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16日からのNAFTA=北米自由貿易協定の再交渉で、日系企業の要望を交渉に反映させようと、メキシコ政府は、現地に進出する日系企業で作るメキシコ日本商工会議所と定期的な協議を行うことで合意しました。

アメリカ・カナダ・メキシコの3か国によるNAFTAの再交渉では、域内で製造された部品を一定の基準以上使っていれば関税がゼロになる「原産地規則」の見直しが焦点の一つになっています。

メキシコでは自動車産業を中心に日系企業の進出が相次ぎ、過去5年で2倍以上の1100社余りに増えたほか、メキシコへの直接投資では日本が世界で6番目、アジアでは最も多い国となり、存在感を増しています。

このためメキシコ経済省は、NAFTAの再交渉にあたって日系企業の要望を交渉に反映させようと、現地に進出する日系企業で作るメキシコ日本商工会議所と定期的な協議を行うことで合意し、再交渉後初めての協議を今月24日に行うことになりました。

協議では、メキシコ側が再交渉の進捗(しんちょく)状況を説明し、それを受けて商工会議所は要望を伝えるということです。初回の協議にはメキシコ側はNAFTAの再交渉を担当する経済省の北米局長が、日本側は商工会議所に加えて日本大使館の臨時代理大使も参加する見通しだということです。

メキシコ日本商工会議所の森本卓会頭は、「メキシコではアメリカとの溝が深まる中で日系企業への期待が高まっていて、今回もその表れだと考えている。日系企業にとってもNAFTAは重要な問題なのでしっかりと要望を伝えたい」と話しています。
日系企業 5年前の2倍以上に
メキシコと日本は、2005年にEPA=経済連携協定が発効して以降、貿易量が大きく増加しています。両国間の貿易の総額は、EPA発効前の2.3倍に増えていて、メキシコにとって日本は主要な貿易国となっています。

また、自動車産業を中心に日本からの企業の進出が続き、日系企業の数は1111社余りと、5年前に比べて2倍以上に増えています。去年1月には、日系企業や在留邦人の増加を受けて、新たにグアナファト州の中心都市、レオンに総領事館が開設されたほか、ビジネス客の需要の高まりを受けて、ことし2月には、全日空が成田空港とメキシコシティーを結ぶ直行便を就航させました。

一方でメキシコは、1994年にNAFTAが発効して以来、アメリカへの経済的な依存が高まり、現在、輸出全体の8割をアメリカ向けが占めています。

トランプ大統領は、ことし1月の就任以降、NAFTAの見直しや貿易赤字の改善を訴えるなど、メキシコに対して厳しい姿勢を取り続けていることから、議会をはじめ、メキシコ国内からは、貿易の多角化を求める声が高まっています。

その中で、アジアは主要なターゲットの1つで、アメリカとの関係が冷え込む中で、貿易の多角化という観点からも、日本との関係を重視しているものと見られます。

8月16日 16時21分