0001富豪立て子 ★2020/05/01(金) 02:22:59.50ID:IusGTcON9
老化について調べる研究者にとって、主要な研究テーマの1つが「テロメア」だ。これは染色体の末端にあるキャップのようなもので、その長さは老化に関係していると考えられている。
ならば、テロメアが短くなることを防げば、細胞の老化やそれに起因する病気をも防ぐことができるかもしれない。
この度、アメリカの研究チームによって、その実現へ向けた手がかりが発見されたという。それはマウスのテロメアを回復する小さな分子だ。
染色体のテロメアは靴紐のカバーのようなもの
靴紐の末端にはプラスチックのカバーのようなものがついているが、テロメアはそれに似ている。プラスチックカバーのおかげで靴紐がほつれないように、テロメアのおかげで、染色体はほつれずにその機能を果たすことができる。
残念なことにテロメアは、細胞分裂のたびに少しずつ短くなる。そして、それがなくなってしまえば、もう細胞はそれ以上分裂できなくなる。
このプロセスは老化や、それに起因する病気と関係があるとされる。一例として、「先天性角化不全症」という難病がある。爪の形成不全、口の中の白斑、皮膚の萎縮、再生不良性の貧血といった症状が特徴の遺伝病で、細胞が異常に早く老化してしまうことが原因と考えられている。
治療法としては骨髄移植などがあるが、リスクが高い上に、効果も限定的なものでしかない。
テロメラーゼの異常が老化を加速させる
先天性角化不全症の患者の細胞がすぐに老化してしまう原因の1つは、遺伝子の突然変異によって「テロメラーゼ」という酵素が阻害されていることだ。
テロメラーゼには、テロメアの構造を健全に保つ働きがある。そのために研究者たちは、この酵素の発見以来、これを標的にして老化を減速させたり、あわよくば逆転させる方法を模索してきた。
2015年、ボストン小児病院(アメリカ)のスニート・アガルワル氏らによって、「PARN」というテロメラーゼの活動と関連する遺伝子が発見された。
この遺伝子は通常、「TERC」というテロメラーゼを構成するサブユニットを処理・安定化させる役割を担っている。ところが、PARN遺伝子が突然変異してしまうと、テロメラーゼの生産量が減り、そのためにテロメアはすぐに短くなってしまう。
PARN遺伝子を守る分子の発見
今回のアガルワル氏とネハ・ナグパル氏らの研究では、10万種類以上の化学物質を調べて、PARN遺伝子を守ってくれるものがないかどうか確かめられた。
そうして候補としていくつか選別されたのが、「PAPD5」という酵素を阻害するものだった。PAPD5酵素は、PARN遺伝子を壊し、TERCを不安定にするために、これを阻害することができれば、テロメラーゼの適切なバランスを回復させられるということになる。
先天性角化不全症の患者から採取した細胞を幹細胞に変え、これに対して阻害薬候補の化学物質を使用してみると、いずれもTERCが健康なレベルに戻り、テロメアの長さも回復することが確認されたという。
マウスに移植したPARN遺伝子のテロメアが回復
だが、求められているのは、薬として与えられたときにそうした効果が得られ、それでいて安全な化学物質だ。
そこで研究チームは、人間の血液から幹細胞を作り、そこに含まれるPARN遺伝子を突然変異させた上で、マウスに移植。このマウスに対して、阻害薬候補の「dihydroquinolizinone RG7834」を経口で投与した。
すると、この実験でもやはりTERCが増加し、幹細胞のテロメアの長さが回復。それでいて副作用は出ないことが確認された。
難病の治療やアンチエイジングとして期待
「臨床治療になるかもしれないと希望を抱かせてくれます」と、ナグパル氏は期待をにじませる。
今後、研究チームはさらに実験を続け、先天性角化不全症をはじめとする難病の治療法として、さらにはより広範なアンチエイジング法として、その効果や安全性を明らかにしていく予定であるそうだ。
この研究は『Cell Stem Cell』(4月21日付)に掲載された。
http://karapaia.com/archives/52290369.html
https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/b/8/b86289c5.jpg
ならば、テロメアが短くなることを防げば、細胞の老化やそれに起因する病気をも防ぐことができるかもしれない。
この度、アメリカの研究チームによって、その実現へ向けた手がかりが発見されたという。それはマウスのテロメアを回復する小さな分子だ。
染色体のテロメアは靴紐のカバーのようなもの
靴紐の末端にはプラスチックのカバーのようなものがついているが、テロメアはそれに似ている。プラスチックカバーのおかげで靴紐がほつれないように、テロメアのおかげで、染色体はほつれずにその機能を果たすことができる。
残念なことにテロメアは、細胞分裂のたびに少しずつ短くなる。そして、それがなくなってしまえば、もう細胞はそれ以上分裂できなくなる。
このプロセスは老化や、それに起因する病気と関係があるとされる。一例として、「先天性角化不全症」という難病がある。爪の形成不全、口の中の白斑、皮膚の萎縮、再生不良性の貧血といった症状が特徴の遺伝病で、細胞が異常に早く老化してしまうことが原因と考えられている。
治療法としては骨髄移植などがあるが、リスクが高い上に、効果も限定的なものでしかない。
テロメラーゼの異常が老化を加速させる
先天性角化不全症の患者の細胞がすぐに老化してしまう原因の1つは、遺伝子の突然変異によって「テロメラーゼ」という酵素が阻害されていることだ。
テロメラーゼには、テロメアの構造を健全に保つ働きがある。そのために研究者たちは、この酵素の発見以来、これを標的にして老化を減速させたり、あわよくば逆転させる方法を模索してきた。
2015年、ボストン小児病院(アメリカ)のスニート・アガルワル氏らによって、「PARN」というテロメラーゼの活動と関連する遺伝子が発見された。
この遺伝子は通常、「TERC」というテロメラーゼを構成するサブユニットを処理・安定化させる役割を担っている。ところが、PARN遺伝子が突然変異してしまうと、テロメラーゼの生産量が減り、そのためにテロメアはすぐに短くなってしまう。
PARN遺伝子を守る分子の発見
今回のアガルワル氏とネハ・ナグパル氏らの研究では、10万種類以上の化学物質を調べて、PARN遺伝子を守ってくれるものがないかどうか確かめられた。
そうして候補としていくつか選別されたのが、「PAPD5」という酵素を阻害するものだった。PAPD5酵素は、PARN遺伝子を壊し、TERCを不安定にするために、これを阻害することができれば、テロメラーゼの適切なバランスを回復させられるということになる。
先天性角化不全症の患者から採取した細胞を幹細胞に変え、これに対して阻害薬候補の化学物質を使用してみると、いずれもTERCが健康なレベルに戻り、テロメアの長さも回復することが確認されたという。
マウスに移植したPARN遺伝子のテロメアが回復
だが、求められているのは、薬として与えられたときにそうした効果が得られ、それでいて安全な化学物質だ。
そこで研究チームは、人間の血液から幹細胞を作り、そこに含まれるPARN遺伝子を突然変異させた上で、マウスに移植。このマウスに対して、阻害薬候補の「dihydroquinolizinone RG7834」を経口で投与した。
すると、この実験でもやはりTERCが増加し、幹細胞のテロメアの長さが回復。それでいて副作用は出ないことが確認された。
難病の治療やアンチエイジングとして期待
「臨床治療になるかもしれないと希望を抱かせてくれます」と、ナグパル氏は期待をにじませる。
今後、研究チームはさらに実験を続け、先天性角化不全症をはじめとする難病の治療法として、さらにはより広範なアンチエイジング法として、その効果や安全性を明らかにしていく予定であるそうだ。
この研究は『Cell Stem Cell』(4月21日付)に掲載された。
http://karapaia.com/archives/52290369.html
https://livedoor.blogimg.jp/karapaia_zaeega/imgs/b/8/b86289c5.jpg