今年の米大統領選でアリゾナ州とミネソタ州が鍵を握る可能性がある(英語音声、英語字幕あり)
https://m.wsj.net/video/20200901/090120seibminnesota/090120seibminnesota.jpg
米大統領選まであと9週間に迫る中、ミネソタ州が「主戦場」として浮上してきた。民主党のジョー・バイデン候補に対して総じて守勢に立たされているドナルド・トランプ大統領にとって、民主地盤の同州は攻め落とせる勝算が大きい重要州で、両陣営ともに集中的に資金をつぎ込んでいる。
共和党の大統領候補は1972年以降、ミネソタ州で勝利したことがない。だが、トランプ氏は4年前の大統領選で4万5000票差まで詰め寄っており、陣営関係者らはトランプ氏の追い上げが継続していると話す。超党派の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートが激戦を予想している12州のうち、2016年に民主党のヒラリー・クリントン候補が勝利したのは、ミネソタとニューハンプシャーの2州のみだ。
ただ、これまで行われた同州に関する世論調査はわずかだ。民主党は今回もミネソタ州を死守すると主張している。だが、トランプ氏の関係者は「法と秩序」のメッセージが突破口になるかもしれないとみる。同州ミネアポリスでは警官の拘束中に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件を受けて、平和的なデモとともに、略奪や破壊が起こったためだ。また、民主党の左寄りへの傾斜が同州の穏健派有権者を遠ざけ、トランプ氏に優位に働く可能性があるとも指摘している。
4年前の大統領選では、トランプ陣営はミネソタ州に現地組織をほとんど置かなかった。だが今回は、相当な数の人員を投入しているほか、巨額のテレビ広告枠を押さえている。トランプ氏とマイク・ペンス副大統領が度々現地入りしていることも追い風となりそうだ。先頃行われた共和党全国大会でも、ミネソタ州の関係者を多く登場させるなど、同州を重視する姿勢が鮮明となった。
トランプ氏は激戦州や全国規模の世論調査の多くで、バイデン氏にリードを許しており、ミネソタ州で勝利すれば、前回勝利した州を落とした場合の影響を相殺できるかもしれない。例えば、トランプ陣営はミシガン州については悲観的な見方を強めており、投入する資源を減らしている。ある関係者は、ミシガン州を維持するよりも、ミネソタ州を奪還する方が可能性が高いとの見方を示した。ミネソタ州と近隣のウィスコンシン州に割り当てられた選挙人の数はいずれも10人、ミシガン州は16人となっている。
バイデン氏の陣営は、現地人員の配置や広告投入に触れ、ミネソタ州を維持できるとの自信を示している。一方、共和党側は、バイデン氏による訪問や広告出稿は、同氏の陣営が守りを固めようと必死になっていることを示していると指摘する。
トランプ陣営の選対本部長、ビル・ステピエン氏は「ようやく地下から姿を現したバイデン氏が、最初の遊説先の1つにミネソタ州を選んでいることは、守勢に立たされていることの表れだ」と述べた。
ただ、投票日までの広告出稿の規模では、トランプ氏がバイデン氏を著しく上回っている。
カンター/CMAGのデータによると、ミネソタ州向けの広告出稿枠はトランプ氏が1480万ドル(約15億7000万円)であるのに対し、バイデン氏は380万ドルとなっている。支払いは実際に広告が流れるまで行われないため、今後増減することはあり得る。
2日からミネソタ州で放送されるトランプ氏の選挙広告では、バイデン氏が都市部の暴徒を前に「片膝をついている」と攻撃。また同州選出のイルハン・オマル下院議員(民主党)を「過激派」と批判している。
ミネソタ州のロビイスト、トム・フリーマン氏は同州が「真の主戦場」だとみている。フリーマン氏は過去に同州で共和党の選挙活動を率いた経歴を持つ。トランプ氏が大統領選で同州につぎ込んでいるリソースは、少なくとも2004年以降のどの共和党候補も上回っているという。
だが、トランプ氏がミネソタ州を制するには、ミネアポリス・セントポール都市圏近郊の郊外で、4年前と同等以上の支持を獲得する必要があるだろうとフリーマン氏は話す。「これまでのところ、法と秩序および治安悪化のメッセージが郊外の有権者にどう届くかは、まだ読めない」
2020年9月3日 09:45 JST
https://jp.wsj.com/articles/SB10557005316144304846804586607950228220680
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米大統領選まであと9週間に迫る中、ミネソタ州が「主戦場」として浮上してきた。民主党のジョー・バイデン候補に対して総じて守勢に立たされているドナルド・トランプ大統領にとって、民主地盤の同州は攻め落とせる勝算が大きい重要州で、両陣営ともに集中的に資金をつぎ込んでいる。
共和党の大統領候補は1972年以降、ミネソタ州で勝利したことがない。だが、トランプ氏は4年前の大統領選で4万5000票差まで詰め寄っており、陣営関係者らはトランプ氏の追い上げが継続していると話す。超党派の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートが激戦を予想している12州のうち、2016年に民主党のヒラリー・クリントン候補が勝利したのは、ミネソタとニューハンプシャーの2州のみだ。
ただ、これまで行われた同州に関する世論調査はわずかだ。民主党は今回もミネソタ州を死守すると主張している。だが、トランプ氏の関係者は「法と秩序」のメッセージが突破口になるかもしれないとみる。同州ミネアポリスでは警官の拘束中に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件を受けて、平和的なデモとともに、略奪や破壊が起こったためだ。また、民主党の左寄りへの傾斜が同州の穏健派有権者を遠ざけ、トランプ氏に優位に働く可能性があるとも指摘している。
4年前の大統領選では、トランプ陣営はミネソタ州に現地組織をほとんど置かなかった。だが今回は、相当な数の人員を投入しているほか、巨額のテレビ広告枠を押さえている。トランプ氏とマイク・ペンス副大統領が度々現地入りしていることも追い風となりそうだ。先頃行われた共和党全国大会でも、ミネソタ州の関係者を多く登場させるなど、同州を重視する姿勢が鮮明となった。
トランプ氏は激戦州や全国規模の世論調査の多くで、バイデン氏にリードを許しており、ミネソタ州で勝利すれば、前回勝利した州を落とした場合の影響を相殺できるかもしれない。例えば、トランプ陣営はミシガン州については悲観的な見方を強めており、投入する資源を減らしている。ある関係者は、ミシガン州を維持するよりも、ミネソタ州を奪還する方が可能性が高いとの見方を示した。ミネソタ州と近隣のウィスコンシン州に割り当てられた選挙人の数はいずれも10人、ミシガン州は16人となっている。
バイデン氏の陣営は、現地人員の配置や広告投入に触れ、ミネソタ州を維持できるとの自信を示している。一方、共和党側は、バイデン氏による訪問や広告出稿は、同氏の陣営が守りを固めようと必死になっていることを示していると指摘する。
トランプ陣営の選対本部長、ビル・ステピエン氏は「ようやく地下から姿を現したバイデン氏が、最初の遊説先の1つにミネソタ州を選んでいることは、守勢に立たされていることの表れだ」と述べた。
ただ、投票日までの広告出稿の規模では、トランプ氏がバイデン氏を著しく上回っている。
カンター/CMAGのデータによると、ミネソタ州向けの広告出稿枠はトランプ氏が1480万ドル(約15億7000万円)であるのに対し、バイデン氏は380万ドルとなっている。支払いは実際に広告が流れるまで行われないため、今後増減することはあり得る。
2日からミネソタ州で放送されるトランプ氏の選挙広告では、バイデン氏が都市部の暴徒を前に「片膝をついている」と攻撃。また同州選出のイルハン・オマル下院議員(民主党)を「過激派」と批判している。
ミネソタ州のロビイスト、トム・フリーマン氏は同州が「真の主戦場」だとみている。フリーマン氏は過去に同州で共和党の選挙活動を率いた経歴を持つ。トランプ氏が大統領選で同州につぎ込んでいるリソースは、少なくとも2004年以降のどの共和党候補も上回っているという。
だが、トランプ氏がミネソタ州を制するには、ミネアポリス・セントポール都市圏近郊の郊外で、4年前と同等以上の支持を獲得する必要があるだろうとフリーマン氏は話す。「これまでのところ、法と秩序および治安悪化のメッセージが郊外の有権者にどう届くかは、まだ読めない」
2020年9月3日 09:45 JST
https://jp.wsj.com/articles/SB10557005316144304846804586607950228220680