IOCに携わっている最古参の委員。ディック・パウンド委員(79)が時事通信の単独インタビューに応じた。
―日本では東京五輪開催に反対する声も大きい。世論を前向きなものに変えるため、IOCや日本政府がすべきことは何か。
日本政府や組織委は、『五輪が開催できるという決断は、可能な限り最高の科学的知識とワクチンの効果や普及に基づいている』と説明することに対し、十分に積極的ではなかったと思う。IOCは感染リスクが高まることを望んでいないし、リスクが高まるのならば五輪を開催しない。
現時点で言えることは、状況が良さそうに見えるということだ。(選手ら関係者と外部との接触を極力遮断する)「バブル」はつくれるし、来日する者は出発前と来日時にウイルス検査を受ける。健康な状態でなければ、日本の空港からは出られない。参加者は定期的に検査を受け、健康状態に問題がありそうなら、バブル内の特別な隔離状態に置くことができる。全ての参加者は安全に大会に臨める。
唯一、本当に問題なのは観客を入れられるのか、ということだろう。入れるなら、どれくらいか。恐らく100%まで入れられる可能性は低いが、いくらかは容認される可能性がある。だが、無観客なら安全という判断が下されたとしても、世界が終わるわけではない。観客が入れば雰囲気が出て良いことだが、必ずしも必要というわけではない。世界を見渡してみれば、99.5%の人がテレビなどの機器を通して東京大会を観戦することになる。そうした人は観客の存在は気にしない。関心があるのはスポーツ自体であり、観衆を見たいわけではない。五輪のような大きなイベントであったとしても、必要なら無観客で開催できる。
―観客がいない場合、五輪の価値を損ねることにならないか。
それはないと思う。東京大会は(コロナ下で)最初の世界規模のイベントなので、(五輪の価値を)強めるかもしれない。206の国や地域が一堂に会し、パンデミックのさなかであっても世界中のアスリートが何かを行うことになる。率直に言うと、世界中の観戦者に対して、『コロナウイルスに打ち勝つことができる』と示すことができるだろう。
―世界はまだ、不確実性の真っただ中にある。IOCにとって東京五輪を再延期する選択肢はあるのか。
再延期はない。(昨年3月に)延期が決まった当初、日本側は『延期は最大1年までで、それ以上はできない』と言っている。
―再延期できない理由は。
会場の再確保などで日本が負担する追加費用はかなりの額になると思う。来年の国際大会の日程は既に整備されているし、それは東京五輪の延期によって変更されたものでもある。来年2月には北京冬季五輪があり、2024年パリ夏季五輪も間近に迫っている。
―どのような状況になったら、IOCは東京五輪の中止を検討する必要があるのか。
これからも状況は大きく変わっていくと思う。毒性の強いウイルスや変異したウイルスが拡大していくかもしれない。しかし、現時点で分かっていること、科学的知識を持つ人たちが言うのは、『(東京五輪開催について)受け入れがたいリスクはないだろう、大丈夫だろう』ということだ。100%確実なことはない。あす津波に襲われ、状況が変わることだってあり得る。しかし、特にコロナウイルスに関して私たちが知りうることから判断すると、問題ないように見える。私はチケットを持っているし、東京に行く予定だ。
―バッハ会長やIOCが「大会中止は検討していない」と言い続ける理由は何なのか、分かりにくい。本当に検討されていないのか。それとも、そうした可能性について話した場合のネガティブな影響を心配しているのか。
IOCが『中止を考えている』と言った場合、人々は『何てこった。彼らは開催を約束していない』となってしまうだろう。そうではなく、IOCは開催に向けて全力を尽くしている。何か劇的で予期しないことが起こらない限り、それは維持される。つまり、ある意味ではIOCが積極的に大会の中止を検討していないというのは真実だ。
―東京五輪が中止された場合、日本側がIOCに対して賠償金を支払わなければならないのでは、という懸念が国内で出ている。
中止によってIOCへの支払い義務が生じるかどうかは分からない。IOCは大会中止の場合に起こりうるリスクに対して保険に入っていると思う。IOCが望むのは、保険会社が何も支払う必要がないことだ。それは大会が開催されることを意味するのだか
https://news.yahoo.co.jp/articles/31346e9b7abd5d53c8ae0e76d15ec469928bb96e?page=1
https://news.yahoo.co.jp/articles/31346e9b7abd5d53c8ae0e76d15ec469928bb96e?page=2
―日本では東京五輪開催に反対する声も大きい。世論を前向きなものに変えるため、IOCや日本政府がすべきことは何か。
日本政府や組織委は、『五輪が開催できるという決断は、可能な限り最高の科学的知識とワクチンの効果や普及に基づいている』と説明することに対し、十分に積極的ではなかったと思う。IOCは感染リスクが高まることを望んでいないし、リスクが高まるのならば五輪を開催しない。
現時点で言えることは、状況が良さそうに見えるということだ。(選手ら関係者と外部との接触を極力遮断する)「バブル」はつくれるし、来日する者は出発前と来日時にウイルス検査を受ける。健康な状態でなければ、日本の空港からは出られない。参加者は定期的に検査を受け、健康状態に問題がありそうなら、バブル内の特別な隔離状態に置くことができる。全ての参加者は安全に大会に臨める。
唯一、本当に問題なのは観客を入れられるのか、ということだろう。入れるなら、どれくらいか。恐らく100%まで入れられる可能性は低いが、いくらかは容認される可能性がある。だが、無観客なら安全という判断が下されたとしても、世界が終わるわけではない。観客が入れば雰囲気が出て良いことだが、必ずしも必要というわけではない。世界を見渡してみれば、99.5%の人がテレビなどの機器を通して東京大会を観戦することになる。そうした人は観客の存在は気にしない。関心があるのはスポーツ自体であり、観衆を見たいわけではない。五輪のような大きなイベントであったとしても、必要なら無観客で開催できる。
―観客がいない場合、五輪の価値を損ねることにならないか。
それはないと思う。東京大会は(コロナ下で)最初の世界規模のイベントなので、(五輪の価値を)強めるかもしれない。206の国や地域が一堂に会し、パンデミックのさなかであっても世界中のアスリートが何かを行うことになる。率直に言うと、世界中の観戦者に対して、『コロナウイルスに打ち勝つことができる』と示すことができるだろう。
―世界はまだ、不確実性の真っただ中にある。IOCにとって東京五輪を再延期する選択肢はあるのか。
再延期はない。(昨年3月に)延期が決まった当初、日本側は『延期は最大1年までで、それ以上はできない』と言っている。
―再延期できない理由は。
会場の再確保などで日本が負担する追加費用はかなりの額になると思う。来年の国際大会の日程は既に整備されているし、それは東京五輪の延期によって変更されたものでもある。来年2月には北京冬季五輪があり、2024年パリ夏季五輪も間近に迫っている。
―どのような状況になったら、IOCは東京五輪の中止を検討する必要があるのか。
これからも状況は大きく変わっていくと思う。毒性の強いウイルスや変異したウイルスが拡大していくかもしれない。しかし、現時点で分かっていること、科学的知識を持つ人たちが言うのは、『(東京五輪開催について)受け入れがたいリスクはないだろう、大丈夫だろう』ということだ。100%確実なことはない。あす津波に襲われ、状況が変わることだってあり得る。しかし、特にコロナウイルスに関して私たちが知りうることから判断すると、問題ないように見える。私はチケットを持っているし、東京に行く予定だ。
―バッハ会長やIOCが「大会中止は検討していない」と言い続ける理由は何なのか、分かりにくい。本当に検討されていないのか。それとも、そうした可能性について話した場合のネガティブな影響を心配しているのか。
IOCが『中止を考えている』と言った場合、人々は『何てこった。彼らは開催を約束していない』となってしまうだろう。そうではなく、IOCは開催に向けて全力を尽くしている。何か劇的で予期しないことが起こらない限り、それは維持される。つまり、ある意味ではIOCが積極的に大会の中止を検討していないというのは真実だ。
―東京五輪が中止された場合、日本側がIOCに対して賠償金を支払わなければならないのでは、という懸念が国内で出ている。
中止によってIOCへの支払い義務が生じるかどうかは分からない。IOCは大会中止の場合に起こりうるリスクに対して保険に入っていると思う。IOCが望むのは、保険会社が何も支払う必要がないことだ。それは大会が開催されることを意味するのだか
https://news.yahoo.co.jp/articles/31346e9b7abd5d53c8ae0e76d15ec469928bb96e?page=1
https://news.yahoo.co.jp/articles/31346e9b7abd5d53c8ae0e76d15ec469928bb96e?page=2