尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)での中国による無許可海洋調査問題で、中国の海洋調査船は海底の泥を広域で継続的に採取していることが22日、分かった。
調査船の活動内容が明らかになるのは初めて。中国は東シナ海で海底資源の開発権利が認められる大陸棚を拡張するよう主張しており、正当性の根拠にするため地質分析を進めている疑いが浮上した。

海上保安庁によると、中国の海洋調査船は尖閣諸島周辺で無許可調査を6月上旬〜中旬と6月下旬〜7月上旬に実施。
7月10〜15日にも久場島や大正島の北側海域で連日繰り返した。沖縄近海で3隻が同時に調査することもあった。

複数の政府高官によると、最近の調査で調査船から採(さい)泥(でい)器(き)と呼ばれる器具を海中に投入していることが判明した。
24時間態勢で無許可調査を行い、30分に1回程度の頻度で泥を採取している。海保の巡視船による中止要求に対し、「中国政府の許可を得て調査している」と反論したという。

海底資源を所管する資源エネルギー庁によると、尖閣周辺の海底に金属鉱物が埋蔵している可能性は低いという。
そのため資源探査ではなく、中国の河川などから流れ込んだ砂かどうか地質を分析しているとの見方が強い。

中国は東シナ海の海洋境界をめぐって日本のEEZ内まで権益を広げる思惑がある。
日本は日本と中国それぞれの海岸線から等距離にある中間線までをEEZとしているが、中国は大陸棚が自国の沿岸から沖縄近海の沖縄トラフまで及ぶと主張。

中国は2012年、大陸棚拡張案を国連大陸棚限界委員会に提出しており、大陸棚拡張の主張を強めるため自国の陸地から流れ込んだ堆積物を根拠にする狙いがあるとみられる。

中国側が飛ばしたとみられる小型無人機「ドローン」=18日午前、沖縄・尖閣諸島周辺海域(海上保安庁提供)
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尖閣諸島を含む東シナ海上空を飛行。魚釣島周辺を飛ぶP−3C =2011年10月13日、沖縄・尖閣諸島
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配信 2017.7.23 08:04更新
産経ニュース
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