新年会のシーズン。日本酒を飲む機会が増える時季だ。人口減が続くなか、日本酒の国内総出荷量(課税移出数量)はピーク時の3分の1以下にまで落ち込んでいる。その一方で注目されているのが輸出。日本酒の輸出は平成30年(2018年)まで9年連続で過去最高を記録し、金額ベースでは10年間で約3倍に膨れ上がった。ジャーナリストの山田稔氏が海外で高まる日本酒人気の理由を探った。
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日本酒の国内総出荷量は、ピーク時(昭和48年度)の177万kl(キロリットル)から平成29年度には3分の1以下の53万klまで落ち込んだ(国税庁統計年報)。スーパーで売られているパック酒など普通酒の減少が目立つ。
一方、輸出は絶好調だ。平成30年度の輸出金額は約222億円(前年比119%)で、平成20年度の約77億円から、10年間で3倍近い水準に達した。輸出数量も平成20年度の1万2151klが平成30年度は2万5747klと2倍以上になった。1升瓶換算で約1430万本だ。金額・数量ともに9年連続過去最高を記録した(財務省貿易統計)。
では、どんな国に輸出しているのか。金額ベースで見た上位10か国(平成30年)は次の通りだ。
(1)アメリカ/63億1300万円/前年比104.5%
(2)香港/37億7400万円/同134.8%
(3)中国/35億8700万円/同134.8%
(4)韓国/22億1200万円/同118.7%
(5)台湾13億5100万円/同142.4%
(6)シンガポール/8億3700万円/同121.1%
(7)カナダ/5億2900万円/同108.7%
(8)オーストラリア/4億4600万円/同112.6%
(9)ベトナム/4億4000万円/同164.8%
(10)英国/3億2400万円/同93.1%
輸出先別ではアメリカが断トツで、アジア諸国が上位にランクインしている。伸び率ではベトナムや台湾が際立っている。
一方、輸出単価の上位国をみると、1位は輸出金額トップ10には登場しないマカオで、1リットル当たり3959円。2位香港の1800円、3位シンガポールの1372円を大きく引き離している。輸出金額トップのアメリカは、単価は1061円で6位。中国は865円まで下がって10位だ。上位国には純米吟醸など高価な酒が多く輸出されているということだ。マカオといえばやはりカジノ。カジノで遊ぶ富裕層の存在が影響しているのだろうか。
◆輸出増の背景に世界的な和食ブームと積極的なプロモーション活動
日本酒が海外で人気化している背景には、まず世界的な和食ブームがある。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのが2013年。健康志向とも相まって和食は世界的なブームを引き起こしている。
2019年時点での海外にある日本食レストランの数は約15万6000店。2013年の約5.5万店から3倍近くに増えた。アジアは10万1000店で2017年に比べ5割増。北米は2万9400店で同2割増、欧州は1万2200店(横ばい)となっている。注目はアフリカで2017年の350店から500店へと5割増だ(農林水産省資料)。
2016年から、日本産食材を積極的に使用する海外の飲食店や小売店を民間団体などが自主的に「日本産食材サポート店」として認定する動きが始まった。2019年9月末現在で4449店が認定されている(飲食店は3129店)。世界中で日本食とともに日本酒が提供される店がそれだけ増えているということだ。
国内外でのプロモーション活動の影響も大きい。昨年(2019年)10月、パリで「SALON DU SAKE 2019」が開かれた。
日本の酒蔵とフランスや欧州の日本酒ファン、事業者が一堂に会するイベントだ。このイベントに国税庁の職員が講師となって、海外のバイヤーたちに日本酒の製法や「うまみ」などの特徴、食材とのペアリングなどを講義。その後、日本酒の試飲や長期熟成酒と生ハムのペアリングなどを体験した。3日間行われたイベントには5129名の来場者があったという。
11月には千葉県の幕張メッセで「第3回“日本の食品”輸出EXPO」が開催され、輸出関連約700社が出展し、世界各国から1万7000人以上が来場した。国内にいながら海外バイヤーに売り込めるチャンスとあり出展企業はあの手この手で関心を惹いていた。日本酒メーカーも大手から中小、零細の酒蔵まで数多くが出展。バイヤーや来場者に日本酒の説明や試飲を行っていた。
こうした国内外でのプロモーション活動が日本酒人気を高めているのは間違いない。
全文はソース元で
2020年1月6日 7時0分
NEWSポストセブン
https://news.livedoor.com/article/detail/17623153/
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日本酒の国内総出荷量は、ピーク時(昭和48年度)の177万kl(キロリットル)から平成29年度には3分の1以下の53万klまで落ち込んだ(国税庁統計年報)。スーパーで売られているパック酒など普通酒の減少が目立つ。
一方、輸出は絶好調だ。平成30年度の輸出金額は約222億円(前年比119%)で、平成20年度の約77億円から、10年間で3倍近い水準に達した。輸出数量も平成20年度の1万2151klが平成30年度は2万5747klと2倍以上になった。1升瓶換算で約1430万本だ。金額・数量ともに9年連続過去最高を記録した(財務省貿易統計)。
では、どんな国に輸出しているのか。金額ベースで見た上位10か国(平成30年)は次の通りだ。
(1)アメリカ/63億1300万円/前年比104.5%
(2)香港/37億7400万円/同134.8%
(3)中国/35億8700万円/同134.8%
(4)韓国/22億1200万円/同118.7%
(5)台湾13億5100万円/同142.4%
(6)シンガポール/8億3700万円/同121.1%
(7)カナダ/5億2900万円/同108.7%
(8)オーストラリア/4億4600万円/同112.6%
(9)ベトナム/4億4000万円/同164.8%
(10)英国/3億2400万円/同93.1%
輸出先別ではアメリカが断トツで、アジア諸国が上位にランクインしている。伸び率ではベトナムや台湾が際立っている。
一方、輸出単価の上位国をみると、1位は輸出金額トップ10には登場しないマカオで、1リットル当たり3959円。2位香港の1800円、3位シンガポールの1372円を大きく引き離している。輸出金額トップのアメリカは、単価は1061円で6位。中国は865円まで下がって10位だ。上位国には純米吟醸など高価な酒が多く輸出されているということだ。マカオといえばやはりカジノ。カジノで遊ぶ富裕層の存在が影響しているのだろうか。
◆輸出増の背景に世界的な和食ブームと積極的なプロモーション活動
日本酒が海外で人気化している背景には、まず世界的な和食ブームがある。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたのが2013年。健康志向とも相まって和食は世界的なブームを引き起こしている。
2019年時点での海外にある日本食レストランの数は約15万6000店。2013年の約5.5万店から3倍近くに増えた。アジアは10万1000店で2017年に比べ5割増。北米は2万9400店で同2割増、欧州は1万2200店(横ばい)となっている。注目はアフリカで2017年の350店から500店へと5割増だ(農林水産省資料)。
2016年から、日本産食材を積極的に使用する海外の飲食店や小売店を民間団体などが自主的に「日本産食材サポート店」として認定する動きが始まった。2019年9月末現在で4449店が認定されている(飲食店は3129店)。世界中で日本食とともに日本酒が提供される店がそれだけ増えているということだ。
国内外でのプロモーション活動の影響も大きい。昨年(2019年)10月、パリで「SALON DU SAKE 2019」が開かれた。
日本の酒蔵とフランスや欧州の日本酒ファン、事業者が一堂に会するイベントだ。このイベントに国税庁の職員が講師となって、海外のバイヤーたちに日本酒の製法や「うまみ」などの特徴、食材とのペアリングなどを講義。その後、日本酒の試飲や長期熟成酒と生ハムのペアリングなどを体験した。3日間行われたイベントには5129名の来場者があったという。
11月には千葉県の幕張メッセで「第3回“日本の食品”輸出EXPO」が開催され、輸出関連約700社が出展し、世界各国から1万7000人以上が来場した。国内にいながら海外バイヤーに売り込めるチャンスとあり出展企業はあの手この手で関心を惹いていた。日本酒メーカーも大手から中小、零細の酒蔵まで数多くが出展。バイヤーや来場者に日本酒の説明や試飲を行っていた。
こうした国内外でのプロモーション活動が日本酒人気を高めているのは間違いない。
全文はソース元で
2020年1月6日 7時0分
NEWSポストセブン
https://news.livedoor.com/article/detail/17623153/