「制度の崩壊点──一億総中流の幻想と鉄のトライアングルの果て」

1965年11月19日、佐藤栄作内閣が戦後初の赤字国債発行を閣議決定した。その瞬間、日本の財政構造は転換点を迎えた。高度成長期に国民は「努力すれば報われる」という希望を抱き、「一億総中流」という幻想を信じていた。しかし、この赤字国債の導入は、未来の税負担を先送りにすることで成長の加速装置となる一方、国家財政を“慢性疾患”へと導く原点となった。

1989年、竹下登政権下で消費税が導入される。当時の名目は「福祉のため」。だがその裏では、法人税率の引き下げが同時に進められていた。これにより、企業の税負担は軽くなったが、庶民の家計はジワジワと圧迫され始める。この構図は“見えにくい所得再分配”であり、事実上「富の再逆流」が始まった。とくに問題なのは、「法人税減税の穴埋めとしての消費税」である。日本では消費税収の7~8割が、企業の法人税等の減収を相殺するために使われてきたという実態が、専門家の間では公然の秘密である。