0001影のたけし軍団 ★2020/11/06(金) 18:30:29.35ID:GDvzzeYl9
「このままだったら、死んじゃいますよ」
派遣労働者のイサムさん(仮名、40歳)が助けを求めた支援団体の関係者からかけられた言葉だ。
新型コロナウイルスの感染拡大につれ、仕事はなくなり、所持金はゼロに。しばらくは派遣会社が食料を差し入れてくれたが、
それも「1日に袋麺が1袋、食べられるか、食べられないか」。後は水道水を飲んで空腹を紛らわせた。
6月以降、別の派遣会社にも電話で10社以上問い合わせをしたという。
しかし、この頃は派遣切りに遭った人に加え、解雇・雇い止めにされたアルバイトや契約社員といった非正規労働者たちも
派遣会社の募集に殺到していた。「『登録をしてもらっても、仕事を紹介できるかどうかわかりません』という返事ばかりでした」。
「命に関わる危険な暑さ」が続いた8月、交通費がないので10キロ以上離れた面接会場まで3時間近く歩いて行ったこともある。
「全部で5、6社くらいでしょうか」。しかし、時々日雇いの仕事をあてがわれる以外、派遣の仕事は見つからなかった。
寮の退出期限が迫った9月、「もう野宿をするか、クビをくくるしかないな」と思いつめた。
一方でわらにもすがる思いでネットで見つけた民間の支援団体にSOSのメールを出してみたのだという。
このとき、身長160センチ余りのイサムさんの体重は35キロまで落ちていた。
「歩いていてもジーパンがずり落ちてくる状態で……。寮にある体重計で計ったら35キロでした。駆けつけてくれた支援団体の人からもびっくりされました」
出身は東北地方。家族とは10年以上連絡を取っていないと言い、生い立ちについて多くは語らなかった。
経済的な理由で専門学校を中退後、主に東海地方の自動車関連の工場で派遣労働者として働いてきた。
イサムさんのように緊急連絡先や身元保証人になってくれる親族がいないと、アパートを借りることが難しいうえ、
登録できる派遣会社は限られる。「働くとしたら、(住まいがセットになった)寮付き派遣しかない。時給などの条件面でもよいところは選べませんでした」と言う。
さまざまな派遣会社で働いてきたイサムさんは、派遣労働の“裏事情”についても教えてくれた。
「派遣会社さんもピンキリなんです。犯罪歴のある人やギャンブル依存症なんかの人は、自分よりもさらに条件の悪い会社に行きます。
なかには(経営に暴力団が関与している)危ない会社もあって、違法な『人夫出し』とか、賃金のピンハネとかもあります。
工場には外国人も大勢いますよ。ベトナムとか中国とか、フィリピンとか。彼らは技能実習生なのですが、同じ仕事でも日本人より時給が低いんです。
ある工場で一緒だったベトナム人の女の子は『もう二度と日本には来たくない』と言ってました。コロナで自分たちよりも先に切られたのも日系ブラジル人でした」
イサムさん自身の月収は「残業があるか、ないかで変わりますが、だいたい16万円ほど」。
日中は工場、夜間は倉庫と、派遣を掛け持ちしたこともある。朝方に数時間の仮眠を取るだけの“超”長時間労働をして、月収はようやく35万円ほどになった。
また、寮付き派遣では相場に比べて異様に高い寮費を天引きされることがあったという。
イサムさんが働いていたある派遣会社では、毎月の寮費は家具付きで約5万円だった。
寮といっても「築数十年以上のワンルームの民間のアパート」。ずいぶん高いなと思ったイサムさんがネットで調べたところ、
派遣会社を通さなければ、約2万5000円で借りられる物件であることがわかった。
寮付き派遣の会社の広告の中には「工場に近くて便利」「お友達同士もOK!」「寮費無料」などとうたっているところもあるが、
私が取材する限り、寮費がタダだったという人に出会ったことはない。
イサムさんも「相場の倍くらいに盛ってくるんですよね。出るときに清掃費として5万円を請求されたこともあります」と話す。
仕事は入寮者に優先的に紹介されるので、収入を得るためにも寮に入るしかない。
光熱費や社会保険料、携帯代などを払うと、イサムさんの手元に残るのは5万円ほど。「貯金をする余裕はありませんでした」。
さらに寮付き派遣の最大のリスクは仕事を失うと、同時に住まいも失うことだ。
そのまま生活保護を利用する人も少なくない。ただ、イサムさんは生活保護だけは利用したくなかったという。
https://toyokeizai.net/articles/-/386159
派遣労働者のイサムさん(仮名、40歳)が助けを求めた支援団体の関係者からかけられた言葉だ。
新型コロナウイルスの感染拡大につれ、仕事はなくなり、所持金はゼロに。しばらくは派遣会社が食料を差し入れてくれたが、
それも「1日に袋麺が1袋、食べられるか、食べられないか」。後は水道水を飲んで空腹を紛らわせた。
6月以降、別の派遣会社にも電話で10社以上問い合わせをしたという。
しかし、この頃は派遣切りに遭った人に加え、解雇・雇い止めにされたアルバイトや契約社員といった非正規労働者たちも
派遣会社の募集に殺到していた。「『登録をしてもらっても、仕事を紹介できるかどうかわかりません』という返事ばかりでした」。
「命に関わる危険な暑さ」が続いた8月、交通費がないので10キロ以上離れた面接会場まで3時間近く歩いて行ったこともある。
「全部で5、6社くらいでしょうか」。しかし、時々日雇いの仕事をあてがわれる以外、派遣の仕事は見つからなかった。
寮の退出期限が迫った9月、「もう野宿をするか、クビをくくるしかないな」と思いつめた。
一方でわらにもすがる思いでネットで見つけた民間の支援団体にSOSのメールを出してみたのだという。
このとき、身長160センチ余りのイサムさんの体重は35キロまで落ちていた。
「歩いていてもジーパンがずり落ちてくる状態で……。寮にある体重計で計ったら35キロでした。駆けつけてくれた支援団体の人からもびっくりされました」
出身は東北地方。家族とは10年以上連絡を取っていないと言い、生い立ちについて多くは語らなかった。
経済的な理由で専門学校を中退後、主に東海地方の自動車関連の工場で派遣労働者として働いてきた。
イサムさんのように緊急連絡先や身元保証人になってくれる親族がいないと、アパートを借りることが難しいうえ、
登録できる派遣会社は限られる。「働くとしたら、(住まいがセットになった)寮付き派遣しかない。時給などの条件面でもよいところは選べませんでした」と言う。
さまざまな派遣会社で働いてきたイサムさんは、派遣労働の“裏事情”についても教えてくれた。
「派遣会社さんもピンキリなんです。犯罪歴のある人やギャンブル依存症なんかの人は、自分よりもさらに条件の悪い会社に行きます。
なかには(経営に暴力団が関与している)危ない会社もあって、違法な『人夫出し』とか、賃金のピンハネとかもあります。
工場には外国人も大勢いますよ。ベトナムとか中国とか、フィリピンとか。彼らは技能実習生なのですが、同じ仕事でも日本人より時給が低いんです。
ある工場で一緒だったベトナム人の女の子は『もう二度と日本には来たくない』と言ってました。コロナで自分たちよりも先に切られたのも日系ブラジル人でした」
イサムさん自身の月収は「残業があるか、ないかで変わりますが、だいたい16万円ほど」。
日中は工場、夜間は倉庫と、派遣を掛け持ちしたこともある。朝方に数時間の仮眠を取るだけの“超”長時間労働をして、月収はようやく35万円ほどになった。
また、寮付き派遣では相場に比べて異様に高い寮費を天引きされることがあったという。
イサムさんが働いていたある派遣会社では、毎月の寮費は家具付きで約5万円だった。
寮といっても「築数十年以上のワンルームの民間のアパート」。ずいぶん高いなと思ったイサムさんがネットで調べたところ、
派遣会社を通さなければ、約2万5000円で借りられる物件であることがわかった。
寮付き派遣の会社の広告の中には「工場に近くて便利」「お友達同士もOK!」「寮費無料」などとうたっているところもあるが、
私が取材する限り、寮費がタダだったという人に出会ったことはない。
イサムさんも「相場の倍くらいに盛ってくるんですよね。出るときに清掃費として5万円を請求されたこともあります」と話す。
仕事は入寮者に優先的に紹介されるので、収入を得るためにも寮に入るしかない。
光熱費や社会保険料、携帯代などを払うと、イサムさんの手元に残るのは5万円ほど。「貯金をする余裕はありませんでした」。
さらに寮付き派遣の最大のリスクは仕事を失うと、同時に住まいも失うことだ。
そのまま生活保護を利用する人も少なくない。ただ、イサムさんは生活保護だけは利用したくなかったという。
https://toyokeizai.net/articles/-/386159