→ジャズの「スウィング」の定義を求めるために、スウィングに共通するとされる「僅かなずれ」を調査した
→調査の結果、スウィング≠ずれ であることが判明した
ジャズには「スウィング」と呼ばれる独特のリズムがあります。しかし、スウィングには多くの要素が関係しており、言葉で説明するのは簡単ではありません。
科学者たちは、定義の曖昧な「スウィング」に科学的な根拠を見出したいと願っていました。
そこでマックス・プランク研究所は、「スウィングの主軸が正確なリズムからのわずかな逸脱にある」という考えに着目しました。
「スウィング=マイクロタイミングのずれ」であることを検証することによって、「スウィング」の定義づけを行なおうとしたのです。
研究の詳細は「Science Reports」誌に掲載されました。
Microtiming Deviations and Swing Feel in Jazz
https://www.nature.com/articles/s41598-019-55981-3
■スウィングとは何か?
スウィングとはジャズを「ジャズらしく」するリズムのことです。どんな曲でもスウィングするならジャズ調に聞こえます。また、ジャズ奏者からすると「スウィングが無ければ、ジャズではない」とさえ思えることでしょう。
「スウィング」には、多くの要素が関係しており、アーテイストによっても捉え方が異なります。それゆえに、多くのミュージシャンたちは「スウィング」を直感的に理解しており、「スウィング」が何かを説明するのが難しいと感じています。
ビル・トレッドウェルも「スウィングとは何か?」の序論で、「感じることはできるが、説明することはできない」と述べています。
ただし、多くの人が持つ考えと同じで、音楽学者はスウィングに関して「譜面どおりに均等に演奏するのではなく、少しずらす」という明白な特徴を挙げています。
同じ長さの連続した8分音符を鳴らすのではなく、最初のものを2番目よりも長く鳴らすのです。
スウィングには正確なリズムからのわずかな逸脱「マイクロタイミングのずれ」があるのです。
■「マイクロタイミングのずれ」の検証
※上から、@オリジナル、B3倍、Aずれなし、C反転/Credit:George Datseris
https://i0.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/01/41598_2019_55981_Fig2.jpg
ミュージシャンと音楽学者はジャズのスウィング感を出しているのは、マイクロタイミングのずれだと考えてきました。そして、研究者たちはスウィングの本質を解明すべくある実験を行ないました。
研究チームは、事前に録音された正確なベースとドラムリズムの中でプロのジャズピアニストに12曲を演奏してもらいました。
その演奏を元に、4つの異なる音源を準備しました。
@オリジナル。プロのジャズピアニストの演奏音源そのもの。マイクロタイミングのずれがある
Aずれなし。@を調整して、マイクロタイミングのずれを排除したもの
B2倍。@のマイクロタイミングのずれを2倍にしたもの
C反転。@のマイクロタイミングのずれを反転させたもの
@〜Cの演奏をプロとアマからなる160人のミュージシャンに「スウィング」という観点で評価してもらいました。
■スイング≠マイクロタイミングのずれ
※左から、C反転、Aずれなし、@オリジナル、B2倍/Credit:George Datseris
https://i2.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/01/41598_2019_55981_Fig3.jpg
調査結果は、研究者たちの予想を大きく裏切るものとなりました。
参加者は、Aずれなしを@オリジナルよりもわずかにスウィングしていると評価したのです。また、B2倍をもっともスウィングしていないと評価しました。
さらに、C反転の評価は12曲のうち、2つの作品にマイナスの影響を及ぼしただけでした。
参加者たちが「スイングしている」と感じるかどうかは、「マイクロタイミングのずれ」だけに左右されていなかったのです。
研究の終わりに、参加者に曲をスウィングさせる要素について意見を求めたところ、「ミュージシャン間の動的な相互作用、アクセント、リズムとメロディーの相互作用」などのさらなる要因が挙がりました。
研究者たちは、調査結果から「ジャズのスウィングにマイクロタイミングのずれが必須なわけではない」ことを理解しました。リズムが重要な役割を果たしている一方で、本質をとらえるには、他の要因を研究する必要がありそうです。
https://nazology.net/archives/51667
→調査の結果、スウィング≠ずれ であることが判明した
ジャズには「スウィング」と呼ばれる独特のリズムがあります。しかし、スウィングには多くの要素が関係しており、言葉で説明するのは簡単ではありません。
科学者たちは、定義の曖昧な「スウィング」に科学的な根拠を見出したいと願っていました。
そこでマックス・プランク研究所は、「スウィングの主軸が正確なリズムからのわずかな逸脱にある」という考えに着目しました。
「スウィング=マイクロタイミングのずれ」であることを検証することによって、「スウィング」の定義づけを行なおうとしたのです。
研究の詳細は「Science Reports」誌に掲載されました。
Microtiming Deviations and Swing Feel in Jazz
https://www.nature.com/articles/s41598-019-55981-3
■スウィングとは何か?
スウィングとはジャズを「ジャズらしく」するリズムのことです。どんな曲でもスウィングするならジャズ調に聞こえます。また、ジャズ奏者からすると「スウィングが無ければ、ジャズではない」とさえ思えることでしょう。
「スウィング」には、多くの要素が関係しており、アーテイストによっても捉え方が異なります。それゆえに、多くのミュージシャンたちは「スウィング」を直感的に理解しており、「スウィング」が何かを説明するのが難しいと感じています。
ビル・トレッドウェルも「スウィングとは何か?」の序論で、「感じることはできるが、説明することはできない」と述べています。
ただし、多くの人が持つ考えと同じで、音楽学者はスウィングに関して「譜面どおりに均等に演奏するのではなく、少しずらす」という明白な特徴を挙げています。
同じ長さの連続した8分音符を鳴らすのではなく、最初のものを2番目よりも長く鳴らすのです。
スウィングには正確なリズムからのわずかな逸脱「マイクロタイミングのずれ」があるのです。
■「マイクロタイミングのずれ」の検証
※上から、@オリジナル、B3倍、Aずれなし、C反転/Credit:George Datseris
https://i0.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/01/41598_2019_55981_Fig2.jpg
ミュージシャンと音楽学者はジャズのスウィング感を出しているのは、マイクロタイミングのずれだと考えてきました。そして、研究者たちはスウィングの本質を解明すべくある実験を行ないました。
研究チームは、事前に録音された正確なベースとドラムリズムの中でプロのジャズピアニストに12曲を演奏してもらいました。
その演奏を元に、4つの異なる音源を準備しました。
@オリジナル。プロのジャズピアニストの演奏音源そのもの。マイクロタイミングのずれがある
Aずれなし。@を調整して、マイクロタイミングのずれを排除したもの
B2倍。@のマイクロタイミングのずれを2倍にしたもの
C反転。@のマイクロタイミングのずれを反転させたもの
@〜Cの演奏をプロとアマからなる160人のミュージシャンに「スウィング」という観点で評価してもらいました。
■スイング≠マイクロタイミングのずれ
※左から、C反転、Aずれなし、@オリジナル、B2倍/Credit:George Datseris
https://i2.wp.com/nazology.net/wp-content/uploads/2020/01/41598_2019_55981_Fig3.jpg
調査結果は、研究者たちの予想を大きく裏切るものとなりました。
参加者は、Aずれなしを@オリジナルよりもわずかにスウィングしていると評価したのです。また、B2倍をもっともスウィングしていないと評価しました。
さらに、C反転の評価は12曲のうち、2つの作品にマイナスの影響を及ぼしただけでした。
参加者たちが「スイングしている」と感じるかどうかは、「マイクロタイミングのずれ」だけに左右されていなかったのです。
研究の終わりに、参加者に曲をスウィングさせる要素について意見を求めたところ、「ミュージシャン間の動的な相互作用、アクセント、リズムとメロディーの相互作用」などのさらなる要因が挙がりました。
研究者たちは、調査結果から「ジャズのスウィングにマイクロタイミングのずれが必須なわけではない」ことを理解しました。リズムが重要な役割を果たしている一方で、本質をとらえるには、他の要因を研究する必要がありそうです。
https://nazology.net/archives/51667