0001砂漠のマスカレード ★2020/03/19(木) 06:50:58.54ID:iMiBdx/j9
新型コロナウイルス感染が集団発生した中国で感染状況が落ち着きつつある。
だが中国国外では、感染拡大は世界経済を大きく揺さぶる事態であることに変わりはない。
一部で「中国責任論」がくすぶり、当局は先手を打ってその封じ込めにかかっている。
◇「ピークは過ぎた」
中国の国家衛生健康委員会は3月12日の記者会見で「感染のピークは過ぎた」と表明した。
中国政府は、武漢などの深刻な地域で「封鎖状態」を続け、市民の移動を厳しく制限している。団地などでは居住者以外の出入りを認めず、食料品を共同購入にするなど、管理が強化された。
同時に、人とモノを集中的に投入し、3月10日までに、湖北省武漢を中心に食料、生活物資、医療器具は約75万トン、4万人以上が派遣された。
だが、市民の側には不満がくすぶる。武漢当局が昨年12月30日に「原因不明の肺炎患者確認」を公表したのに、中央政府が本格対応したのは1月20日以後。
それまでに政府がしかるべき措置を取っていれば、感染拡大は食い止められた、という悔しさが市民の側に広がる。怒りを込めてこの期間を「失われた20日間」と呼ぶ。
◇権力集中の弊害
中国では習近平国家主席に権力が集中しているため、現場は中央からの指示を待ち、自らの判断で動くことは避けている。都合が悪い情報があっても、中央に伝えないという悪弊も生じているようだ。
こうした状況が、今回の対応遅れの背景にあったのは間違いない。
ただ、習近平指導部がこの対応遅れの責任を認めるわけにはいかない。指導部が政策判断を誤って国民の生命と財産が脅かされたとなれば、習主席に対する国民の信頼は失墜し、求心力が急落することになる。
感染が終息したあとの経済政策推進など政権運営に支障が出るおそれもあるからだ。
◇イメージ回復の宣伝
こうした背景もあって、当局は国民感情を意識した措置を取るようになった。象徴的なのは、かの眼科医の名誉回復だ。
今回の新型肺炎蔓延について早い段階で警鐘を鳴らした眼科医、李文亮氏を当局は「デマを流した」として摘発した。
李氏の死後、ネット上で李氏を讃える声と並んで政府批判が噴出した。その反響の大きさに驚いた当局は一転、李氏を英雄扱いするようになった。
また共産党は、感染被害が深刻になった地域の幹部を次々に処分し、後任には習主席の側近らを送り込んで現地対応の指揮を取らせている。
それでも武漢などで政府の対応に不満がくすぶっていると見たのか、3月10日には習主席自ら、感染拡大後初めて武漢入り。党の幹部会議で「隔離が長引く地域では、市民に感情の乱れも出ている。理解したうえで対応するように」と指示した。
国営メディアは、習主席が国民の利益を最優先としながら「人民戦争」を指揮している様子を繰り返し伝える。「国民に寄り添う指導者」としてのイメージづくりを急いでいるようだ。
◇中国責任論
中国当局は当初から、自国と新型コロナウイルスのイメージが結びつけるような主張を振り払ってきた。
外務省の趙立堅副報道局長は3月5日の定例記者会見で「ウイルスの発生源についてまだ結論は出ていない」「このウイルスは人類共通の敵であり、誰もが被害者だ」と主張した。
習主席も3月16日発行の党理論誌「求是」に寄稿した論文で「病原がどこから来て、どこに向かったのか明らかにしなければならない」と訴える。
発生源は中国とは限らないという観点から科学的な根拠を探っているようだ。
◇米中で新たな摩擦
ただ「発生地・中国」に言及する声は強まる一方だ。特に、米国にその傾向が強い。「中国ウイルス」(トランプ大統領)、「武漢ウイルス」(ポンペオ国務長官)などの表現が用いられ、オブライエン大統領補佐官は「武漢で隠蔽があった」との見解を示している。
これに中国が猛反発し、趙副局長が「感染症は米軍が武漢に持ち込んだ可能性がある」との独自の主張を展開して、米国をけん制した。
3月16日にも中国外交トップの楊潔チ・共産党政治局員がポンペオ長官と電話で会談したものの、中国側は「米側の一部の政治家が、中国と、中国による感染抑止の努力を中傷している」と批判。双方が感染拡大の責任を相手側になすりつける事態となっている。
中国では共産党独裁によって社会に秘密主義がはびこる。硬直した官僚制度は速やかな判断を恐れる。国民に対する説明責任は果たされず、報道の自由も認められない――米国側にはこうした中国社会の歪みが今回の初動対応の遅れを招いた、という見方が根強い。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20200318-00168355/
3/18(水) 11:00
だが中国国外では、感染拡大は世界経済を大きく揺さぶる事態であることに変わりはない。
一部で「中国責任論」がくすぶり、当局は先手を打ってその封じ込めにかかっている。
◇「ピークは過ぎた」
中国の国家衛生健康委員会は3月12日の記者会見で「感染のピークは過ぎた」と表明した。
中国政府は、武漢などの深刻な地域で「封鎖状態」を続け、市民の移動を厳しく制限している。団地などでは居住者以外の出入りを認めず、食料品を共同購入にするなど、管理が強化された。
同時に、人とモノを集中的に投入し、3月10日までに、湖北省武漢を中心に食料、生活物資、医療器具は約75万トン、4万人以上が派遣された。
だが、市民の側には不満がくすぶる。武漢当局が昨年12月30日に「原因不明の肺炎患者確認」を公表したのに、中央政府が本格対応したのは1月20日以後。
それまでに政府がしかるべき措置を取っていれば、感染拡大は食い止められた、という悔しさが市民の側に広がる。怒りを込めてこの期間を「失われた20日間」と呼ぶ。
◇権力集中の弊害
中国では習近平国家主席に権力が集中しているため、現場は中央からの指示を待ち、自らの判断で動くことは避けている。都合が悪い情報があっても、中央に伝えないという悪弊も生じているようだ。
こうした状況が、今回の対応遅れの背景にあったのは間違いない。
ただ、習近平指導部がこの対応遅れの責任を認めるわけにはいかない。指導部が政策判断を誤って国民の生命と財産が脅かされたとなれば、習主席に対する国民の信頼は失墜し、求心力が急落することになる。
感染が終息したあとの経済政策推進など政権運営に支障が出るおそれもあるからだ。
◇イメージ回復の宣伝
こうした背景もあって、当局は国民感情を意識した措置を取るようになった。象徴的なのは、かの眼科医の名誉回復だ。
今回の新型肺炎蔓延について早い段階で警鐘を鳴らした眼科医、李文亮氏を当局は「デマを流した」として摘発した。
李氏の死後、ネット上で李氏を讃える声と並んで政府批判が噴出した。その反響の大きさに驚いた当局は一転、李氏を英雄扱いするようになった。
また共産党は、感染被害が深刻になった地域の幹部を次々に処分し、後任には習主席の側近らを送り込んで現地対応の指揮を取らせている。
それでも武漢などで政府の対応に不満がくすぶっていると見たのか、3月10日には習主席自ら、感染拡大後初めて武漢入り。党の幹部会議で「隔離が長引く地域では、市民に感情の乱れも出ている。理解したうえで対応するように」と指示した。
国営メディアは、習主席が国民の利益を最優先としながら「人民戦争」を指揮している様子を繰り返し伝える。「国民に寄り添う指導者」としてのイメージづくりを急いでいるようだ。
◇中国責任論
中国当局は当初から、自国と新型コロナウイルスのイメージが結びつけるような主張を振り払ってきた。
外務省の趙立堅副報道局長は3月5日の定例記者会見で「ウイルスの発生源についてまだ結論は出ていない」「このウイルスは人類共通の敵であり、誰もが被害者だ」と主張した。
習主席も3月16日発行の党理論誌「求是」に寄稿した論文で「病原がどこから来て、どこに向かったのか明らかにしなければならない」と訴える。
発生源は中国とは限らないという観点から科学的な根拠を探っているようだ。
◇米中で新たな摩擦
ただ「発生地・中国」に言及する声は強まる一方だ。特に、米国にその傾向が強い。「中国ウイルス」(トランプ大統領)、「武漢ウイルス」(ポンペオ国務長官)などの表現が用いられ、オブライエン大統領補佐官は「武漢で隠蔽があった」との見解を示している。
これに中国が猛反発し、趙副局長が「感染症は米軍が武漢に持ち込んだ可能性がある」との独自の主張を展開して、米国をけん制した。
3月16日にも中国外交トップの楊潔チ・共産党政治局員がポンペオ長官と電話で会談したものの、中国側は「米側の一部の政治家が、中国と、中国による感染抑止の努力を中傷している」と批判。双方が感染拡大の責任を相手側になすりつける事態となっている。
中国では共産党独裁によって社会に秘密主義がはびこる。硬直した官僚制度は速やかな判断を恐れる。国民に対する説明責任は果たされず、報道の自由も認められない――米国側にはこうした中国社会の歪みが今回の初動対応の遅れを招いた、という見方が根強い。
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishiokashoji/20200318-00168355/
3/18(水) 11:00