0001影のたけし軍団 ★2021/09/12(日) 10:37:58.09ID:rOsCkE9r9
「マスク着用での入店はお断りします」
居酒屋店主の男性が、新型コロナの感染対策を拒否する貼り紙をしたのは、今年3月のことだ。
北日本の繁華街で30年以上、妻と2人でのれんを守ってきた。
海鮮料理と夫婦の気さくな人柄が常連客に愛され、家庭的な雰囲気の店だったという。
しかし、昨年春に緊急事態宣言が発令され、3か月間休業した。営業を再開したが、客足は戻らなかった。
賃料の負担は重く、蓄えはどんどん減っていく。周辺の飲食店は相次いで廃業していった。
「この店は僕らの生きがい。失うなら生きている意味がない」とまで思い詰めた時だった。
妻が偶然、SNSで見つけた投稿に引き寄せられた。
<実はコロナは世界の富裕層の仕業> <小さな自営業者を潰し、資産を吸い上げるのが真の目的だ>
客がいない店内で妻と2人、スマホを手にひたすら情報を集めた。同じような説を唱える投稿ばかりが芋づる式に目に入ってきた。
「今までだまされていたのか」と憤りが募った。
店のツイッターで「うちはマスク不要」と発信を始めると、遠方からの客が増え、売り上げは持ち直した。
店主の行動は感染を広げかねない危険なもので、一部の常連客は離れた。だが店主は意に介さない。
「コロナ騒動は仕組まれたものだ。国や役所に従ったら犠牲になってしまう」
陰謀論に共感するSNS上の投稿を調べると、自営業者とみられる人が少なくない。
飲食業を中心にコロナ禍で特に我慢を強いられ、経済的に打撃を受けているという共通点も浮かぶ。
首都圏に住む男性(56)は、2019年にゲストハウスの経営を始めたばかりだった。
訪日外国人の需要を見込み、貯金の大半を投資した。軌道に乗ってきた直後、コロナで観光客の姿が消え、目の前が真っ暗になった。
「なぜ、こんなことが起きたのか。何かがおかしい」。そう考え、答えをネット空間に求めたことがきっかけだったという。
人間は自力ではどうしようもない状況で、強い不安にさらされると極端な言説を信じやすくなる――。米国の心理学者の研究では、こんな結果が出ている。
社会学者の辻隆太朗さんによると、過去にも海外でエイズやエボラ出血熱の流行時に、「黒幕がいる」「人口削減を画策している」とのデマが広がった。
先行き不安が高まると、誰かのせいにできる単純明快な解釈を受け入れることで、「『自分は真実を知っている』という気持ちになり、
不安定な心理状態が緩和されると考えられている」と辻さんは説明する。その上で「昔も今も陰謀論の内容は似ているが、SNS社会で影響力は格段に増した」と言う。
人と会う機会の喪失は、リスクをより高める。米国の別の研究では、社会的な疎外感を抱える人のほうが、陰謀論を信じる傾向にあることもわかっている。
埼玉県内で独り暮らしをする男性(55)は若い頃から対人関係が苦手で、勤務先の上司や同僚となじめずに職を転々とした。
数年前から、同じ悩みを抱える人の交流会に参加し、「少し気持ちが前向きになっていた」という。
だが、コロナで中止が続き、救いを求めるように自宅でツイッターにのめり込んだ。「ワクチンは人口削減が目的」などと主張する人に影響され、
外出自粛の拒否を呼びかける活動にも加わるようになった。
「今はこういう形でしか人とつながれない」。男性は心情を語った。
筑波大の原田隆之教授(臨床心理学)は「科学的根拠のある情報を発信しても聞き入れない人がいるのは、不安や孤独、承認欲求、
政治や社会への不満など様々な要因が絡んでいる。正しい情報を伝えることが重要なのは当然だが、それだけでは問題は解決しないことを認識し、対策を考える必要がある」と指摘する。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210910-OYT1T50000/
昨年は廃業を覚悟したという居酒屋店主。「『とんでもない店だ』と批判もされるが、理解してくれる客もいる」と話す
https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210910-OYT1I50002-1.jpg
居酒屋店主の男性が、新型コロナの感染対策を拒否する貼り紙をしたのは、今年3月のことだ。
北日本の繁華街で30年以上、妻と2人でのれんを守ってきた。
海鮮料理と夫婦の気さくな人柄が常連客に愛され、家庭的な雰囲気の店だったという。
しかし、昨年春に緊急事態宣言が発令され、3か月間休業した。営業を再開したが、客足は戻らなかった。
賃料の負担は重く、蓄えはどんどん減っていく。周辺の飲食店は相次いで廃業していった。
「この店は僕らの生きがい。失うなら生きている意味がない」とまで思い詰めた時だった。
妻が偶然、SNSで見つけた投稿に引き寄せられた。
<実はコロナは世界の富裕層の仕業> <小さな自営業者を潰し、資産を吸い上げるのが真の目的だ>
客がいない店内で妻と2人、スマホを手にひたすら情報を集めた。同じような説を唱える投稿ばかりが芋づる式に目に入ってきた。
「今までだまされていたのか」と憤りが募った。
店のツイッターで「うちはマスク不要」と発信を始めると、遠方からの客が増え、売り上げは持ち直した。
店主の行動は感染を広げかねない危険なもので、一部の常連客は離れた。だが店主は意に介さない。
「コロナ騒動は仕組まれたものだ。国や役所に従ったら犠牲になってしまう」
陰謀論に共感するSNS上の投稿を調べると、自営業者とみられる人が少なくない。
飲食業を中心にコロナ禍で特に我慢を強いられ、経済的に打撃を受けているという共通点も浮かぶ。
首都圏に住む男性(56)は、2019年にゲストハウスの経営を始めたばかりだった。
訪日外国人の需要を見込み、貯金の大半を投資した。軌道に乗ってきた直後、コロナで観光客の姿が消え、目の前が真っ暗になった。
「なぜ、こんなことが起きたのか。何かがおかしい」。そう考え、答えをネット空間に求めたことがきっかけだったという。
人間は自力ではどうしようもない状況で、強い不安にさらされると極端な言説を信じやすくなる――。米国の心理学者の研究では、こんな結果が出ている。
社会学者の辻隆太朗さんによると、過去にも海外でエイズやエボラ出血熱の流行時に、「黒幕がいる」「人口削減を画策している」とのデマが広がった。
先行き不安が高まると、誰かのせいにできる単純明快な解釈を受け入れることで、「『自分は真実を知っている』という気持ちになり、
不安定な心理状態が緩和されると考えられている」と辻さんは説明する。その上で「昔も今も陰謀論の内容は似ているが、SNS社会で影響力は格段に増した」と言う。
人と会う機会の喪失は、リスクをより高める。米国の別の研究では、社会的な疎外感を抱える人のほうが、陰謀論を信じる傾向にあることもわかっている。
埼玉県内で独り暮らしをする男性(55)は若い頃から対人関係が苦手で、勤務先の上司や同僚となじめずに職を転々とした。
数年前から、同じ悩みを抱える人の交流会に参加し、「少し気持ちが前向きになっていた」という。
だが、コロナで中止が続き、救いを求めるように自宅でツイッターにのめり込んだ。「ワクチンは人口削減が目的」などと主張する人に影響され、
外出自粛の拒否を呼びかける活動にも加わるようになった。
「今はこういう形でしか人とつながれない」。男性は心情を語った。
筑波大の原田隆之教授(臨床心理学)は「科学的根拠のある情報を発信しても聞き入れない人がいるのは、不安や孤独、承認欲求、
政治や社会への不満など様々な要因が絡んでいる。正しい情報を伝えることが重要なのは当然だが、それだけでは問題は解決しないことを認識し、対策を考える必要がある」と指摘する。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210910-OYT1T50000/
昨年は廃業を覚悟したという居酒屋店主。「『とんでもない店だ』と批判もされるが、理解してくれる客もいる」と話す
https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/09/20210910-OYT1I50002-1.jpg