疑惑はこれに限らない。ほかの領収書を参照してほしい。安倍氏の政治団体が公開した政治資金収支報告書を精査すると、自著や萩焼、蒲鉾(かまぼこ)の購入代、コンパニオン料や「新春の集い」に招いたチアリーディングクラブの出演料のほか、高額な会合費も計上されている。

「有権者に本を贈っていたら、公職選挙法が禁止する『寄附』『買収』にあたります。また、会費以上の飲み食いなどの供応をしていたら、これも違法です。安倍事務所はそうしたグレーな支出が多い。日常的に『買収』的なことをして票を稼いできたのではないか」(三宅氏)

「桜を見る会」の問題をめぐって、東京地検特捜部は安倍氏の公設秘書を立件する方針だ。元東京地検検事の落合洋司弁護士はこう指摘する。

「今回の事案は『寄付行為』にあたるというのが実態に即した解釈だと思います。秘書に対しては略式起訴による罰金刑では国民感情と合致しない。検察側が公判請求するのが筋でしょう。安倍前首相も刑事責任は問われなくても、議員辞職に値すると考えておかしくありません」