灘中校長「教科書採用で圧力」 議員「政府筋からの…」

 難関進学校とされる私立灘中学校(神戸市)の和田孫博校長が約1年前に書いた文章が、いまネット上で広がっている。
 灘中が新規参入の出版社「学び舎(しゃ)」の歴史教科書を採用したことに対して、自民党議員から問い合わせを受けたり、抗議のはがきが数百枚届いたりし、和田校長が「政治的な圧力だと感じざるをえない」などと記したものだ。
 文章の背景には何があったのか。

 灘中が教科書を採択した学び舎は、2016年度から中学歴史教科書に新規参入した。
 「問いや疑問を生み出す歴史教科書」をうたい、現役の社会科教員ら約30人が執筆、歴史研究者が助言した。
 日本政府が慰安婦について「お詫(わ)びと反省」を表明した1993年の「河野談話」を掲載。
 中学校の教科書では10年ぶりに慰安婦の記述が復活したため話題になった。
 「強制連行を示すような資料は発見されていない」という政府見解も注記している。
 学び舎によると、国私立計38校が採択し、5300冊が使われている。

 和田校長の文書は2016年9月、京大文学部の同級生を中心にしたグループの同人誌で「謂(いわ)れのない圧力の中で」と題してネット上に発表された。
 7月末、民放のドキュメンタリー番組で紹介されたことなどを機に、ツイッターなどで広がった。

 和田校長は文章で「自民党の一県会議員から『なぜあの教科書を採用したのか』と詰問された」と記し、同中出身の自民党衆院議員から電話があり、「『政府筋からの問い合わせなのだが』と断った上で同様の質問を投げかけてきた」とも書いている。

(公開部分ここまで)

朝日新聞DIGITAL 2017年8月18日17時44分
http://www.asahi.com/articles/ASK8603FVK85UTIL021.html