サンマ好きはハラワタのほろ苦い旨みがたまらないという方が多いです。
ですが今のサンマのワタなんぞ苦くて食えたもんじゃありません。
それには理由があるんです。

流し網漁とは刺し網の一種でサンマの回遊路に垣根の様な感じで網を張る漁法でして、明治時代からあります。
ところが戦後になって流し網に加えて新しい漁法が誕生。これが「棒受網漁」です。
光に集まるサンマの習性を利用して、夜間に集魚灯を灯し、集まったサンマを一網打尽にする漁法で
別名「火光利用棒受網」と言います。
これが1948年頃に登場しました。爾来、大量に効率的に漁獲できる「棒受け網漁」が今のサンマ漁の主流になっています。

メインのサンマ漁法である「棒受け網漁」 これがサンマのハラワタを不味くしているんですよ。

棒受け網漁で獲れたサンマの内臓は「ウロコだらけ」なんです。
あまりに大量に捕獲するんで混雑の末暴れてウロコが取れます、それを仲間のサンマが飲み込んでしまいワタはウロコだらけ。
そんな内臓なんか食っても美味いわけがない。

ところが流し網漁のサンマはワタに余計なモンが入っていない。これは全然苦くありませんし、むしろ美味い。

なので昔の人が「サンマはあのワタが美味しくて」と言うのは正解なんですが、
昭和30年以降はサンマのワタは苦くて不味いと言うのがより正確な解答です。