8月29日 21時24分

殺人などの罪に問われたハンセン病患者の男性が無実を訴えながら死刑を執行されたいわゆる「菊池事件」をめぐって、支援してきた元患者たちが「隔離された『特別法廷』で審理され憲法違反なのに、検察庁が裁判のやり直しを請求しないのは違法だ」として、国に賠償を求める訴えを熊本地方裁判所に起こしました。

昭和27年にハンセン病患者の男性が殺人などの罪で起訴された「菊池事件」では、熊本県合志市にある国立ハンセン病療養所「菊池恵楓園」などに設置されていた隔離された「特別法廷」で死刑判決が確定し、無実を訴えるなかで死刑が執行されました。

この事件について、最高検察庁はことし3月、「差別的な扱いの『特別法廷』での裁判に関わった責任がある」と謝罪しながらも、「裁判のやり直しを求める理由はない」として再審請求を行わないことを決めています。

これについて、「菊池恵楓園」に入所している志村康さん(84)など支援してきた6人の元患者たちは「隔離された『特別法廷』での裁判は憲法違反で、無実は明らかなのに、検察庁が裁判のやり直しを請求しないのは違法だ」として、国に対し1人当たり10万円の賠償を求めています。

提訴のあと開かれた記者会見で、原告の志村さんは「裁判で真実が明らかになると信じていた男性の悔しさを何としても晴らしたい」と話しました。

訴えについて最高検察庁は「個別の事件に関わることであり、コメントは差し控えたい」としています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170829/k10011118101000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_010