クーデター未遂から1年、強権に抗議の大規模デモ トルコ
https://www.cnn.co.jp/world/35103997.html

トルコ・イスタンブール(CNN) トルコで起きた軍のクーデター未遂から間もなく1年。民主化に対する政府の締め付けに抗議する市民のデモ行進が3週間以上かけて
約400キロを踏破し、9日、最大都市イスタンブールに到着した。
「正義の行進」と命名されたデモ行進は、野党・共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首が単独で開始した。同氏はCHPの党員が投獄されたことに抗議して、
首都アンカラからイスタンブールまで歩くと宣言。支持者や政府に不満を持つ市民らが次々と行進に加わった。
一行は盛大な歓声に出迎えられて、イスタンブール郊外の広場に到着。周辺は広場に入りきれないデモ参加者や支持者であふれた。
デモ行進に参加した47歳の主婦は、「私たちには公正と民主主義が必要だ。だから何日もの行進に参加した」と胸を張る。
CHPの党員の女性も、「間違った政治を終わらせなければならない。私たちは住みやすいトルコを望む。貧しい者はさらに貧しく、金持ちはさらに金持ちになる」
「そうした不平等に人々は反対する。これはその声であり、公正を求める人々の叫びだ」と訴えた。
広場周辺に集まった市民らの正確な人数は不明だが、100万人を超えたという情報もある。
トルコでは昨年7月のクーデター未遂を受けて、エルドアン政権が全土で自由に対する締め付けを強化し、公共機関や大学を摘発、報道を厳重に規制して、
活動家やジャーナリスト、政敵などを拘束してきた。

クルチダルオール党首はCNNの取材に対し、「トルコは民主国家であることをやめてしまい、1人の人物のものになった」「我々はこれを容認できない」と語る。
クーデター未遂からほぼ1年が過ぎた今も非常事態宣言は解除されず、エルドアン政権が強大な権限を握って、反体制派と見なした人物は誰であろうと拘束している。
この1年はデモ隊と治安部隊の衝突が各地で続いていたが、今回のデモ行進では衝突はなく、警察がデモ参加者のガードを固めた。行進の終盤は、参加者が
太鼓を打ち鳴らしたり沿道に手を振ったりして、お祭りのようなムードに包まれた。
ただ、イスタンブール市内に入ってもその状況が続くかどうかは分からない。市中心部のタクシム広場では集会が禁止されている。
イスタンブールへ向かう道中では、参加者2人が心不全を起こし、うち1人は後に死亡。猛烈な暑さや集中豪雨にも見舞われた。
デモ行進の到着場所にはエルドアン大統領の支持者も集まり、「権利、法、正義」を叫ぶデモ隊に対し、エルドアン大統領の名を叫んで対抗。
トルコ国民の分断の深さを見せつけた。