https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200325-00232705-diamond-soci&p=1
220万人のフォロワーを巻き込み、死について考えるムーブメントを作った4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』。
しかし、最終話掲載直後にグッズ販売など、今後の商業展開を怒涛の勢いで発表したことで、感動ムードは一変。
「電通案件ではないか」と大炎上した。しかし、一連の流れを丁寧に検証していくと、電通案件とは考えにくい3つのポイントがある。
● 感動から一転 “電通案件”と大炎上
漫画家・イラストレーターの、きくちゆうき氏が、自身のTwitterで連載していた4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』が3月20日、
午後7時20分に100日目の最終回を迎えた。
誰も避けることの出来ない「死」をテーマに、100日後に自らが死ぬ運命を知らない主人公のワニが、仲間と暮らす日々の出来事を描いた作品である。
特徴的なのは、毎日の4コマ漫画での欄外、上部に「○○日目」、下部には「死まであと○○日」とカウントダウンが入ること。
素朴でほのぼのとした独創的なタッチの世界観の中、日めくりカレンダーのごとく死が迫りくることを明確に示すギャップに、
自分の日常を考えさせられる作品として共感した方も多かったはずだ。
ところが、最終話が公開された直後、「ワニ」に因んだ午後8時2分から、作者のTwitterで、いきものがかりとのコラボムービー「生きる」の公開、
書籍化と映画化、グッズ販売とイベント開催が立て続けに発表された。
フォロワー220万人を巻き込み、感動のなかで「ワニくん」はTwitterトレンド世界1位にもなったが、この一連のお知らせの後に状況は一変。
怒涛のビジネス展開に「電通案件」というトレンドワードも生まれ、大炎上した。
果たして、本当に電通案件なのか?マーケティングを生業としている筆者は、この一連の流れの中の「3つのポイント」に、
それを読み解くカギがあると考えている。
● 無料で始まった「ワニ」 マネタイズの困難さ
まず、最初のポイントは、商標登録のタイミングである。
「ワニ」の連載がTwitter上に無料で開始されたのは昨年12月12日。筆者は1月に入ってその存在を知り、当時考えたのは
「今後、どうやって課金するのだろう?」ということだ。
「フリーミアム」というマーケティング用語がある。これは基本的なサービスや商品は無料で提供、ただし高度や特別な機能、
コンテンツには、課金が発生するシステムだ。たとえば、無料オンラインゲームで強いアイテムには課金するといったケースや、
Googleの検索とGmailは無料だが広告も掲載されるというようなビジネスモデルだ。マンガ本でも、最初の数ページ、もしくは数巻は無料公開、
その後に課金するというパターンが存在する。
このフリーミアムのセオリーで考えれば、当初20回程度までは無料掲載、その後は有料の課金掲載というような手段が考えられた。
ただし、「ワニ」のケースでは、最初から商業展開について何も説明していなかった。それまでは無料だったものが最後のオチ部分だけが
有料コンテンツになれば、炎上すること間違いなしで、得策ではないとも感じていた。
その1つの解が、作者のTwitterで2月5日に、LINEスタンプを発売すると発表したことだった。yuuki kikuchi名義であり、
同氏はすでにそれまでにも28点のコンテンツを販売していた。
その時点では、作者はこのスタンプの売り上げで回収するだけだと思っていた。
しかし一連の炎上後にわかったのは、1月16日に商標登録を出願(「100日後に死ぬワニ」の文字商標、商願2020-4507)していたこと。
出願は、グッズ販売を行うベイシアと作者の共同名義になっている。
もし、電通案件であれば、LINEスタンプのクレジットが作者だけの名義であることと、連載開始前から商標登録を出願していないのは不可思議だ。
商標登録のタイミングを考えると、グッズ販売は連載の途中から、構想が練られたと推察される。しかし、もし関係のない第三者が勝手に
登録してしまうと、手続きは面倒になる。大手代理店であれば、企画の段階で真っ先に出願するはずだ。
220万人のフォロワーを巻き込み、死について考えるムーブメントを作った4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』。
しかし、最終話掲載直後にグッズ販売など、今後の商業展開を怒涛の勢いで発表したことで、感動ムードは一変。
「電通案件ではないか」と大炎上した。しかし、一連の流れを丁寧に検証していくと、電通案件とは考えにくい3つのポイントがある。
● 感動から一転 “電通案件”と大炎上
漫画家・イラストレーターの、きくちゆうき氏が、自身のTwitterで連載していた4コマ漫画『100日後に死ぬワニ』が3月20日、
午後7時20分に100日目の最終回を迎えた。
誰も避けることの出来ない「死」をテーマに、100日後に自らが死ぬ運命を知らない主人公のワニが、仲間と暮らす日々の出来事を描いた作品である。
特徴的なのは、毎日の4コマ漫画での欄外、上部に「○○日目」、下部には「死まであと○○日」とカウントダウンが入ること。
素朴でほのぼのとした独創的なタッチの世界観の中、日めくりカレンダーのごとく死が迫りくることを明確に示すギャップに、
自分の日常を考えさせられる作品として共感した方も多かったはずだ。
ところが、最終話が公開された直後、「ワニ」に因んだ午後8時2分から、作者のTwitterで、いきものがかりとのコラボムービー「生きる」の公開、
書籍化と映画化、グッズ販売とイベント開催が立て続けに発表された。
フォロワー220万人を巻き込み、感動のなかで「ワニくん」はTwitterトレンド世界1位にもなったが、この一連のお知らせの後に状況は一変。
怒涛のビジネス展開に「電通案件」というトレンドワードも生まれ、大炎上した。
果たして、本当に電通案件なのか?マーケティングを生業としている筆者は、この一連の流れの中の「3つのポイント」に、
それを読み解くカギがあると考えている。
● 無料で始まった「ワニ」 マネタイズの困難さ
まず、最初のポイントは、商標登録のタイミングである。
「ワニ」の連載がTwitter上に無料で開始されたのは昨年12月12日。筆者は1月に入ってその存在を知り、当時考えたのは
「今後、どうやって課金するのだろう?」ということだ。
「フリーミアム」というマーケティング用語がある。これは基本的なサービスや商品は無料で提供、ただし高度や特別な機能、
コンテンツには、課金が発生するシステムだ。たとえば、無料オンラインゲームで強いアイテムには課金するといったケースや、
Googleの検索とGmailは無料だが広告も掲載されるというようなビジネスモデルだ。マンガ本でも、最初の数ページ、もしくは数巻は無料公開、
その後に課金するというパターンが存在する。
このフリーミアムのセオリーで考えれば、当初20回程度までは無料掲載、その後は有料の課金掲載というような手段が考えられた。
ただし、「ワニ」のケースでは、最初から商業展開について何も説明していなかった。それまでは無料だったものが最後のオチ部分だけが
有料コンテンツになれば、炎上すること間違いなしで、得策ではないとも感じていた。
その1つの解が、作者のTwitterで2月5日に、LINEスタンプを発売すると発表したことだった。yuuki kikuchi名義であり、
同氏はすでにそれまでにも28点のコンテンツを販売していた。
その時点では、作者はこのスタンプの売り上げで回収するだけだと思っていた。
しかし一連の炎上後にわかったのは、1月16日に商標登録を出願(「100日後に死ぬワニ」の文字商標、商願2020-4507)していたこと。
出願は、グッズ販売を行うベイシアと作者の共同名義になっている。
もし、電通案件であれば、LINEスタンプのクレジットが作者だけの名義であることと、連載開始前から商標登録を出願していないのは不可思議だ。
商標登録のタイミングを考えると、グッズ販売は連載の途中から、構想が練られたと推察される。しかし、もし関係のない第三者が勝手に
登録してしまうと、手続きは面倒になる。大手代理店であれば、企画の段階で真っ先に出願するはずだ。