NO4562 5月4日 『アメリカ大佐の失言が、米土トップ会談の話題に』 [2017年05月04日(Thu)]
http://blog.canpan.info/jig/archive/6213

*シリアに駐留するアメリカ軍が、シリアの反政府武装組織である、SDFと良好な関係にあることは、一般的に知られている、軍事機密情報だ。このSDFは反アサドの
武装組織であることから、アメリカ軍が協力関係にあっても、何の不思議も無いということだ。*

しかし、現実的には、このSDFを構成する戦闘員は、アラブ人、クルド人、その他クリスチャンなどによる、とされているが、ほとんどはクルド人の戦闘組織、YPGの
メンバーなのだ。*

そして、このYPGはトルコの反政府クルド組織、PKKと強い連携関係にある。従って、トルコにとってはPKKはもとより、YPGも明確な敵であり、テロ組織という
ことに、位置づけられているのだ。*

そのため、トルコ軍はYPGに対する軍事攻撃を、何度も行ってきているが、つい最近、トルコ・シリア国境で起こった、トルコ軍とYPGの武力衝突は、難しい一面を
露呈している。*

トルコ軍の発表によれば、YPGが国境を越えて、臼砲で攻撃してきたので、空爆で反撃したというものだ。結果は、YPGの戦闘員の死亡と、YPG拠点の破壊が行われた。*

問題はここからだ。YPGが戦死者の葬儀を行っているのに、アメリカ軍の将兵が参加したのだ。しかも、そこではPKKとアメリカが、それぞれの国旗を、掲げていたと
いうことだ。それはトルコ側の怒りを買い、猛烈な抗議がトルコからアメリカに、なされている。*

そして、その事に関連して、アメリカ軍の在シリア・アメリカ軍スポークスマンである、ジョン・ドリアン大佐が記者会見の席で『SDFはアラブの合同軍であり、いまラッカを
攻略しようと思っている。そのSDFの構成員にはPKKが含まれている。』と語ってしまったのだ。つまり、アメリカ軍はPKKを友軍として、認めたということになる。*

このジョン・ドリアン大佐は加えて『彼らは被害状況を把握するために、パトロールしていて、葬儀に遭遇し参加したのだ。』と苦しい釈明をしている。その彼の発言は、現在の
トルコとアメリカの緊張状態の、緩和には何ら効果を生むまい。

トルコのエルドアン大統領は訪米時に、アメリカ軍とPKKの旗が並んで、掲げられている写真を、トランプ大統領に突きつけて、抗議する予定になっているそうだ。

ロシアとトルコ首脳会談 シリアに“安全地帯”を
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170504/k10010970421000.html

シリアでアサド政権と反政府勢力が停戦に合意したあとも戦闘が続く中、停戦を仲介したロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が会談し、戦闘の激しい地域で
飛行禁止空域を含む「安全地帯」の設置を目指すことで一致しました。
シリアでは、停戦の合意後も、反政府勢力が拠点とする北西部イドリブ県で先月、化学兵器が使用されたほか、アサド政権側が各地で空爆を続け、反政府側もこれに応戦する
など、戦闘は収まっていません。
停戦を仲介したロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は3日、ロシア南部のソチで首脳会談を行ったあと記者会見し、停戦の維持が最優先だとして、特に戦闘の
激しいイドリブ県に軍事活動を行わない「安全地帯」の設置を目指すことで一致したと明らかにしました。
プーチン大統領は、「安全地帯」には飛行禁止空域の設定も含まれるとしたうえで、アメリカのトランプ大統領もこの考えを支持しているとの認識を示しました。
しかし「安全地帯」の設置には、戦闘を続けているアサド政権と反政府勢力が合意する必要があるうえ、テロ組織は対象外だとしていて、双方の対立が根深い中で実現できるかは
不透明な状況です。