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[トロント/サンフランシスコ 14日 ロイター] - 米インターネット企業は現在、ヘイトスピーチなど社会的に問題のある投稿への監視強化を求められる一方、言論の自由を守る必要性もあり、板挟みになっている。

米ドメイン登録・ホスティングサービスのゴーダディ(GDDY.N)は13日、ネオナチ系ウェブサイト「デイリー・ストーマー」が規約に違反したとして、ドメイン登録取り消しを通告したと発表した。

このサイトは週末にバージニア州シャーロッツビルで開かれた白人至上主義団体の集会の開催に関与していた。

デイリー・ストーマーはその後、グーグル(GOOGL.O)にドメインを移行したが、関係筋によるとグーグルも数時間後に登録を取り消す計画を発表した。

ツイッター(TWTR.N)やフェイスブック(FB.O)、グーグル傘下のユーチューブなどはこれまで、主に欧州各国政府からの圧力で、イスラム系武装組織のソーシャルメディア利用を防ぐ努力を行ってきた。今度は米国内で、白人至上主義やネオナチ系のコンテンツについて同様の圧力を感じている。

フェイスブックは14日、シャーロッツビルの集会に利用されたイベントページを閉鎖したことを確認。「フェイスブックはヘイトスピーチやテロリストの行動、憎悪犯罪(ヘイトクライム)を許さない」との声明を出した。

他にも同様の行動をとった企業がある。カナダのインターネット企業トゥカウズ(TC.TO)は、デイリー・ストーマーの創設者アンドルー・アングリン氏に対し、電話番号や電子メール・アドレスなどのドメイン登録情報を隠すサービスの提供を止めた。

トゥカウズの幹部は「彼らは暴力を煽っている。危険なサイトであり、誰がサイトを運営しているのかを人々は知るべきだ」と説明した。

アングリン氏はコメント要請に返答しなかった。

クラウドベースのコミュニケーション・サービスを提供する米トゥイリオ(TWLO.N)のジェフ・ローソン最高経営責任者は13日、規約を更新してヘイトスピーチを禁じるとツイッターで発表した。

米国法は人々のインターネットサービス利用を幅広く保護しており、ネット企業は言論に口出しするのを避ける傾向があった。

しかし主要シリコンバレー企業の幹部によると、状況は変わりつつある。例えばツイッターは長年、嫌がらせやヘイトスピーチへの対策を怠ってきたと批判されてきたが、今では厳しい対策を講じている。

フェイスブックはコンテンツの監視チームを強化。グーグルは暴力を礼賛するユーチューブ動画を監視、削除する新技術の開発に力を入れている。

ロブ・ポートマン氏(共和党)やリチャード・ブルメンサル氏(民主党)などの有力上院議員は現在、オンラインの性的人身売買を助けるウェブサイト運営業者の処罰を容易にする法案の成立を推し進めている。

ただ、目的に異論の余地がないこの法案に、ハイテク企業や言論の自由を唱える団体は一致して素早く反対した。ネット企業がユーザーの投稿に法的責任を負わされると、業界は激しい打撃を被ると恐れてのことだ。

(Jim Finkle、Salvador Rodriguez記者)

2017年 8月 16日 9:54 AM JST