>>1
湖東記念病院事件(ことうきねんびょういんじけん)とは、2003年5月、滋賀県愛知郡湖東町(現:東近江市)の湖東記念病院で、看護助手として勤めていた女性A(当時23歳)が、人工呼吸器のチューブを外して同院に入院していた男性患者(当時72歳)を殺害したとされた冤罪事件[1]。呼吸器事件[2]とも呼ばれる。Aは2004年7月に男性患者を殺害したことを「自白」したものの、公判では否認に転じたが、Aは懲役12年の有罪判決を受け、確定した[3]。

裁判ではAの捜査段階の「自白」に信用性が認められて有罪判決が下された[4]が、確定から約10年が経った2017年[注釈 1]、Aには軽度の知的障害・発達障害・愛着障害などの障害があり、「防御する力が弱い」「供述弱者」であることが発覚した[6]。2020年、大津地方裁判所で行われた再審公判で、Aは障害等により「迎合的な供述をする傾向がある」[7]ことが認定され、「自白」は「不当、不適切な捜査によって誘発された」[8][9]として証拠排除された。大津地裁は「患者が何者かに殺されたという事件性を認める証拠すらない」として、Aに無罪判決を言い渡した。これに検察が控訴しなかったため、Aの無罪が確定した[1]。

日本弁護士連合会がAの無罪確定まで再審請求を支援していた。