20XX年、ある過疎の地域で、自動運転する路線バスが時速25キロで走行中、女の子をはねてけがをさせる事故が起きました。女の子と両親はバス会社に賠償を求めて裁判を起こし、その判決が言い渡されました。「主文。被告のバス会社は原告らに3700万円を支払え」(社会部記者 藤田日向子)
■今の法律で十分なのか
先月、東京で行われたこの裁判は、法律の専門家たちによる模擬裁判です。明治大学の中山幸二教授らの研究グループは、今の法律のまま自動運転が実用化されたら事故の責任はどう判断されるのかを検討しようと模擬裁判を企画したのです。
自動運転の技術は日々、進化する一方で、事故が起きた時の賠償責任や刑事責任はどう判断されるのか、そして、今の法律の枠組みで十分なのかを考えるのが狙いです。
■模擬裁判(1) 運行会社の責任は
取材したこの日、模擬裁判は2回行われました。
1つ目は、高齢化の進む地域で運転手のいない路線バスが時速25キロで運転中、路地から飛び出してきた女の子と衝突したという想定です。バスには自動運転のためのカメラが設置され、人工知能による操作のもと、事故が起きた時、責任は誰が負うべきかが検討されました。
法律の専門家などが原告役、被告役を務め、原告の女の子側は法廷でこう主張します。
「被告のバス会社は車両の整備が不十分な状態でバスを運行した」
つまり、バス会社の点検整備が不十分なため、車両に搭載されたカメラの性能が落ちていたというのです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/K10011353571_1803061702_1803061712_01_04.jpg
これに対し、バス会社側はこう反論します。
「カメラの精度が落ちていたという認識はない。メーカーから提供されている説明書に従って定期点検をしており、整備不良の事実はない」
つまり、マニュアルに従って点検したが異常は見つからず、バス会社に責任はないというのです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/K10011353571_1803061703_1803061712_01_05.jpg
審理の結果、裁判所は、カメラの性能が落ちていたとしてバス会社の責任を認め、女の子側に賠償を命じました。人間の裁判なら、運転手が前方をきちんと見ていたかどうかが争点になるところですが、自動運転の場合は、カメラの性能が落ちていたかや、車の構造やシステムに欠陥があったかなどが主な争点になることが模擬裁判を通じて確認されました。
■事故時のルール作りの議論は
では、模擬裁判ではなく、自動運転の事故に備えた実際のルール作りはどこまで議論が進んでいるのでしょうか。国土交通省が作った有識者の検討会はことし1月、すべての車が加入しなければならない自賠責保険の取り扱いについて、大枠の方針をまとめました。
それによりますと、事故の保険金は、これまでどおり、車の所有者などが加入している自賠責保険から被害者に支払われるということです。つまり、保険会社から被害者に支払われることになります。
ただ、事故の原因が車や交通インフラのシステムの欠陥にあった場合には、保険会社が被害者に支払った保険金を、あとから車のメーカーや通信会社などに対して請求できるようにするとしています。政府は、ことし春にも自動運転の制度の大綱を策定することにしていて、メーカーなどがどのような場合に責任を負うのかという点のほか、刑事責任の考え方なども今後の議論の焦点になるものとみられます。
■完全実用化までには課題山積
こうした議論の背景には、自動運転の完全な実用化に向けた技術開発が急速に進んでいることがあります。
自動運転の技術は、5つの段階に分類され、「レベル1」では、車のハンドル、ブレーキ、アクセルの操作のうち、1つが自動化します。車のカメラやセンサーで障害物を認識し、自動でブレーキをかける機能がすでに実用化しています。
「レベル2」では、複数の操作が自動化し、
※以下省略 見出しのみ 全文はソース先を読み下さい
■模擬裁判(2)メーカーの責任は
■刑事責任の議論も課題
3月6日 18時43分
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/k10011353571000.html
他関連ソース
自動運転 事故の責任は誰に 法整備など提言へ 明治大学
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180302/k10011348421000.html
■今の法律で十分なのか
先月、東京で行われたこの裁判は、法律の専門家たちによる模擬裁判です。明治大学の中山幸二教授らの研究グループは、今の法律のまま自動運転が実用化されたら事故の責任はどう判断されるのかを検討しようと模擬裁判を企画したのです。
自動運転の技術は日々、進化する一方で、事故が起きた時の賠償責任や刑事責任はどう判断されるのか、そして、今の法律の枠組みで十分なのかを考えるのが狙いです。
■模擬裁判(1) 運行会社の責任は
取材したこの日、模擬裁判は2回行われました。
1つ目は、高齢化の進む地域で運転手のいない路線バスが時速25キロで運転中、路地から飛び出してきた女の子と衝突したという想定です。バスには自動運転のためのカメラが設置され、人工知能による操作のもと、事故が起きた時、責任は誰が負うべきかが検討されました。
法律の専門家などが原告役、被告役を務め、原告の女の子側は法廷でこう主張します。
「被告のバス会社は車両の整備が不十分な状態でバスを運行した」
つまり、バス会社の点検整備が不十分なため、車両に搭載されたカメラの性能が落ちていたというのです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/K10011353571_1803061702_1803061712_01_04.jpg
これに対し、バス会社側はこう反論します。
「カメラの精度が落ちていたという認識はない。メーカーから提供されている説明書に従って定期点検をしており、整備不良の事実はない」
つまり、マニュアルに従って点検したが異常は見つからず、バス会社に責任はないというのです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/K10011353571_1803061703_1803061712_01_05.jpg
審理の結果、裁判所は、カメラの性能が落ちていたとしてバス会社の責任を認め、女の子側に賠償を命じました。人間の裁判なら、運転手が前方をきちんと見ていたかどうかが争点になるところですが、自動運転の場合は、カメラの性能が落ちていたかや、車の構造やシステムに欠陥があったかなどが主な争点になることが模擬裁判を通じて確認されました。
■事故時のルール作りの議論は
では、模擬裁判ではなく、自動運転の事故に備えた実際のルール作りはどこまで議論が進んでいるのでしょうか。国土交通省が作った有識者の検討会はことし1月、すべての車が加入しなければならない自賠責保険の取り扱いについて、大枠の方針をまとめました。
それによりますと、事故の保険金は、これまでどおり、車の所有者などが加入している自賠責保険から被害者に支払われるということです。つまり、保険会社から被害者に支払われることになります。
ただ、事故の原因が車や交通インフラのシステムの欠陥にあった場合には、保険会社が被害者に支払った保険金を、あとから車のメーカーや通信会社などに対して請求できるようにするとしています。政府は、ことし春にも自動運転の制度の大綱を策定することにしていて、メーカーなどがどのような場合に責任を負うのかという点のほか、刑事責任の考え方なども今後の議論の焦点になるものとみられます。
■完全実用化までには課題山積
こうした議論の背景には、自動運転の完全な実用化に向けた技術開発が急速に進んでいることがあります。
自動運転の技術は、5つの段階に分類され、「レベル1」では、車のハンドル、ブレーキ、アクセルの操作のうち、1つが自動化します。車のカメラやセンサーで障害物を認識し、自動でブレーキをかける機能がすでに実用化しています。
「レベル2」では、複数の操作が自動化し、
※以下省略 見出しのみ 全文はソース先を読み下さい
■模擬裁判(2)メーカーの責任は
■刑事責任の議論も課題
3月6日 18時43分
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180306/k10011353571000.html
他関連ソース
自動運転 事故の責任は誰に 法整備など提言へ 明治大学
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180302/k10011348421000.html