「2050年、福井県の人口は現在の約76万人から約57万3千人になる」「県内17市町のうち8市町が将来的に『消滅の可能性がある』」―。昨年12月の国立社会保障・人口問題研究所による地域別の将来推計人口と、今年4月の民間組織「人口戦略会議」の報告書は、日本の人口減少の厳しい未来図を示した。

 影響は既に顕在化し、県内では過疎化、人手不足という問題が横たわる。65歳以上の高齢者が住民の半数以上を占める「高齢化集落」は10年前に比べ約3倍の374集落に上り、自治会の維持が困難になりつつある。

 介護業界は人手不足が深刻化。181の高齢者福祉施設で計470人の外国人技能実習生らが働き、現場を支える。特別養護老人ホームなどを運営する大野和光園(大野市)はタイと中国から計3人を受け入れており、今秋にはさらに2人増やす予定だ。担当者は「外国人の力を借りながら運営している状況。地元の高校生の数が減っているし、進学で県外に出てしまう割合も多い」と嘆く。

 県は人口減少対策として日本一幸福な子育て県「ふく育県」を掲げ、扶養する子どもが2人以上いる世帯に対する高校授業料や第2子(0~2歳)保育料の完全無償化、男性の育児休業推進などに取り組む。県内へのU・Iターン者数も着実に増えてきている。

 だが、地方の人口減少対策は「東京に大きく人を取られた『マイナスサム』の中で人の引っ張り合いをしており、不毛な戦いだ」と杉本達治知事は力説する。

 杉本知事によると、この20年間、1980年代生まれの若者が福井で約16%減り、東京では約75%増えたという。一方、女性1人が産む推定人数の「合計特殊出生率」は福井が1・46なのに対し東京は0・99。「地方から出生率の低い東京に若者が集まることで、(出生数が死亡数を下回る)自然減が全国で加速している」。人口減少が続く大きな要因は東京一極集中にあると指摘する。

全文はソースで 2024年8月1日 午後5時00分
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2098247