岐阜市寺田の路上で3月25日、ホームレスの男性が襲撃され死亡した事件で、亡くなった渡邉哲哉さん=当時(81)=は約20年間、現場近くの河渡橋の下で暮らしていた。住宅地と堤防で隔てられた河川敷でどんな生活をしていたのか。

 渡邉さんは収集したアルミ缶を売り、生計を立てていた。買い取り額は千円前後。年中真っ黒に日焼けしていたという。得たお金は猫の4、5日分の餌代で消えた。

 春になると橋の近くには猫が捨てられ、多くが一冬を越せずに死ぬ。渡邉さんは放っておけずに保護していた。事件で渡邉さんと一緒に襲われた女性(68)とは20年近く同じ橋の下で暮らし、その前は岐阜市内の別の橋を転々として住む場所を探していたらしい。

 2018年の西日本豪雨では川が増水して居住場所が水没し、命の危機にさらされた。行政や警察からアパートに入居し生活保護を受けるよう勧められていたが「猫がいるから」と断っていたという。

 近隣住民と衝突することもあった一方、橋の下には孤独を抱える人たちが話し相手を求めてやって来た。高齢者住宅になじめない老婦人、人に信用してもらえないと悩む男性―。読書が趣味だった渡邉さんは豊かな知識でどんな話にも応じ「おじさんと話していると勉強になる」と驚かせたこともあった。河川敷には今も渡邉さんを悼む人が訪れ、花を手向けている。

2020年05月01日 07:51
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★1 2020/05/03(日) 03:55:52.10
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