【ロンドン=大西康平】英イングランド銀行(中央銀行)は15日、政策金利を3%から3.5%に引き上げると発表した。利上げは9会合連続。幅は0.5%と前会合の0.75%から縮小した。歴史的な物価上昇を抑えるため引き締めを継続しつつ、景気悪化にも配慮した。

14日まで開いた金融政策委員会では投票権を持つ9人のうち、ベイリー総裁を含む6人が0.5%の利上げに賛成した。1人は0.75%の利上げが、他の2人は政策金利の据え置きが適切だと主張して反対した。

利上げ幅の縮小は深刻な景気後退への危機感が背景だ。声明文では政策金利の急速な引き上げで「英国経済は長期の景気後退が予想される」とし、失業率の急上昇への懸念を示した。英国の国内総生産(GDP)が24年まで前年比で減少し続けるとした、同銀行による22年11月の経済予測を改めて強調した。

もっとも高インフレの抑制が課題で、利上げが必要との姿勢も崩さなかった。政策金利の水準が3.5%以上の水準に決まるのは、08年10月以来約14年ぶりだ。声明文で「労働市場の逼迫で根強いインフレ圧力が続く証拠があり、より力強い金融政策が正当化されうる」とした。

英消費者物価指数は22年11月に前年同月比で10.7%上昇した。10月の賞与込み平均賃金(3カ月移動平均)は前年同月比で6.1%上昇と、根強い賃金インフレから物価のピークが見えづらくなっている。

日本経済新聞 2022年12月15日 21:09
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