されることもある」
■原子力施設への影響も
魚の乱獲によって、マグロやウミガメなどのクラゲの天敵や、プランクトンを常食とする魚が偶然網に掛かることもある。捕食動物の個体数が減少すると、クラゲが餌とするプランクトンが増え、繁栄に歯止めが利かなくなる。
さらにクラゲは、ブイや石油掘削装置など人工物を生息環境の一部としている。ソルボンヌ大のロンバール氏は「クラゲはプラスチックが大好きだ」と話す。わずか数センチのプラスチックごみでも、クラゲの繁殖コロニーとしての機能を果たすことができる。
地球温暖化と海洋酸性化は一部の生物種に打撃を与えてきた可能性がある一方、クラゲには全く害を及ぼしていないと、パリ水族館のクルーテ氏は指摘する。
クラゲの大量発生は、今でさえ人間の活動の妨げになっている。これは不用心な行楽客を刺すどころの話ではない。漁業や養殖業、淡水化施設にとって問題となっている他、原子力施設の冷却装置を詰まらせる可能性さえある。
日本では、クラゲの重みで網が切れたり、転覆したりする恐れがあることから、クラゲが大量発生している場合には漁が中止されることもある。
食用にするにしても単に駆除するだけにしても、クラゲを捕獲するという考えは実用的ではないと、IRDのキュリー氏は指摘する。「クラゲは急速に繁殖する」からだと言う。 (c)AFP
https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/6/9/-/img_6929d5620671f1087ccdb845c580f209240079.jpg
https://www.afpbb.com/articles/-/3246127