天高く
唾は届かじ
秋の虫

我々の世代は決してまともな生活を送っていたわけではない。
全てにおいて需要と供給のバランスはいびつな人口増により満足なものではなかった。
例えば教育は学生数に比べ教員の数が圧倒的に足りず、
10年後の減少は確定しているので容易に増員できず、
従って質の悪い教員が質の悪い教育をしていた。
そうして作られた質の悪い、しかも時代遅れな大量生産品が我々なのだ。
その中でも良品になり得るものは、粗悪品により汚され穢され貶められ
粗悪品にされた。
我々の世代に突出して優れた者が少ないのはそういう酷い環境だったからだ。
我々氷河期世代が子を成さぬのは良いことである。
人口増減のバランスは粛清により整い、需要と供給は常に安定し、社会と個人の発展の為に努力できる、そういう未来が期待できる。
我々の死は無駄ではない。