手書き看板で動物知って 旭山動物園、飼育員が担当
2017/7/26 11:27

 今月1日に開園50周年を迎えた北海道旭川市の旭山動物園は、飼育員らによるイラストを交えた
手書きの看板があふれている。始めたのは元飼育員の絵本作家、あべ弘士さん(69)。受け継いだ
後輩も思い思いに制作し、「美術館のよう」「個性的で目に留まる」と来園客に好評だ。

 あべさんは幼少時から絵画が好きで、1972年に同園で働き始めてから独特の画風で多くの
動物を描いてきた。「写真と違い、飼育する中でしか分からないものを描き込める良さがある」と
強調。退職後も看板やオブジェを制作している。

 園内の代表作は、害獣とみなして大量に駆除したエゾオオカミが絶滅に至った経緯や、
ホッキョクグマの子供が成長する様子を描いたストーリー仕立ての壁画だ。動物の習性を生かした
同園の「行動展示」と補い合う形で、来園者の理解を助けている。

 あべさんの退職後は、各動物を担当する飼育員もイラストや紹介文に工夫を凝らす。表示に
統一感がなくなるため手書きしない園もあるが、副園長の中田真一さん(50)は「下手でも、
動物を一番よく知る飼育員が伝えることが大事」と説明。絵が苦手だった中田さんも、同園の
情報誌の表紙絵を任されている。

 あべさんは「飼育員が主体的に動いて、次の動物園像を模索してほしい」と、新たなアイデアが
生まれることを期待している。〔共同〕

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H0N_W7A720C1000000/‬;