5月21日午後5時10分ごろ、東京都小金井市本町のイベント会場入り口で、その日に同会場でおこなわれる予定だったライブ出演者の女性が、男に刃物で刺された。
女性は10代の頃に芸能事務所ホリエージェンシーに所属して女優活動をおこなっていたが、
現在は事務所に所属せずアマチュアのシンガーソングライターとして音楽活動をしていた。
容疑者の男は彼女のファンだったが、好意を受け止めてもらえずに逆恨みして犯行に及んだと見られている。

容疑者は被害者のファンであり、その想いを自身のブログで綴っていたが、ある時期から被害者のTwitterアカウントへ執拗なリプライを送り続けるようになり、
恨みを募らせていた様子だと報じられている。
歌手やアイドルがテレビや大きなコンサート会場のステージでしか姿を見ることのできない“スター”ではなく、Twitterなどで事務所を介さずに写真や情報を発信したり、
握手会やファンとの写真撮影会を開いて“会える存在”になってしまった現状が、こうした事件の背景にある……と見る向きもある。
接触によって、ファン側がタレントとの距離感を見失い、暴走してしまうということだ。
女性側が、男性ファンに“期待させるような”、つまり、あわよくば恋人同士になれるのではないかと想像させる活動をするから、勘違いした凶悪犯が誕生してしまう。
また、素人と変わらない一般女性が警備されずにアイドル活動など行うから危険が伴う……。

しかし問題は、そこなのだろうか?

まず、過去を振り返ってみよう。インターネットというツールがなく、歌手やアイドル、女優が「選ばれし存在」であった時代でも、ストーカーによる傷害事件は発生していた。
1963年、当時18歳だった女優・吉永小百合の自宅に、彼女の熱狂的ファンだという男が拳銃を持って押し入りむりやり刺青を彫らせようとする事件があった。
双子の歌手・こまどり姉妹は公演中、姉の栄子と「結婚したい」と望む男性ファンがステージによじのぼり、
妹のほうを刃物で刺し重傷を負わせるという恐ろしい事件の被害に遭っている。
コンサート中のステージといえば、松田聖子も全盛期だった83年にファンから危害をくわえられている。
公演中に客席最前列にいた男が舞台に上がり、スチール工具で聖子を殴打したのだ。

歌手の中森明菜も、歌番組の生放送中に、男からノートを投げつけられたことがある。そのノートには明菜への思いがびっしり綴られていたという。
アイドル歌手の倉沢淳美は、サイン会終了後におこなったファンとの握手タイムで、列に並んだ男からナイフで切りつけられた。
握手会といえば昨年、グラビアアイドルの柳ゆり菜が新宿の書店で開いた握手会で、正規の列に並んでいない男からいきなり腕を引っ張られるという事件もあった。
グラビアアイドルとして80〜90年代に活躍した本田理沙は、後年、テレビ番組で、幾多のストーカー被害に悩まされていたことを語っている。

http://dailynewsonline.jp/article/1136097/
2016.05.27 14:00 messy / メッシー