0001影のたけし軍団 ★2021/01/04(月) 16:15:55.99ID:TEwkIMh49
新型コロナウイルスに限らず、細菌やウイルスなどの異物は、口を「入り口」として感染してきます。
「入口」「出口」という言葉の中に「口」が入り込んでいるくらい、人体の中で口こそが外界に開いた窓なのです。
身体感覚で「口」の意味を誰もが知っているからこそ、「入口」「出口」という日本語が生まれた、ということでしょう。
ちなみに、体の「出口」は肛門ですが、人体は口と肛門を介して内臓が外に開いた構造をしています。
マスクをつけることで「口」という人体の「入口」を封鎖させて、内臓などへの感染防御を行うのはそのためです。
ただ、口からの感染防御を完全にできるわけではありません。なぜなら、人は口から食べ物を取らざるを得ないため、食事の時にかならず口は外界に開きます。
そして、そうした瞬間こそが(いくらマスクをしていても)異物が内臓へと入って来る「入口」のタイミングになりえるのです。
集団会食などで感染が多発するのは、食の場で気が緩み、外界の窓としての「口」が無防備に開いてしまうからです。
そして、思いのほか唾液が周囲に飛んでいることも、新型コロナウイルスの感染を契機に周知されてきたことです。
唾液は、会話では約1m、咳で約3m、くしゃみで約5m飛ぶようです(直径5μmよりも大きな水滴を「飛沫(ひまつ)」と呼びますが、
口から飛び散る飛沫感染予防では約2mの距離を取るようにと言われます)。
そう考えると、これまで私たちが親密に会話をしたり密接な場所で食事をしたりといった行為は、唾液を共有していた行為でもあったのでしょう。
ただ食の場をともにするだけで関係性が近くなることと、唾液が間接的に交換されていたこととがわたしたちの無意識には影響を与えていたのかもしれません。
たいていは人間の無意識の行動こそが、思いもよらない感染経路になっています。
明らかな咳やくしゃみは目立つので防ぎやすいのですが、それよりも自分自身の無意識の行為が、一番の死角になるのです。
いつのまにか手を口に持っていく仕草。いつのまにか手で口に触れている行為。
多くの人はほぼ無意識の動作になっていますので、自分自身がそうした無意識の行為に気がつきません。
映像で自分の無意識の行為を撮影してもらうと、いかに非合理な無意識の身体行為が多いのかに驚くことでしょう。
他者はよく見えても、自分には常に死角になることに注意が必要です。
自分の無意識の身体行為を意識化することが難しいからこそ、手を洗うことが感染防御の基本になります
(アルコール消毒は手を洗う場がない場合に行いますが、手洗いが基本です)。
そのうえで自分の無意識の身体の動きを意識化していくことが、今こうした時期にできる大切なことです。
食べる行為は、内臓世界と外の世界とがつながる無意識の行為であるがゆえに、
外界に無数にいる他の生物の感染の「入口」になりえるのです。
稲葉俊郎
いなばとしろう 1979年熊本生まれ。医師、医学博士、東京大学医学部付属病院循環器内科助教(2014〜2020年)を経て、
2020年4月より軽井沢病院総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、
東北芸術工科大学客員教授を兼任(山形ビエンナーレ2020 芸術監督 就任)。
https://hbol.jp/235860
https://hbol.jp/wp-content/uploads/2021/01/shokuji-550x366.jpg
「入口」「出口」という言葉の中に「口」が入り込んでいるくらい、人体の中で口こそが外界に開いた窓なのです。
身体感覚で「口」の意味を誰もが知っているからこそ、「入口」「出口」という日本語が生まれた、ということでしょう。
ちなみに、体の「出口」は肛門ですが、人体は口と肛門を介して内臓が外に開いた構造をしています。
マスクをつけることで「口」という人体の「入口」を封鎖させて、内臓などへの感染防御を行うのはそのためです。
ただ、口からの感染防御を完全にできるわけではありません。なぜなら、人は口から食べ物を取らざるを得ないため、食事の時にかならず口は外界に開きます。
そして、そうした瞬間こそが(いくらマスクをしていても)異物が内臓へと入って来る「入口」のタイミングになりえるのです。
集団会食などで感染が多発するのは、食の場で気が緩み、外界の窓としての「口」が無防備に開いてしまうからです。
そして、思いのほか唾液が周囲に飛んでいることも、新型コロナウイルスの感染を契機に周知されてきたことです。
唾液は、会話では約1m、咳で約3m、くしゃみで約5m飛ぶようです(直径5μmよりも大きな水滴を「飛沫(ひまつ)」と呼びますが、
口から飛び散る飛沫感染予防では約2mの距離を取るようにと言われます)。
そう考えると、これまで私たちが親密に会話をしたり密接な場所で食事をしたりといった行為は、唾液を共有していた行為でもあったのでしょう。
ただ食の場をともにするだけで関係性が近くなることと、唾液が間接的に交換されていたこととがわたしたちの無意識には影響を与えていたのかもしれません。
たいていは人間の無意識の行動こそが、思いもよらない感染経路になっています。
明らかな咳やくしゃみは目立つので防ぎやすいのですが、それよりも自分自身の無意識の行為が、一番の死角になるのです。
いつのまにか手を口に持っていく仕草。いつのまにか手で口に触れている行為。
多くの人はほぼ無意識の動作になっていますので、自分自身がそうした無意識の行為に気がつきません。
映像で自分の無意識の行為を撮影してもらうと、いかに非合理な無意識の身体行為が多いのかに驚くことでしょう。
他者はよく見えても、自分には常に死角になることに注意が必要です。
自分の無意識の身体行為を意識化することが難しいからこそ、手を洗うことが感染防御の基本になります
(アルコール消毒は手を洗う場がない場合に行いますが、手洗いが基本です)。
そのうえで自分の無意識の身体の動きを意識化していくことが、今こうした時期にできる大切なことです。
食べる行為は、内臓世界と外の世界とがつながる無意識の行為であるがゆえに、
外界に無数にいる他の生物の感染の「入口」になりえるのです。
稲葉俊郎
いなばとしろう 1979年熊本生まれ。医師、医学博士、東京大学医学部付属病院循環器内科助教(2014〜2020年)を経て、
2020年4月より軽井沢病院総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、
東北芸術工科大学客員教授を兼任(山形ビエンナーレ2020 芸術監督 就任)。
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