DeNAは9日、記事や写真の無断使用や不正確な内容の記事が批判を浴び、現在閉鎖中の医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」の再開を断念する方針を明らかにした。
決算会見の席上、守安功社長が「このジャンル(医療健康関連)は難しい。(再開は)無理だ」と述べ、再開検討の対象外とすることを明言した。

同社は8日、小学館と共同出資会社を設立、やはり閉鎖中のファッション系サイト「MERY(メリー)」の名前を引き継ぐ新しいメリーを年内にスタートさせ、その後に他の閉鎖中サイトの再開を検討するとしている。
だが、ウェルクについては、記事や写真の無断使用だけでなく、人の健康に影響する医療健康分野で誤った内容の記事が掲載され、大きな批判を浴びた。

依然サイトに愛着心を持つファンがいるメリーに対し、ブランド価値も毀損(きそん)している。
また、医師による監修などの質向上の仕組みを整えればコストがかかる。このため、医療健康分野ではメディア事業が成り立たないと判断したとみられる。

DeNAは自社単独でのメディア運営は考えておらず、同社のメディア事業は基本的に小学館との共同出資会社で行われることになる。
出資比率は、小学館が66.66%、DeNA33.34%。共同出資会社はDeNAから見れば「持ち分法適用会社」で、連結決算への影響は小さくなる。

2017年4〜6月期のメディア事業は5億8600万円の赤字だが、守安社長は「メディア事業の損失はゼロに近づく」との見通しを示した。
新メリーの運営では、小学館側が編集・校正などを行い、DeNA側はシステム構築やネット上のマーケティングを支援する方針。

旧メリーでは、他ブログに掲載された写真の無断使用などが指摘された。
守安社長は、新メリーについて「(ネットサイトを通してライターを募集する)『クラウドソーシング』や一般投稿は活用しない」と述べた。【尾村洋介/統合デジタル取材センター】

配信2017年8月9日 18時54分(最終更新 8月9日 22時40分)
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170810/k00/00m/020/040000c