※神戸新聞
2023/8/18 16:25

 手のひらや足の裏、脇や顔などに、日常生活に支障を来すほど汗をかいてしまう。そんな悩みを持っている人はいないだろうか。「多汗症」と呼ばれ、最近、CMなどで少しずつ名前が浸透してきた疾患だ。特に周囲からの目が気になる思春期には、汗をきっかけに人間関係に後ろ向きになってしまうこともあるという。

■手をつなぐ組み体操も苦痛

 「緊張すると手汗がひどくなる、体質だからって諦めていないかな」。人気アイドルグループ「嵐」の二宮和也さんが語りかける久光製薬のCMが話題だ。取り上げているのは、手のひらに多量の汗をかく「手掌多汗症」。試験中に汗でテスト用紙がぬれて困る学生や、手をつなぐことをためらう女性が描かれている。

 「汗に悩み、死にたいと思ってしまったこともあった」。関西地方の大学生、熊野みゆうさん(20代)は学生生活をそう振り返る。

 自覚したのは小学校低学年。自分の手に浮かぶ汗の多さに戸惑い、友達からも「手汗すごいね」と言われた。学年が上がるにつれて人の目が気になり、6年の時には手をつないで行う組み体操を苦痛に感じた。先生に「やりたくない」と泣きながら訴えたが、恥ずかしくて汗が理由だとは伝えられなかった。

 中学・高校時代に状況は悪化。授業中はタオル地のハンカチを握りしめていたが、試験ではカンニングを疑われるのが怖くて使えず、スカートで手をぬぐい続け、生地が変色した。後ろの席に回すプリントも「絶対汗でぬらしてはいけない」と緊張し、脇汗が床に落ちた時は「周りの人に見られ、言いふらされたらどうしよう」と思い詰めた。

 足にも汗をかくため、上靴を脱ぐ集会では、防臭効果のある粉を足に塗り込み、汗で色が変わった靴下を見られないようにスカートの中に足を隠したという。

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