0001ニライカナイφ ★2020/03/03(火) 17:17:55.60ID:x6f8uOu69
◆ 16年ぶり「緊急停止命令」発動
「吠えない番犬」と揶揄されてきた、あの公正取引委員会がこのところ、まるで覚醒したかのようである。先週末(2月28日)、丸の内・霞が関のビジネス街や楽天本社のある世田谷区・二子玉川を衝撃が走った。
昨年夏、芸人との契約の書面化を迫って吉本興業を震え上がらせた余韻が冷めやらぬ中で、3980円以上を買えば送料を無料化するという楽天の計画に待ったをかけようと、公取が東京地裁に対して16年ぶりという独禁法の緊急停止命令発動の申し立てを断行したとのニュースが駆け巡ったのである。
取材すると、公取のファイティング・ポーズの裏には、政府が今国会に提出予定の「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」(仮称、以下「DPF透明化法案」と略す)が影響している事実が浮かび上がってきた。
同法案にはこれと言って公取の権限を強化する改正点はないのだが、その一方で、経済産業省に公取の権限である独禁法違反事案の調査を肩代わりさせることになりかねない規定が柱となっており、これに“領空侵犯”をされかねないと公取が危機感を募らせているという。
杉本和行・公取委員長から発破をかけられた公取事務方が早くから、新法成立後に経産省の“領空侵犯”を受けかねない問題の総点検に動き出した。
こうした案件の中には、芸人の契約の書面化問題や楽天の送料無料化だけではなく、決済サービスの手数料率の高さに関する優越的な地位の濫用容疑を視野に入れて、ここ数年中断していたはずのGAFAのアメリカ本社への立ち入り調査の再開も含まれていた。
■ 結局、GAFAは野放しに終わる
しかし、EU(欧州連合)の独禁当局の執拗な追及を受けてきたGAFAはしたたかだ。日本の経済団体も抱き込んで、法案作りの段階で前述のDPF透明化法の弱体化に成功したほか、公取にもなかなか尻尾を掴ませない。
結果として、新法が成立してもGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの総称)は野放しに終わる確率が高い。覚醒した公取の餌食になるのは、楽天のような世界に羽ばたく力のない和製プラットフォーマーぐらいだろうとみられている。
皮肉なことに、GAFAやBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)規制が、後発の日本企業という弱い者いじめに終始し、米中両国系の巨大プラットフォーマーを太らせる結果に終わりかねないというのである。
安倍晋三総理を本部長とする日本経済再生本部の下部組織「未来投資会議」が2018年夏にまとめた「未来投資戦略2018」で、「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルールの整備」を打ち出して以来、経済産業、総務の両省と公正取引委員会は、規制権限を巡る縄張り争いにしのぎを削って来た。
そして、経産省が辿り着いたルール整備案が、DPF透明化法なのだ。以前にも本コラムで書いたように、巨大IT系プラットフォーマーを巡る規制には、(1)徴税権をどう行使するか、(2)個人情報をどう保護するか、(3)独禁法違反的な行為をどう取り締まるか――の3つの視点が不可欠だ。
DPF透明化法案はこのうち独禁法的な側面、つまり、顧客数や情報量で取引先を圧倒する巨大ITが、その強大な立場を利用して中小出店者や利用者に不利な取引を強いることを防ぐことを意図している。
■ 「イノベーションの芽を摘む恐れがある」
DPF透明化法案の主な柱は、(ア)取引条件の取引先企業への開示の義務付け、(イ)取引先の要望に対応できるよう自主的に体制を整備することの義務付け、(ウ)取引先からの苦情にどう対処したかなどに関する自主的レビューを行い、その結果を年に1回経済産業大臣に提出することの義務付け、――の3つとなっている。
そのうえで、経産省が収集した情報をもとに、必要と判断すれば、公取に独禁法上の対応を促す建て付けになっている。法の所管は、主管が経済産業省、共管が総務省、公正取引委員会だ。
筆者から見れば、競争政策に関するノウハウや人材の蓄積不足の経産省が情報を収集したからと言って独禁法適用の可否を適切に判断できるのか、あるいは、経産省に権限行使を促されたからと言って、その能力にもともと疑問符が付く公取に実行できるのかなど、実効性は未知数だ。
しかし、筆者とは違い、公取の目には、同法案が許し難い領空侵犯に映っている。
☆ 続きはソースをご覧ください
https://news.livedoor.com/article/detail/17903692/
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/4/2/42319_1413_9a408f565fe729d77ef33bf0d65016f4.jpg
「吠えない番犬」と揶揄されてきた、あの公正取引委員会がこのところ、まるで覚醒したかのようである。先週末(2月28日)、丸の内・霞が関のビジネス街や楽天本社のある世田谷区・二子玉川を衝撃が走った。
昨年夏、芸人との契約の書面化を迫って吉本興業を震え上がらせた余韻が冷めやらぬ中で、3980円以上を買えば送料を無料化するという楽天の計画に待ったをかけようと、公取が東京地裁に対して16年ぶりという独禁法の緊急停止命令発動の申し立てを断行したとのニュースが駆け巡ったのである。
取材すると、公取のファイティング・ポーズの裏には、政府が今国会に提出予定の「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」(仮称、以下「DPF透明化法案」と略す)が影響している事実が浮かび上がってきた。
同法案にはこれと言って公取の権限を強化する改正点はないのだが、その一方で、経済産業省に公取の権限である独禁法違反事案の調査を肩代わりさせることになりかねない規定が柱となっており、これに“領空侵犯”をされかねないと公取が危機感を募らせているという。
杉本和行・公取委員長から発破をかけられた公取事務方が早くから、新法成立後に経産省の“領空侵犯”を受けかねない問題の総点検に動き出した。
こうした案件の中には、芸人の契約の書面化問題や楽天の送料無料化だけではなく、決済サービスの手数料率の高さに関する優越的な地位の濫用容疑を視野に入れて、ここ数年中断していたはずのGAFAのアメリカ本社への立ち入り調査の再開も含まれていた。
■ 結局、GAFAは野放しに終わる
しかし、EU(欧州連合)の独禁当局の執拗な追及を受けてきたGAFAはしたたかだ。日本の経済団体も抱き込んで、法案作りの段階で前述のDPF透明化法の弱体化に成功したほか、公取にもなかなか尻尾を掴ませない。
結果として、新法が成立してもGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの総称)は野放しに終わる確率が高い。覚醒した公取の餌食になるのは、楽天のような世界に羽ばたく力のない和製プラットフォーマーぐらいだろうとみられている。
皮肉なことに、GAFAやBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)規制が、後発の日本企業という弱い者いじめに終始し、米中両国系の巨大プラットフォーマーを太らせる結果に終わりかねないというのである。
安倍晋三総理を本部長とする日本経済再生本部の下部組織「未来投資会議」が2018年夏にまとめた「未来投資戦略2018」で、「プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルールの整備」を打ち出して以来、経済産業、総務の両省と公正取引委員会は、規制権限を巡る縄張り争いにしのぎを削って来た。
そして、経産省が辿り着いたルール整備案が、DPF透明化法なのだ。以前にも本コラムで書いたように、巨大IT系プラットフォーマーを巡る規制には、(1)徴税権をどう行使するか、(2)個人情報をどう保護するか、(3)独禁法違反的な行為をどう取り締まるか――の3つの視点が不可欠だ。
DPF透明化法案はこのうち独禁法的な側面、つまり、顧客数や情報量で取引先を圧倒する巨大ITが、その強大な立場を利用して中小出店者や利用者に不利な取引を強いることを防ぐことを意図している。
■ 「イノベーションの芽を摘む恐れがある」
DPF透明化法案の主な柱は、(ア)取引条件の取引先企業への開示の義務付け、(イ)取引先の要望に対応できるよう自主的に体制を整備することの義務付け、(ウ)取引先からの苦情にどう対処したかなどに関する自主的レビューを行い、その結果を年に1回経済産業大臣に提出することの義務付け、――の3つとなっている。
そのうえで、経産省が収集した情報をもとに、必要と判断すれば、公取に独禁法上の対応を促す建て付けになっている。法の所管は、主管が経済産業省、共管が総務省、公正取引委員会だ。
筆者から見れば、競争政策に関するノウハウや人材の蓄積不足の経産省が情報を収集したからと言って独禁法適用の可否を適切に判断できるのか、あるいは、経産省に権限行使を促されたからと言って、その能力にもともと疑問符が付く公取に実行できるのかなど、実効性は未知数だ。
しかし、筆者とは違い、公取の目には、同法案が許し難い領空侵犯に映っている。
☆ 続きはソースをご覧ください
https://news.livedoor.com/article/detail/17903692/
https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/4/2/42319_1413_9a408f565fe729d77ef33bf0d65016f4.jpg